いぞんぐん!
クズ餅太郎
第1話 ただの日常
「(つっっかれた....。)」
いつもの通りの風景。見慣れた自分のマイ☆通学路...。
少しだけ日が傾き始め、夕方がもうすぐ訪れる下校中。
俺、
将来の夢も目標も、夢中になる趣味も、一緒に道を歩む友さえもいない。
いつものなんの変哲もないこの日常を、とりあえず普通に過ごすことしか、もはや俺の頭にはない。
「(早く家に帰って寝てぇなー...。)」
なんで学校なんかに行かなきゃならないんだ。なんかもう、よくね?オンラインとか、そういうハイテクなのを使おうよ。いや友達は作るよ。作る予定だよ。いや、嘘じゃないってほんとほんと
「った、」
「あいたぁ」
やばっ、人にぶつかった。
「アッ、すいっ、ま、せん........!」
はい、もう終わった。いや、おかしいって。つくづく陰キャに優しくないってこの世界。なんで普通に喋れないかな俺。いや、コミュニケーションド下手野郎なんですよ...。許してください誰か様....
「ぜ〜んぜん!大丈夫!」
あ、よかった。なんか爽やかな雰囲気の長身お兄さんだ。つなぎの兄やんとかにぶつかってたらえらい目にあっていただろう。うん。
「あっ、そ、のっ、ごめんなさい...。」
「気にしないで〜!僕こう見えてもタフだからね!」
あ、いい人だ。あれだ。きっと陽の者とも陰の者とも仲良くできる人種だろう。決して羨ましくはない。
「あっ、ごめんね、ちょっといいかな。」
え。なんだ??
「______君、大丈夫〜!?めちゃくちゃ怪我してるじゃん!」
「...え?.......はい??」
いきなりお兄さんが叫ぶように言った。そのお兄さんの視線の先には
学ランからもはっきりと分かるくらい、血塗れた僕の膝が、こんにちはと僕の目を釘付けにした。
「ッッ..ぅわあぁああぁぁあ...!!!?」
思ったより情けない声が出た。いや違くて!!え!?なにこのえげつない出血量!!え?待ってよ本当に俺の膝??え、ドッキリだよね?ねえ?
「痛くないの!?本当に大丈夫なの!?!?」
...そう、言われると...。
「い、痛いかもしれません....。」
「それは大変!お兄さんの家近いから、手当てくらいならできるよ!」
「そ、それは流石に、ちょっと...」
申し訳ない気がするし、知らない人の家には行ってはいけないと小学校で習ったので...
....今思えば、痛いかもしれないと言ったことが、
いや、このお兄さんとぶつかったことで、俺の”ただの日常”は、後に儚く崩れ去ることになる______
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