記録No.1 模擬戦4
「てりャアッ!」
俺の掛け声と、ガリンッ、と鈍い金属の接触音が響いた。
どうやら相手の体制を崩すことには成功したようだ、まぁ、あんなスピードで行けばそりゃ崩せるはずである。
俺はそこにすかさず、
「機銃ッ…」
翼部機銃を斉射した。
相手はいまだ体制が崩れている。
「ぐわっ!?」
まさかプロもいきなり撃ち込まれるとは思ってなかったのだろう、一機撃墜。
が、その瞬間雰囲気が変わった。
「ッチ!こいつら急に動き変えやがった…」
相手の陣形が急に整ったものとなった。
「報告:敵機10機程接近中』
「…控えめに言ってやばくねぇ?」
「否定:控目でなくとも窮地』
あと完全にこっちを潰しに来ている。
つまりおそらく頭にきている。
「一旦距離を…っぅ!?」
目の前に突然機体が現れ、斬りかかってきた。
俺は危機一髪盾で防いだが、気は抜けず、まわりを警戒していた。
と、
《おい、お前》
無線に音声が割り込んできた。
おそらく目の前の機体のパイロットだろう。
「…なんです?」
何を言われるのかとそわそわしていると、
《ガキ如きが、シュミレーションだからってイキってんじゃねぇぞ?》
まさかの罵倒だった。
まぁよく良く考えれば、恐らく味方機が堕とされたので、無理もないのかもしれないが、プロが候補生、ましてや子供に言うことだろうか?
で、俺は、
「はぁ!?」
と叫び、イラついたのでゼロ距離ブラスターをお見舞いした。
しかし、相手も一応プロパイロットなので、それは避けられ、お互い距離をとる事となった。
その距離を取った途端、流星群がまた流れ出した。
「シャロ!」
俺は機体を上昇させながら、1団に時限式閃光弾を放ち、相棒を呼んだ。
「わかった!」
俺がさっきまでいた場所を、高出力ビームランチャーの咆哮が抉った。
《ぬわぁっ!?》
あのメンチ切ってきたパイロットは、閃光弾に目が眩んでいたのか分からないが、微動だにしなかった。
これほど口ほどにもないという言葉が似合う輩も、そうそういないだろう。
そうしてこれから相手のスナイパー部隊を、と言ったタイミングで、
『シュミレーション、修了の時間です』
終わりのアナウンスがかかった。
「え?あ…」
速攻モニターが闇に染る。
普段は時間確認しながらなのでこんなことにはならないのだが……
「…まぁいいか」
俺はそうして、暗転したコクピット内のボタンを押し、ハッチを開けた。
するとそこには、
「むぅ〜…」
頬袋をふくらませた美少女が立っていましたとさ。
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