第6話 光魔法使えますが

スラン先生について、教室に向かう。廊下も広い。


全体の造りは木造なのかしら?でも不思議な輝きがある。石ではなさそうだし、とても綺麗だけれど…。


「何か気になるのか?」


あ、キョロキョロしているのがバレましたね。


「はしたない真似を、申し訳ございません」


「いや、構わないが…それで?」


あら、気にかけてくださるのね。


「この学園の造りは木造ですか?この光沢が不思議で…」


「ああ、これか。そう、学園の校舎は木造だ。それにちょっと魔法をかけてある」


「まあ!そうなのですか?」


「聖女教育では教わらなかったか?」


不思議そうな顔でスラン先生が言う。


「ええ、詳しいことは……学園の事は、入ってからのお楽しみ、って大神官様が」


「なるほど。わりと有名な話だ。風魔法と水魔法を融合して、全体に張り巡らせている。防火対策にもなるし、簡単には崩せない。そして不思議な光沢が出て美しい。更に誤ってぶつかったりしても、衝撃を吸収してくれる」


「まあ!そんな事もできるのね、凄いわ!」


一石二鳥どころか、三鳥四鳥あるわね!


「魔法の授業がますます楽しみです!」


「は…」


しまった、前のめりになってしまった。スラン先生が若干引いている。学園では淑女で通すのよ。


「あ、すみません少しはしゃいで…」


「君はすごい魔力を持っていると聞いている」


私の謝罪に、先生が被せてくる。


「いわゆる不治の病や間に合わないような大怪我以外なら、ほとんど治せると」


ええ、修行は真面目に頑張りましたから!できますよ!と思いつつ、頷く。


「広範囲のヒールもできるのだろう?」


そうですね、光魔法に関してはなかなかチートかもです。でも、それが何か?という顔で、私は先生を見る。


何かダメですかね?ちょっと世間ずれしちゃったかしら…教会籠りで…それだとちょっと恥ずかしいわ。


「学園の授業を…他の魔法をバカにしたりしないんだな」



ん?何だそれ?



「それはどういう意味でしょうか」


私はさすがにカチンときた。言葉に険を乗せてしまった。また少し?素が出てしまう。


先生が驚いた顔をしている。


「私は光魔法が少し人より多く使えるだけです。でもそれだけです。他の魔法の素晴らしさに興味を持ってはいけませんか?」


ちょっと泣きそうだ。


クラスメートにも、そんな風に思われるのだろうか。


自然と項垂れてしまう。


「いやっ、ホントにすまん!そんなつもりではなく!」


「じゃあ、どんなつもりなんです」


悔しくて、下から睨み付ける。


こんな小動物に睨まれても怖くないでしょうけど。



「いや、そうだな、うん…俺が悪かった。以前光魔法を使える奴とちょっとな…と、でも君には関係のない話だ。こちらが全面的に悪い、謝罪する」


先生が口に手を当てながらモゴモゴと謝罪する。気のせいか、耳が赤いような?まあ、いっか。


お行儀は悪いけど、謝ってるし。


「謝罪は受けとりますわ」


「ありがとう」


先生がホッとした笑顔をされる。やっぱり美形は得だわー!笑顔眩しいわー!コロッと許してまうわー!



「すまない、時間も押してしまったな、少し急いでも大丈夫か?」


「はい」



教室に入る前にまさかのひと悶着だったけど、少しは私を理解してもらえたかな?


この調子?で、お友達も作りたい。


頑張るぞー!と心の中で何度目かの掛け声をかけ、少し早足で教室に向かった。



……今日、早足多いな。



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