猫被り(物理)の異世界放浪記
イズ
プロローグ
目を覚ますと、なぜか知らないところにいた
「ふわぁ、、ここどこ、?」
見慣れた風景が消えた。非科学的事象。訳わかんねえ。
僕は半径2mの透明の足場みたいなところに立っていて、周りには何もなく、遠くの地平線は淡くピンク掛かっていて少し幻想的に見える。下は真っ白でそこが見えないから、落ちると一生落ちてしまいそうに錯覚しそうで少し怖い。
目の前に透明な足場でできた階段があるけど、それ以外に道はないから、ここを上がれってことだろうか?
.............
特に体に倦怠感は無く、むしろ好調。
戦闘になってもいつも通りに動けるかな。
急にこんな所に連れてこられたんだから何も反抗出来なさそうだけどね...
覚悟を決めて行くかぁ...
(...ん?)
________________________.........
よし、行くか。
ぶっちゃけ乗り気では無いけれど、透明な階段ゆっくり登っていった。
階段の先には、真っ白の広場にいかにも神聖ですよーと言ってるような真っ白の神殿が立っていた。パルテノン神殿とかに近いかも。もう壊れちゃったから覚えてないけどね。
警戒しながらゆっくり近付いて覗いてみると、中には上から綺麗な白の光が降り注いでいて、真ん中に立っている綺麗な女の人を優しく照らしていた。
人...と言うと違和感を感じてしまうけれど。
「警戒しなくても大丈夫ですよ。こちらどうぞ」
とても優しく、女神なのではないか、と思わせるには充分すぎた笑顔で招いてくる。多分、実際に女神なんだろうね。
下手に待たせて機嫌斜めにしたらダメか...
一つ。目を伏せ、深呼吸をしてから真ん中まで足を運ぶ。
「警戒なんてそんな...少し困惑していただけです」
なるべく角が立たないように愛想良く返す。
目の前に対峙した分かる、この感覚。さっきと比べ物にならない相違。
まごうことなき神だ、目の前にいるのは。
「そういうことにしておきましょう。ようこそシャルさん、天国へ」
「......はぁ」
優しい顔してとんでもないことに言い出すなこの神。
「その反応になるのも無理はありませんね...ここは数々の世界をつなぐ中間地点のようなものです」
「なるほど...質問しても大丈夫?」
「ええ、どうぞ」
「なんで僕なの?」
少し感じた違和感をぶつける。この回答次第で___
「...この世界はあなたがいた世界より面白いですよ。それだけでは不十分ですか?」
と、挑戦的な目で僕を見てきた。
「充分だよ」
肩をすくめながら答える。
良い感じに躱されちゃった。この考えは推測程度にしとこう。
けど、こっちの方が面白いのなら_____
「他には...今日この場所に来た『人間』は僕入れて何人?」
「......喜んでください。”3人目“ですよ」
...ビンゴだ。
「おっけ。質問はもう無いよ」
「分かりました。時間が無いので簡潔に行きますよ」
その次の瞬間、色々なものが書かれた、ホログラムのようモノが現れた。
「これは、次の世界にあるスキルと、転生者故のユニークスキルの一覧です。この中から最大五つまで選んでください」
...え、スキルに対する説明は無し?
……ま、いいか。なるようになるでしょ。
「五つって結構多いんだね」
「普通は3個までです。それだけ優遇されてるんですよ」
「なるほどね」
じゃあ3つにしとこう。変に目立ちたくないし。
身体能力増強等の物理系、魔法系統とか諸々と......ん?
「この欄のスキルは?」
右下の方に吸血鬼やハーメルンとか、昔から言われている伝説,伝承上の生物や妖怪などがスキル名として並んでいた。内容も結構名前に恥じぬようしっかり伝承に沿って設定されているみたい。
「あぁ、それでしたらあなたが想像しているもので合っていますよ」
「了解。3つだけ選んだよ」
右下の欄から3つ選んでホログラムを押す。押した感覚は無いから少し違和感を感じるけれど、反応してるはずだ。
「3つで良いんですか?それでしたら...ステータス面で融通効きますよ。どうします?」
「んー...火力少しで後は俊敏全振り。1:4くらいの割合で」
「分かりました。ちなみに、言語は通じるので安心してください」
「お、よかった」
そこは心折設計じゃないのね。よく聞く定番だから想定はしていたけれど。
言い方からして文字は通じないっぽい...?
言語が通じるのなら案外なんとかなるか。
「説明は以上です。準備はいいですか?」
「大丈夫。丁寧にありがとう」
「いえいえ。それではいきますよ」
次の瞬間、僕の周りに真っ白の魔法陣のようなモノが現れた。
淡く光る見慣れない幾何学模様と、肌に感じる緊迫感から、体と感覚が訴えてくる。
今までの常識を超える何かが起こる。
「『現御神』アルカディアの名においてあなたを新しい世界へ誘います」
その瞬間、幾何学模様から発せられていた光が強くなり、思わず目を塞いだ。
少しずつ体が浮遊したように感じた後、眩い光を感じなくなったので目を開けると、辺り一面木々に覆われた森の中にいた。
この世界を楽しんでください。
さて、あと1人ですね。
“彼ら”は上手く転がってくれるはずですから。
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