第28話 08時18分
現在は駅前を通過したところで信号待ち中である。学校まではあと少しというところまでは来ている。ちなみに周りは見慣れた光景だ。ちょっとした商店街っぽいところがあったり。普通に家があったり。まあ新しい家を建てているところはあるが。基本今まで久梨亜とともに1年歩いた道なので、久梨亜が新しいものにひかれて寄り道という事には――。
「あっ、ゴウくん」
「うん?」
「新しいカフェがあるよ」
訂正町はどんどん進化するらしい。久梨亜が何かを発見した。でもまあ今は周りに学生が居る事もあり久梨亜は優等生バージョン。突撃。見に行くという事はなく普通に話しかけてくるだけなので、ここで俺が無視――というのは今度2人の時にいろいろ言われるため。俺は普通に返事をする。
「——どれ?」
「あそこ、信号の先。角に看板出てる」
久梨亜が指差す方を見ると――確かに看板が出ている。少し目立つようにという感じでOPENという大きな旗とともに看板が出ていた。
「——あー、あれか」
「今度行こうね」
「すぐそういうの決めるんだよな」
「ゴウちゃんとお出かけは楽しいからね。いろいろなところに行きたいね」
「——」
もう一度現状を言っておく。今は学校へと向かう途中の信号待ち中だ。そして駅を通過したところ。だから――俺達の周りには同じ制服を着た学生が多く立っている。そんな中で久梨亜は普通にそんな話をしているので――そうそう優等生バージョンでね。だからか……俺に対する周りからの視線が痛いというか。殺意に近いものを周りから浴びている気がする。うん。多分同級生とか俺達を知っている人も居るだろうからね。
でも久梨亜は何も感じてないのか。周りに学生が居るから優等生バージョンでさらに会話を続けて。
「少し前に行ったカップル限定とかあるかな?ゴウちゃんとなら頼めるからねー。また調べておくから予定空けといてよ――まあ違うんだけどねー」
「……」
そんなことを言ったからか。俺の身体にはさらに周りからの視線が刺さった。特に――男子?の痛い視線が……多分だがね。
俺の周りの人には、今久梨亜が発した言葉の半分しか多分伝わってないだろう。車の走行音とかもあり全部は聞こえてないと思うのでね。ってか、久梨亜も最後だけ小さな声で言うからな。馬鹿だろ。最後こそちゃんと言ってくれである。小声で「まあ違うんだけどねー」とか言っても、多分周りには――「カップル」とかの偽情報だけ広がっているから――俺に殺意の視線があるのだろう。どうしてくれるんだよこれ。
何度でも言う。俺と久梨亜は付き合っていない。幼馴染なだけであり。たまたま久梨亜の母にお世話になっているので――まあ親同士が仲が良いもあるが。まあそんなことで、一緒に居るだけである。
まあ俺の心の声など全く周りには聞こえてない様子だったがね。
信号が青に変わるまで俺は周りからの視線に刺されていたのだった――訂正。信号が青になっても俺刺されながら歩くことになったのだった。みんな行き先は同じだったからな。多分下手したら教室でもまだ変な視線がありそうだ……。
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