第3話 ミレイ



『ミレイ』 ファンダルア世界 ミコト村


 目覚めた青年はミレイ。


 記憶を失っていたため、ミレイは名前しか覚えていなかった。


「俺の名前はミレイ。そうだ。けれどそれ以外は覚えていない」


 ベッドから起き上がったミレイを見たお医者さんは、宿を紹介して、彼を解放した。


 怪我はなく、健康そうだったからだ。


 医者は、ミコト村の一番偉い人間について紹介するといったが、ミレイはそれを断った。


 自分がいる場所がどこだか、把握したかったからだ。


 村にある宿は無料で使えるらしい。


 その村は、旅人に優しい村人ばかりだった。


 宿で仕事の手伝いをする必要はあったが、素性の知れない人間をとめてくれた。


 これからどうするかまったく決めていたなかったが、泊まれるところがある事をミレイはありがたいと思っていた。


 紹介された宿に向かった後、ミレイはミコト村を見て回る事にした。


 空気は穏やかだった。


 どこにもぴりついた空気はなく、命の危険にさらされるような要素もない。


 のんびりとした時間が流れていた。


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