マダミス 議論&推理披露フェーズ
【マーダーミステリー】透明人間は見えない【アキラ/アキト視点】《指宿アキラ》
同接:517人
◇◇◇
プロローグ→探索フェーズ①→前半議論フェーズ→探索フェーズ②→後半議論フェーズ
◇◇◇
プロローグから探索フェーズ、議論フェーズとサクサク進行していき、現在は後半議論フェーズの残り数分といったところ。
ここで一度自分の目標を整理してみようか。
ちょっと頭いっぱい使って、いっぱいいっぱいになってきたしね。
自分のミッションは、①『自分が犯人として投票されない』、②『11年前、母に何が起きたのかを明らかにする』、③『1年前の火事の真相を明らかにする』なわけだが、現時点で全くもってクリアできる自信がない。
①はさておき②と③に関しては自分の
と言うのも、マップ上の自分の部屋に『アキトの部屋①』と『アキトの部屋②』というカードがあって、これがまさしく『当主の日記①』と『当主の日記②』らしいんだが、自分の部屋は探索フェーズでカードを回収できないというルールがある。
これによって現在『アキトの部屋①』をトーカが、『アキトの部屋②』をスバルが所持している。
ちなみに『らしい』という表現をしたのは、トーカとスバルがカード情報を開示せずに、口頭でのみ言っているため嘘をついている可能性があるためだ。
まぁ、たぶん本当のことを言ってると思うけどね。
だから、この2人から交渉してカードを交換するなり、譲ってもらうなりをしなければならないわけで……そうなるとやっぱり厳しいよなぁ……。
──ぃさま?
──きとお兄様?
「……アキトお兄様?」
「アキト様? トーカお嬢様がお聞きしたいことがあるそうですよ?」
「えっ? あ、あぁごめん。ちょっとぼーっとしてたみたいだ」
考え事をしていたら、いつの間にか声を掛けられていたみたいだ。
「どうかした?」
「……もう一度お聞きしますが、昨日の夜、おそらく23時くらい、アキトお兄様はどこで何をしていましたか?」
「え? あぁ、ちょっと待ってね。いま思い出すから」
『資料を確認するね』なんて言ってはいけない。
それはマダミスを、
昨夜の23時か……うん、バリバリ犯行時間だね。
『その時間なら、ベランダからカーテンを伝って玄関に降りてホールにいた父親の背中に包丁を突き立てたところだよ!!』
……なんて言えない。
「えーっと、その時間だったら2階のベランダにいた……かな」
「……何時まで、そこにいましたか? ずーっと、そこにいたんですか?」
「う、うん。あ、スバルが電気室から出て来て、会ったのが『23:18』だから……そこまではベランダにいた……ね。そうだよね、スバル?」
「確かに、私がその時間にアキト様にベランダ付近でお会いしたのは事実です。ただ、23時頃に東階段から電気室に向かう時にベランダは通りましたが、誰かいたかどうかまでは記憶にありません」
「……アキトお兄様はベランダで何をしていたのですか?」
「な、何って……別に何も? き、昨日は星が綺麗でねぇ、ずっとベランダから空を眺めていたんだよ」
「……ふーん」
俺は推理が苦手だ。
嘘をつくのも苦手だ。
だから、俺は本来こういう系のゲームには向いていない性格なんだろうと思う。
自分が持っている情報を元に考察し、時に嘘をつき、時に相手に揺さぶりをかけ、自分の目的を達成する──そんなゲームには。
でも、だからといっていまこの推理ゲームを楽しめていないのかと言われれば、そうではないと断言できる。
──俺はいま、このマダミスをめちゃくちゃ楽しんでいる。
「ずいぶんと質問してくるけど、もしかしてトーカは俺を疑ってるのかい?」
「……うん。だって──」
「──御時間ですわ~御時間ですわ~!! これにて、後半議論フェーズは終了になりますわ~!!」
さらにトーカが追及しようとした時、ちょうど後半議論フェーズが終了した。
ホッとしたのと同時に、もう時間が来たのかと静かに驚く。
「もう終わりか」
「時間が足りないね!!」
「……足りないくらいがちょうどいい」
2人も同じ感覚なのか、ふぅーっと息を吐いていた。
RPも、このわずかな時間だけ抜けている。
しかし、GMは間髪を入れずにそのまま進行を続けていく。
「それでは、続いて『推理披露フェーズ』に移行いたしますわ!!」
◇◇◇
後半議論フェーズ→推理披露フェーズ
◇◇◇
「はい、それでは推理披露フェーズに移行いたしますわ!!」
前半と後半の2回の議論フェーズを終え、推理披露フェーズに移行する。
「推理を披露する順番はどういたしますか? 『最初に推理披露したい』という意見が特に出ないのであれば、プレイヤー順でどうでしょうか?」
「俺はそれでいいよ」
「私も構いません」
「……問題ない」
「それでは早速、PL1アキト様から推理披露を3分間で
正直、まだ情報を全てまとめきれていない自分がいる。
でも、どうせ順番が最初だろうが最後だろうが、自分の推理はあんまり変わらない気がするから、早めに自分の推理を落としておこうと思う。
最初に推理披露しておけば、後の2人の推理を聞いてから、最終的にどこに投票するかを決めることもできるしね。
それじゃあ、自分の推理を披露しよう。
この事件、誰が犯人なのか。
そして、透明人間とは何者なのかについての、自分の推理を。
「俺は自分が思ったことを正直にここで披露する。この推理を嘘、虚言だと思ってもらっても構わない」
ひと呼吸入れ、推理を始める。
嘘を織り混ぜながら。
「まず、この事件の犯人についてだけど、俺は犯人はスバルだと思ってる。それは父の死体の情報から推理して、そう思った」
そう言い、既に開示されている死体の情報カードを示す。
ーーーーー
【浴室①(死体①)】
メナシトーヤの死体。
浴槽の中に頭を沈めている姿で発見された。
死体には3つの傷がある。
1つ目は前頭部の
2つ目は後頭部の
3つ目は背中の刺し傷。
ただし、死因は
ーーーーー
「死体にある3つの傷。これは、ほとんど全部スバルがつけたものだろう。『21:46』俺が風呂に入っている時に頭上で物音が聞こえたけど、浴室の頭上は父の部屋だ。そして風呂に入る前、スバルは『当主の部屋に行く』と言っていたはず。つまり、この物音はスバルが父を攻撃した時の音なんじゃないか?」
さらに、俺は自分が回収した情報を開示する。
ーーーーー
【当主の部屋】
『アイテムカード』……脱ぎ捨てられた衣服
当主の部屋の
よくよく見てみると、それは使用人の服のようだった。そして、女性物の上下の下着まで服の中に隠すように置かれていた。
ーーーーー
当主の部屋には、使用人の服が脱ぎ捨てられていた。
脱がされたのか、脱ぐことを強要されたのか。
「恐らく、スバルは父に乱暴されたんじゃないか? それに対抗して、スバルはたぶん近くにあったトロフィーで父を殴った。これが『前頭部の
続けて『書斎』のカードを見せる。
ーーーーー
【書斎】
『アイテムカード』……濡れたトロフィー
書斎に、透明な液体で濡れたトロフィーが転がっていた。
近くにある机の
ーーーーー
「書斎にトロフィーがあるのは、目を覚ました父がトロフィーを手に書斎に向かったから。そして、ふらついた拍子に
ちょっと強引だけど、無理やりにでも推理を繋いでいく。
「トロフィーも机の角も『透明な液体』で濡れているが、これは父の血液が透明人間の血液だからだろう。父は『首から下が無色透明な透明人間』だから」
これまでの議論で、透明人間についての情報がいくつか出てきていた。
そして、父が『首から下が無色透明な透明人間』なんじゃないかという推測と透明人間の血液は無色透明であるという話もそうだった。
父は、首から下の肌を一切晒さなかった。夏でも長袖長ズボンで、手袋と靴下も外さない。
その下はきっと、色がなかったんだろう。だから、隠していた。
ここで重要な話は、透明人間である父の血液が無色透明だということ。
つまり、透明な液体で濡れている所は父の血液が付着しているということがわかる。
「スバルはたぶん、父の報復を恐れて確実に殺そうとしたんじゃないかな。だからキッチンから包丁を盗み、ホールにいた父の背中に包丁を突き立てた。それでも死ななかった父を、最後に浴室に連れていき溺死させ確実に息の根を止めた。これが、俺が推理する事件の真相だ」
「残り1分ですわ!!」
GMが時間を告げる。推理披露時間は、あと1分しか残されていない。
まずい、時間がない!!
ミッション②と③がまだクリアできる見通しが立ってないのに……っ!!
日記を回収しないと!!
「え、えーっと、あ、そうだ!! トーカとスバル!! 俺の部屋にあった日記を返してくれ!!」
ミッションクリアのためには、当主の日記をエンディングまでに所持していないといけない。
何か、何か2人と交換できるような証拠品持ってたっけか?
「あーっと、トーカはこの『活字の本』とか欲しいだろ? これと交換でどうだ? 本当は目が見えるんだろ?」
そう言って示すのは、探索フェーズにてトーカの部屋から発見したアイテム。
トーカはきっと目が見える。
それは、これまでも議論でも度々話題に上がっていた話。
トーカはいつも否定するが、否定しようのない情報や証拠品がいくつも見つかっていた。
これは、その最たる物と言えるだろう。
ーーーーー
【トーカの部屋②】
『アイテムカード』……活字の本
ベッドの枕の下に、活字の本が隠してあった。
漢字の上には小さく平仮名のルビが振られている。
小さな子ども向けの、文字を学習するための教材としてつかわれている物のようだ。
ーーーーー
時間もないので伝えたいことだけトーカに伝えて、今度は矛先をスバルへと向ける。
だが、残念ながら俺はスバルが欲しそうな物を持っていない。
そもそも、スバルの個人的な目的ってなんだ?
それがわからないことには、交渉材料が見つからない。
唯一スバルと関連がありそうな証拠品と言えば──。
──そう思って取り出したのは、スバルが着ていたであろう衣服だった。
「あとスバルは……スバルはっ……えーっと、これ!! この『脱ぎ捨てられた衣服』!! この下着も一緒に置いてあるやつ!! 俺が持ってるから!! 返して欲しかったら日記を返してくれ!!」
もう、
ーーーーー
【当主の部屋】
『アイテムカード』……脱ぎ捨てられた衣服
当主の部屋の
よくよく見てみると、それは使用人の服のようだった。そして、女性物の上下の下着まで服の中に隠すように置かれていた。
ーーーーー
もう一度、交渉材料として衣服をテーブルに叩きつけたところで時間となった。
「終了ですわ~!! ちなみにカードの交換や譲渡はお互いの承諾が必要になりますので、アキト様はトーカ様とスバル様の回答をお待ちくださいませ~。まぁ、回答が来るかどうかは本人次第ですので、その点はご了承くださいませ~」
最後に色々恥を晒した気がしないでもないが、まぁできることはやったかな。
推理も、ある程度は本気でスバルが犯人だと思ってるし。
これでトーカもスバルも、日記の交換に応じてくれればいいんだけど……まぁ無理かな?
そんなことを考えているうちに、推理披露の順番は次へと移っていく。
「それでは続いて、PL2トーカ様、推理披露を3分間で
トーカは深呼吸をし、推理を始めた。
「……まず、アキトお兄様には申し訳ないですけど、トーカは日記の交換には応じません。活字の本は別に必要ないのであげます。あと何度も言いますが、トーカは生まれつき目が見えないので。変なこと言わないでください」
はい、ミッション1個失敗確定~。
くそぅ。
気落ちした俺に気付かず、そのままトーカは推理を進める。
「……トーカは両目が見えないから、お父様の殺害になんて絶対に関われません。……だから犯人はアキトお兄様かスバルのどっちか。……トーカは、犯人はアキトお兄様だと思っています。……アキトお兄様はずっとベランダにいるって言っていたけど、それはいくらなんでも変だと思います」
どうやらトーカは、俺が犯人だと思ってるみたいだ。
トーカはベランダの情報を示す。
ーーーーー
【ベランダ】
『情報カード』
ベランダにはガラス製の扉とその内側に2枚の
2枚を繋げれば1階にも届きそうだ。
昨夜は雨が降っていなかったにも関わらず、なぜかカーテンが所々濡れているようだ。
ーーーーー
「……さっきアキトお兄様が言っていたけれど、濡れているのはお父様の血液が付着している可能性がある箇所。……カーテンが濡れているのは、包丁でお父様を刺したアキトお兄様が浴びた返り血がカーテンに移ったから。……アキトお兄様はカーテンを繋いで1階と2階を行き来したんだと思います。……だから、ずっとベランダにいた」
ぎくっ。
「……あと、玄関のカギが壊れてるのは、アキトお兄様が外の犯行に見せかけるため? ……ちょっと自信はないですけれども」
ーーーーー
【玄関】
『情報カード』
玄関のカギが外側から壊されている。
無理やりこじ開けられた跡が残っている。
ーーーーー
ぎくぎくっ。
なかなか鋭いね……。
「……でも、ホールで倒れたお父様を浴室に運んで溺死させたのが、アキトお兄様かスバルのどっちかがわかりません」
……動機で考えるとどっちもあります。
トーカはそう言いきった。
「……アキトお兄様の動機はお父様の日記。……そもそも、お父様の日記をアキトお兄様が持ってること自体がおかしいんです」
トーカは『アキトの部屋①』を開示した。
そこには、11年前に母を植物状態にした犯人が当主本人であることが独白として記されていた。
「……お母様を植物状態にしたのはお父様だった。それを知ったアキトお兄様は、お父様を許せなかった。これが、アキトお兄様の動機」
そうか。
父はレシピとやらのために母を殴り、植物状態にした犯人だった。
キミは父を許せなかった。だから──。
「残り1分ですわ~!!」
GMがあと1分と告げる。
トーカは動じずに、そのまま言葉を続けた。
「──そして、スバルの動機は恐らくこれです」
そう言い、カードを開示する。
ーーーーー
【空き部屋】
『アイテムカード』……焼け焦げた手記
ページの下の方は、焼け焦げていて文字が虫食い状態になっている。
◯16年前の日付
「どうやら子どもを
ーーーーー
初めて見る情報だった。
これは、ここまで伏せられていたカード。
ここぞという時のために取っておいたのだろう。
「……これは『焼け焦げた手記』。……トーカには分かります。……これは、お母様が16年前に書いた手記。……きっと、アキトお兄様が産まれる前に書かれた手記。……そして、産まれてくるであろう子どもの名前が記してあります」
子どもの名前?
「……カタカナだから分かりにくかったですが、子どもの名前は、『透』という字と『四季』の組み合わせでできています」
……?
「……そう考えて手記の虫食いを埋めると『男の子なら秋に透けると書いて
……っ!?
そういうことか!!
なら!!
「女の子なら透ける春と書いて
スバルは……っ!!
「……春は、夏より先に来るから。……だからきっと、そういうことなんですよね? スバルお姉様?」
俺の妹だっ!!
………………。
…………。
……って、やっぱりお前文字読めるじゃねぇか!!
「……トーカには、欲しいものがあります。……それはスバルが持ってる『薬のレシピ』」
制限時間が迫り、トーカは自分の願いを口にする。
「……トーカが持ってる証拠品と何でもいいので、スバルの持ってる『薬のレシピ』と交換しませんか?」
「終了ですわ~終了ですわ~!!」
結局、トーカは誰が犯人なのかを明言しないまま終了した。
まぁでも、たぶん俺の方を怪しんでるんだろうなといったところか。
それにしても、『春夏秋冬』に『透ける』という字を掛け合わせて名前にしてるのは気付かなかった。
もしそうなら、スバルは女使用人の実の娘ではなくて、トーカの双子の姉ということになる。
俺からすれば、妹だ。
でも、それが父殺害の動機になるのか?
疑問が増えながらも、推理の順番はスバルへ移っていく。
「それでは最後、PL3スバル様、推理披露を3分間で
スバルが、はぁっとため息をつくように息を吐いた。
そして、言葉を紡ぐ。
それは、推理披露というよりも、独白に近かった。
「そっか、そういうことだったんだね。私、メナシ家の娘だったんだ……知らなかった。私はずっと、私が何者なのかを探していた。私はいったい誰なんだろうって」
それは、知りたいことに気付けたことの安堵によるものか。
彼女は自分の正体を、そして俺たちの正体を明らかにする。
「でもいまやっと、わかったよ。私は、
スバルは、自分の中の結論を口に出す。それは俺たちに聞かせている訳ではなく、自分の中で噛み砕いて納得しているようにも見えた。
自分の結論に納得がいったのか、スバルは話を切り替えた。
「そうだなぁ……アキト兄さん。兄さんが欲しがってた日記は返すから、服と下着は返してね?」
そう言って、スバルは『当主の日記②』と『脱ぎ捨てられた衣服』を交換してくれた。
『当主の日記②』の内容を確認する。
そこには、1年前、屋敷に火をつけたのは植物状態から目を覚ましたばかりの母自身だという記載があった。
それは、父の狂気から自分の子どもたちを守るため。
これ以上、父の魔の手が俺たちに伸びないよう、母は全てを断つつもりで屋敷を燃やした……そんな記載がされていた。
だが、そんな事実をどうでもいいとばかりに触れず、スバルはトーカに話を移す。
「あとトーカ。その『焼け焦げた手記』は私とお母様を繋ぐ大切な証拠品。だから、レシピが欲しいなら、それと交換ならいいよ? トーカの秘密も何となく分かるけど、黙っておいてあげるね」
トーカとスバルは、そうして『焼け焦げた手記』と『薬のレシピ』を交換した。
「残り1分ですわ~!」
GMが告げる。
「ねぇ、この事件の犯人、だれだと思う?」
ふと、思い出したかのように、スバルは語る。
「『23:20』私がキッチンで夕食の後片付けをしていたら、頭上で物音がしたんだ。キッチンの上は執事の部屋だよね」
スバルはカードを開示していく。
ーーーーー
【執事の部屋】
『情報カード』
昨夜、執事のナトリは屋敷に居なかった。
それにも関わらず、室内のベッドには何者かによって使用された形跡があった。
ーーーーー
「この2分前にアキト兄さんは自室に戻っていったよね? トーカもその音は聞いてて、アキト兄さんがそこから外に出てないのを音で知ってるんだよね? なら執事の部屋のベッドを使ったのは誰?」
あとこれも──そう言って『山の麓の村人からの話』をここで打ち明ける。
ーーーーー
【山の麓の村人からの話】
『情報カード』
「執事のナトリさんは、屋敷が再建されるまでのこの1年間、当主様とご子息様の避難先の別荘と自分の家を行き来してたみたい。でも、あの人独り身のはずなのに、どうも村で買っていく食料が多い気がするんだよなぁ。犬でも飼ったのかな?」
ーーーーー
スバルは淡々と告げる。
ただ、事実を語るかのように。
「1年前の火事の後、次男のカズト兄さんは行方不明になった。でも、遺体は発見されていない」
そして──。
ーーーーー
【浴室①(死体①)】
メナシトーヤの死体。
浴槽の中に頭を沈めている姿で発見された。
死体には3つの傷がある。
1つ目は前頭部の
2つ目は後頭部の
3つ目は背中の刺し傷。
ただし、死因は
ーーーーー
「確かに、1つ目の傷はアキト兄さんが言ってたように私がやった傷なんだ。でもたぶん、2つ目の傷はトーカが、3つ目の傷はアキト兄さんがやってるんじゃない? もしそうだとしたら、4つ目の傷──溺死は誰がやったと思う?」
スバルは今回の犯人の選択肢に、新しい候補を加える。
「私は、カズト兄さんがやったんだと思うよ?」
「御時間ですわ~!! わ~!!!!」
推測披露フェーズが、終了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます