第23話 07時58分

 そうそう今歩きながら出てきた話だが。これ本当の話である。

 久梨亜の反応でわかると思うが。作り話ではない。あれは――高校1年の始業式の学校帰りだったか。高校生になってルンルンの久梨亜。制服がかわいいとか言って、制服が届いてからは、何度も俺の前に見せに来たな。ちなみに今来ている制服の事だな。それでまあ俺も何度もかわいいか。と。聞いてくるから適当に何度もかわいいかわいいと聞かれるたびに、答えていたんだが。って、それはいいとして、何があったかと言うと。式の後。どうやら今までの友達と新しい友達がなんて言うんだ?集まり?まあこれからよろしく。的な事をお昼ご飯を食べながらしたんだと。さすがにその時は久梨亜も普通に参加していて……ちなみに俺はクラスが1年生の時は久梨亜と違ったため。自分のところの集まりに――誘われてなく。普通に1人で先に帰ったのだった。決して仲間外れでは――無いはず。

 気を取り直し、1人家に帰った俺は、たまたまその時に久梨亜の母から連絡があり。その日の夜には、俺の親父が家に帰って来るから。豪華な晩御飯を作る予定なんだけど、材料が――と言うことを言って来て、俺がおつかいに出たのだった。まあ作ってもらっているのでね。それくらいはいつもしていることだ。買い物を頼まれたら俺はちゃんと行く子である。

 でだ。俺が買い物へ行って――買い物をして帰る途中。ちょうど――駅の近くだったか。久梨亜らしき影を俺は見つけたのだった。

 スーツを着た男の人2人となんか楽しそう?に話していた。珍しいこともあるんだな。と俺は思っていたが――よくよく見てみると。久梨亜は優等生スマイルだったが。どうも断っているような雰囲気が出ており――もしかして……ナンパ?というか。スカウト?というか面倒なことに巻き込まれた?と察知した俺だった。

 いや、久梨亜の母が良く昔から言っていてね。買い物に1人で行くと。ホント良く声をかけられて困ると。だから――少しの買い物の時は俺に連絡が来る。ちなみに日常の買い物の時も俺がよく昔から久梨亜母にお供していたりだな。まあその時はその時で、久梨亜ももちろん居るからめっちゃ目立って2人とも声を――というのがあったのだが。久梨亜母。上手に俺を使い。逃走というね。最近では旦那とか使ってくる。ちなみに余談それを久梨亜母が使うと何故か久梨亜がちょっと不機嫌にいつもなっていたんだよな。ちょっとだけな。って、話が逸れたが、まあいろいろ理由に俺を使ったということだよ。

 話を戻すが。その時はホントふと――だったのだが。違和感を感じた俺は久梨亜に近づいたのだった。


「あれー?何してるんだ?もう集まり終わったのか?」


 普通に俺が久梨亜とスーツの人2人の間に、割って入るという形で近づいた。ちなみに久梨亜の名前は呼んでいない。無駄に情報公開する必要はないからな。


「あっ、ゴウちゃん」


 久梨亜の方は――まあ普通に俺を呼んでいたが。まあ俺なんて別にいいか。などと思っていると。久梨亜はすぐに俺の横に小走りで移動してきた。そして俺がスーツの2人を見る。


「こいつの知り合いかなんかですか?」


 俺がそんなことを聞いてみると――何故かそそくさにスーツの2人は逃走して言ったのだった。 それから久梨亜とともに俺は帰りながら――話を聞いてみると。クラスでの集まりの後、みんなと駅で別れたら先ほどの2人が話しかけて来て、どこかの芸能事務所?詳細はわからんが。なんか話をしたいとか言われ。断っていたがしつこく――と言う時に俺が来たと。うん。そういえば久梨亜1人で――っていうのが少なかったんでね。中学の時は俺と久梨亜は同じ美術部で、行きも帰りも基本同じだった。なので、そういえば久梨亜が1人で――というのはこの時がが久しぶりの事だったらしい。友達と――と、いう時も何かと理由を付けて駅まで俺が迎えにとかだったからな。この時だけ本当に久梨亜は1人だったのだ。


 それから久梨亜の家に帰り――一応久梨亜母にも話すと――既に経験者が居た。久梨亜母も同じような男性に前駅で絡まれたと笑顔で話していた。さすが親子というか――まあどちらもすごいというか――久梨亜母は既にモデルとか言われても「ですよねー」しか答えないからな。うん。

 まあそんなことがあり。その時久梨亜母からは1人の時は注意するとか。まあそこそこ久梨亜は言われていたな。まあ最後に――「ゴウくんと居れば安全」と余計なことを言ったため。今も俺が久梨亜の子守をしている気がするが――うん。高校生になったんだからもう一人で――というのはまだまだ先の事らしい。

 とりあえず少し前、1年くらい前に久梨亜誘拐未遂ではないが――変なのに声をかけられて、もしかしたら付いていきそうな感じでしたと。そんな話である。


 ちなみに――俺がそんな過去の事を思い出しつつ歩いている時お隣では――。


「……今日はまたゴウちゃんにかわいいって言われた――もう。学校でにやけちゃうじゃん。うぅ――平常心平常心」


 そんな久梨亜のつぶやきは、近くを走る車の音などで、俺の耳には全く届いてなかったのだった。

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