第36話 二人同時に……
「俺に、恵梨香とエミリちゃんの二人で同時にアタックしてくれ」
「「同時に?」」
「そう。同時に、だ」
恵梨香とエミリちゃんが顔を見合わせる。どういうこと? と二人で疑問を交換している面持ち。
「以前、能力についてクロぼうに色々と聞いたことがある。二人同時に上書きもあり得るいうことで、その場合、バグ的に俺と碧の関係も維持される可能性がある」
「「…………」」
「三人同時に俺と運命のパートナーになれる……可能性がある」
「そんなことが……」
「あり得るんだ」
「………………」
「そうすれば俺は碧と切れないで、恵梨香やエミリちゃんともパートナーになれる。俺も、恵梨香かエミリちゃんか碧の三人からしか運命のパートナーを選ぶ気はない。三人が俺の運命のパートナー。問題の先送りだが、現状のストレスマッハな状況は打破できる」
「「むーん」」
俺の提案を受けて、二人同時にうなる。
また恵梨香とエミリちゃんが顔を見合わせる。
「どうする?」と、視線で意見交換をしている。
「光一郎のこと、独り占めしたいけど……」
「エミリも正直一番最後のアタック狙ってたけど……」
二人、アイコンタクトしてから碧の方を向いた。
「ちなみに碧はどうなの? 三人そろって光一郎をモノにするという感じだけど?」
「私に選択権があるの?」
「ないけど、光一郎の『三人のパートナー』の一人に残ったら、手出ししてくるでしょ」
「そうね。捨てられるより、三人で卯月君をシェアできれば、望むところではあるわ」
「手出ししてくるの?」
「控えめにするわ」
碧の返答に、恵梨香がうーんと再び腕組みをする。
「仕方ないわね。このまま光一郎と何もできないんじゃ精神と身体と、私の欲望が持たないし。ヤルしかなくなったわね」
「やろうやろう」
エミリちゃんも賛成側に回った様子だ。
二人並んで、俺に正面を向けた。
顔つきを真剣なものへと変える。
恵梨香とエミリちゃんが、俺に腕を伸ばした。
手をかざして。
そして、二人で同時に発生する。
「「『アタック!』」」
恵梨香たちの掌からの光が俺の身体を包み込む。
やがて眩しさが消え去って、俺と碧と恵梨香とエミリちゃんがその場に残されたのだった。
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