モルモットハウス

「住宅展示場へようこそ。どうぞ、こちらのお部屋へ」


「可愛い内装ですね」

「ええ、モルモットがテーマなんです。では扉を閉めますね」


「え、どうしてドアを……何だか苦しく……息ができない……」


 部屋に入った途端、男はもがき苦しみ始めた。身体中が焼けるように熱く、全身に針を刺されたような痛みが襲ってくる。部屋を出ようとするも扉は固く閉ざされ、ピクリともしない。このままでは死んでしまう、そう思った瞬間、扉のロックが外された。


「はい、お疲れさまでした」

「あれ、痛くない……? これは一体?」


「幻覚です。実はこの部屋、モルモット……つまり、実験動物の気持ちを体験できる施設なんです」

「そうだったんですか。いやあ、本当に死ぬかと思いましたよ」


「死にはしませんよ」

「幻覚ですもんね」


「いや、実際のモルモットも同じですよ。殺しはしません」

「え?」


「だって、死んだら終わっちゃうでしょう? 実験」

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