今より安全なを便所を作ろうか
さて、夏になる前に、今より安全な便所を作ろうと思う。
今までは川べりの桟橋式トイレで小便や大便をしたり、河原でしたあとで大便はスコップで川に落としたりしていたからな。
厠、便所、トイレ、いろいろな呼び方が在るが、排泄物の処理というのは実は人類にとって長年の悩みの一つだ。
なにせ大便と小便これ等は臭いからな。
世界の便器は大別すると、洋式の座り式便器と和式のしゃがみ式便器に分かれ、この境界はトルコで、ここより西は座り式、東はしゃがみ式、基本は現在でもこの境界は変わっていないそうだ。
まあ、トルコより東でも都市部では座って排泄を行う洋式便器が増えてるところもあるんだろうが。
これは椅子の文化そのものとも関わるようだ。
話を戻すが、縄文時代は水洗の場合、「桟橋式トイレ」になる。
川岸に杭を打ってその上に板を渡して作った桟橋の上に足場と隙間を作り、その上から用を足して川の流れを利用して大小便をそのまま流してしまうというもの。
屋根もないし壁もないから、多少飛び散ったりしても雨が降ればきれいになるわけだが、これはバランスを崩したりして、冬に川に落ちたらやばい。
なので、寒い間はゴミ捨て場兼便所である貝塚で小便や大便はして、穴をほって埋める。
しかし、夏になるとゴミが結構嫌な匂いになるので、なるべく子供は近づかせたくない。
なので、河原でやらせるわけだな。
しかし、桟橋式は危ない。
だから、河原に水路を掘ってせめて落そうになっても、落ちずにすんで危なくないようにしよう。
そして掴まれる手すりなどもつければより安全じゃないかな?
弥生時代くらいまでは縄文時代と同じように普通に川に流したりしていたが、古墳時代に川から水を引き込んだ防衛用の堀が作られるようになると、排泄はその堀に行われるようになり、さらに発展して家の中に暗渠を引いて、排泄を行う引き込み式の水洗便所は飛鳥時代から実際奈良時代くらいまでは普通に使われていたらしい。
しかし、平安時代になると樋箱と呼ばれる木でできた、おまるのようなものを上流階級は使うようになる。
「よいせ、こらせ!」
まずは多摩川の河原に張り出した桟橋トイレに、長めの杭をうってそこに横向きに木の棒を結びつけて転落防止のための手すりを三方につける。
「もしかしてこれだけでもいい気もしないでもないな」
とりあえずこれで、この川に張り出している、桟橋トイレを使うとき、しゃがんだり立ち上がったときにバランスをくずして落ちることはなくなるだろうし、しゃがんだり立ったりも楽になるはずだ。
まあ、これだと一人しかできないからやっぱりやろう、うちには双子が居ることだしな。
河原の土を、先に銅を貼り付けた木の鍬で水路を作るためにU字に掘り返す。
それもなるべく、集落から見れば下流になる方に作っておく。
まあ、今まで適当に小便や大便を川に流していたので今更でも在るけどな。
深さはそんな深くなく、幅も子供が簡単にまたげる程度。
川からの水が水路に入って来やすいように、吸込口に当たる場所に板を斜めに打ち込んでやる。
そして立ったり座ったりがしやすいように、手すりになる杭も打ってやる。
基本的には単純に杭を掴みながらこの水路をまたいで、大便なり小便なりをしてもらうだけ。
屋根とか壁とかつけないのかって言うと、今のところは試しなのでつけない。
くたくたになって俺は家に帰った。
「とーしゃ、おかえー」
「とーしゃ、おかえー」
「あらおかえりなさい」
「おかえりなさいお父さん」
イアンパヌと上の娘は土器を作り、下の双子はよくわからないまま粘土をこねくり回して遊んでいたようだ、泥だらけの手で俺に飛びついてくる双子。
「ああ、只今かえった。
川の便所を川に落ちないようにしたりしたから、
これからは貝塚じゃなく川でやってくれ」
俺はイアンパヌや上の娘にそういった。
「あらそれは良かったわ。
いままでの状態だと落ちそうで正直怖いものね」
イアンパヌの言うことは最もだ。
俺はウパシチリにも川の便所を少し改良したことを伝えた。
ウパシチリはおっとりとした所作で俺に対応してくれる。
「そうですか、ありがとうございます」
「いや、双子が生まれたんで、
どうにかできないか考えたんだ」
そして報告が終われば家に戻る
「とーしゃ、おかえー」
「とーしゃ、おかえー」
「この子達がおしっこって言うから川の方にいってみたけど、
いいわね、あれ」
「ああ、早速役に立ったなら良かったぜ」
今回は俺は直接やらなかったがイアンパヌが見て、どうやって使うか理解してくれてよかったぜ。
川まで微妙に離れてるから、乳児の場合間に合わない可能性もあるけど、それはしょうがないよな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます