第48話 母性

「はぁ~。今日も疲れた!」

放課後。今日の授業が全部終わって、隣にいる加藤君はいつも通り大きく伸びをして気持ちよさそうに声を漏らした。

「今日は加藤君の苦手な数学もあったもんね?」

「それに化学も……」

拗ねた幼稚園生みたいに肩を落とす加藤君。すごく可愛らしくて愛おしい。そんな彼に、母性に近い感情が芽生えた。

「よく頑張ったね?」

「ありがとう、栞」

彼の優しくて温かい声に、胸の奥がジンと熱くなる。

「そうだ。俺さ、今日ちょっと用事あるからさ。栞の都合がよかったら、教室で待っててくれる?」

彼は机の上の教科書をササっとまとめて、そう言ってきた。用事って何だろう、って少し気になったけど聞いたら"重い女だ"って嫌われちゃいそうで、深く詮索しないで「うん」と返し、加藤君を送り出した。

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