第41話
覆い被さったままの恰好で亜美の顔を覗き見ると、また少し虚ろ気な表情に返っていたが、視線が合うとこちらに対して「次は何を言い出すのだろうか」といったところか、再びこちらを試すように笑みを浮かべた。
色々と間をすっ飛ばして行動に移してしまっていた広木は、今更ながら取り繕うように真正面から窺う。
「で、いいの?」
「え、何が?(笑)」
「だから、このままして良いの?ってこと」
「普通このタイミングで確認する?(笑)」
「確かに(笑)」
「やっぱそういうつもりだったんでしょう」
「ぶっちゃけ最初からヤリたかったのは確かだけど?」
「最初からそう言いなよ(笑)」
「言うわけねーだろ。ってか言ったら誘っても来ないだろ(笑)」
「相手と誘い方にもよるな」
「誘い方ねぇ」
「回りくどいというか、女の子からしたら何かしようとしているなってバレバレだよ?」
「だからといって『じゃぁおっぱい出してー』って訳にはいかないだろーが」
「それは露骨だなぁ…」
「そんなちょうど良い感じのテクニックなんて持ってねーわ(笑)」
「(笑)」
「一応そうするまでのプロセスというか、段階を経て行く必要ようはあるだろ」
「何のステップも経ぬまま手出されてるんですけどー」
「うっせぇ(笑)」
亜美は既に広木の目の前に両乳房を晒しており、このような会話を続けるのは野暮だと思う。後から振り返ってこの場でのお互いの行動が正しかったと言えるかは分からない。だとしても、お互いにそれなりの理由がついて納得しているのであれば、密室の中で男女がどのように過ごそうが良いのではないか。
そのように自分の中で理由が成立すると考えた広木は再び亜美の乳房へ舌先を立てた。やはりそうしてしまうのかと広木の意図を読み取った亜美も覚悟を決めたように言う。
「ちゃんと付けてね」
「何を?」
「何をじゃないよ、ちゃんとしてくれないとやんないよ?」
「車に常備している訳ないじゃん」
「じゃぁ何処に出すの?」
「顔に出す」
「顔は嫌!(笑)」
「じゃぁ何処に出せばいいの?」
その問いに対して亜美は魚のように口を開き、自ら唇を指先でポンポンと触れた。「口になら出しても良いよ」そう返した亜美に広木は母性のようなものを感じる。もちろんこれまで交わった男性の癖のようなものに付き合う中で身についた価値観なのかも知れない。だが、この場はもうどうにも止まらないという風に突き進むしかないといった広木に対して、単に体を許すだけではなく多少のわがままは聞いてあげても良いが?と、譲歩されたようにも感じた。
亜美にも受け入れ態勢が整ったようだと見て取った広木は、亜美の着ているものを全て剥ぎ取り、暗がりの車内でよく見えない大事なところを時間をかけて貪ったのちに静かに体を重ねた。
身長の高い華奢な体に目鼻立ちの綺麗に整った亜美が、体の動きに合わせて表情を歪めながら広木から視線を逸らさない様に、何処か一体感のようなものを感じた。普段初対面の相手と体を重ねる際は、終わり際を上手く見極められずにプレイを間延びさせがちな広木であったが、そういった亜美の表情に高揚しほどなくして絶頂を迎えた。事前に亜美が言うように口元へ腰を下ろすようにアレを突き出すと、小さな口を目一杯開いて広木を受け止めた。
確か今年のGW頃だったであろうか、帰省していたマコトを数人の仲間と復路の新幹線へと送る際。別れた後も連絡を取り合うマコトのために、亜美が自分も車を出して見送ると合流した際のことをふと思い出した。乗車前に広島駅で皆が昼食のお好み焼きをつついた際、亜美がマコトの世話でもするように皿に取り分けて手渡す姿が甦る。
同世代に対してはそんな姐さん肌のようでもあるしっかりした亜美が今はこうして広木とすっ裸で体を重ねている。何年か前にマコトに見せられた、シャツの裾から乳房を晒した亜美が横向きに体を倒した体制で、マコトのアレを咥えて頭を前後させる動画の姿がフラッシュバックする。亜美が女の顔で視線を広木へ返す。力のある眼差しの亜美の普段とのギャップにドキッとする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます