第31話 インべリアーロ攻略作戦➁

 

 インベルド王国の首都であるインベリア―ロ。同国で最も栄えているこの都市は、月明かりに照らされていた。


 フィ――………フィ―――………


 家の屋根の上で、鳥たちが鳴いている。その鳴き声は美しく、まるで歌のようだった。

 そんな幻想的な空間に雑音が入り混じる。



 ババババババ………



 先ほどまで美しい歌声を披露していた鳥たちは散り散りにどこかへと飛んで行った。


 遠くから聞こえてくるその不快な音はだんだん大きくなってくる。


「な、なんだ?」


 その音に目を覚ます者もちらほら出てくる。

 だが、すぐにその音はだんだんと小さくなっていった。


「今のはいったい何だったんだ?」


 その問いに答えれる者は、誰も居ない。




 ―――――――――――

 インベリア―ロ城 中庭


「ふふ。今宵の月も美しいのう」


「そうでございますなあ、陛下」


 城壁で月見をしながら、ズックルとゴルミフが話をしていた。普段なら城の奥に籠っている二人だが、気分転換に外の空気を吸いに来たのだ。


「良い女を抱いた後ともなると、月の美しさも格別よの」


「さようですか」



 フィ――………フィ―――………



 鳥の鳴き声もかすかに聞こえている。



 ババババババ………


 突如、聞いたことのない音が聞こえてくる。風が強くなってきた。


「ん?」


 音は大きくなっていき、ついには爆音と言って良いほどになる。


「む、うるさい!うるさいぞ!なんだこの音は!?」


「わ、分かりませぬ。これは一体…な、な、な………」


 ゴルミフが音が聞こえてくる上を見て絶句する。それにつられてズックルも上を見る。

 そこには、近づいてくる何かがあった。それは、宙に浮かんでおり、しかしそこにとどまっている。風がさらに強まり、吹き飛ばされそうになる。


 それからロープらしきものが足らされると、何人かがつたって降りてくる。


 呆然としていた二人は我に返り、逃げようとするが………


「おい、そこのお前たち、止まれ!」


「止まらなければ、撃つぞ!」


 こうして二人は、あっという間に自衛隊に捕まってしまった。





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