第7話 シアナ城にて
床や壁一面が磨かれた岩でできている城の下、動物の『かば』の顔をした男が口を開いた。
「トリート様 それは本当なのでしょうか?」
トリート様は頭が鶏でスーツに短パンを着た男だ。
二人の男達は今、王の間に向けて足を動かしている。
「ええそう、私(わたくし)の可愛いバイターちゃんが倒されてしまったの。」
と、答えた。
「あのバイターがですか。しかし確かあれはトリート様の…」
「ええそう私の最高傑作なのよ。そうだっていうのにあの子を倒せるなんてなかなか筋が良い子がいるようね。」
と、言って人差し指を上げる。
「ちなみに私(わたくし)のバイターちゃんはどうなっちゃたのかしら?」
真面目な顔をして、本当に分かっていないようだ。
「トリート様。あなた様が今倒されたとおっしゃられていたじゃないですか。お忘 れにならないでくださいよ。」
本当にこの人は…
「ああ、そうでしたね、早くヒュード様に合わないとですね、さあ行きましょう。ですが何から話しましょうか?う~ん、もしかしたら今回の失態から八虐の座を剥奪になるかもですね。」
ヤバい、3言喋らせてしまった
「あの~それ以上喋らない方が…」
「え~っと何で私(わたくし)達はヒュード様の部屋の方向に足を向けているのかしら?」
鶏男は考え事をするかのように腕を組みつつ歩いている。
はーやっぱりか、面倒くさいな。
「トリート様のバイターが倒されてしまったのですよ。で、それを報告しに向かっているんじゃないですか。」
そう同調の言葉を投げかける。
「ええ、そうでしたね、っとさあ付きましたよ。」
何事もなかったかのようにそう答える。が、かば男のほうはその限りでは無かった。
はあ~トリート様はいつも記憶を飛ばすからなー。もう10回以上このくだり繰り返しちゃってるよ。それに何でワイもトリート様も全員スーツに短パンっていう組合わせってなんでだよ。
かば男がそう考えているうちに鉄でできた3m程の大きな扉の前にたどり着いた。
「さあトリート様開けますよ。」
扉を開けようとしたが、鉄が錆びていてかなり開けずらい。
―ギィー
と重い音が鳴って鉄の扉が開いた。
そこにあったのは扉の大きさに似合う高さが10mほどある大きな部屋だった。辺り一面に目の前の床は赤いカーペットが敷き詰められていて、その先には大きな簾に黒く大きなシルエットが写っている。
辺りの空気はとんでもない程張りつめていて、今にも死人が出てもおかしくないそんな状況だった。
「ヒュード様、ただ今付きましたわよ。まあその簾を上げてお顔を拝見したいものなんですけどね。」
「まあワシも見せたいと思ってはいるのだが、お前らでもワシの目を見るのはかなり危険なことだからな。」
「そうでしたわね。ちなみに私は何でここまで来ましたのよ?」
鶏男は腕を組んで首を傾げている。
「バイターがやられたから報告しに来たのですよ。」
かば男が小声で囁く。
鶏男は再び思い出したのか人差し指を上げて口を開いた。
「ええその通り、バイターが向こうの国の奴らにやられてしまったのでその報告に見参しましたわ。」
「何?奴がやられたというのか…そうかなるほど奴か…かなりマズイ話だな。」
その瞬間この空間に一気に緊張が走った。空気の重みがこれまでと全く違う。
少し間が空いた後、腰を上げるような音が鳴ってシルエットの大きさが大きくなりその後一度咳払いをして話し出した。
「おい、ムハン、パスはおるか。」
と、低い声で言った途端部屋の奥から一人の人が姿を現した。
その子供は左半身が銀色短髪をした赤眼の男であり、右半身がセミショートぐらいのピンク色の髪をした灰色の瞳の女だった。
「ヒュード様~俺たちを呼んだんすか~。呼んだっていうならさっさと要件を言えよカス、カス野郎が。な~パスもそう思うよな~」
そう話す男の声は甘ったるい。
「駄目ですよ兄様。ヒュード様に失礼じゃないですか。殺しますよ。」
「ごめんねーパス~ごめ~ん。兄様が悪かったよー。ほ~ら後で殺す人間の量を増やすからさ、ね許して~お願い!」
男の方は左手を謝るような手にしてヘラヘラした口調で喋っている。
「20人ですよ。数を破ったら許さないですからね。フフッ」
女の方は悪魔のような微笑みをして話していた。
「オッホン。」
と一度咳払いをしてヒュードは話だした。
「それで二人とも例の計画は上手くいっているのか?」
「そりゃあ当たり前っすよwwっていうか今来た理由も俺の最高傑作が丁度来た所だからその報告に来ただけですよww」
「そうか、まあ良いではそれを次の作戦に導入するぞ。」
「はいは~い。」
「兄様。」
「分かりました~。」
妹に宥められて左手を軽く敬礼する。
「トリートお前の方はどうだ?」
「う~んそうですね、私の可愛いペットちゃんとあれではかなり相性が悪いと思うんですよ。」
「そうかならば仕方ない…。ではムハン、パスお前らに任せたぞ。何といってもこの作戦には次が無いからな。」
そう言って椅子に腰かける。
「では始めるぞキメラ部隊による侵略を。
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