第20話 院長先生の授業・5
今日も授業に行く。
今回は、外科手術だ。一番怖い。
知識は、人間のものも、悪魔のものも、天使のものも、全て記憶に入れている。
だからこそ実践が必要となる。私の腕はどう動くのか。
タイルに飛び乗り「チェンジ」
「よく来たわね。あれだけダメージを受けていたから、数日かかるかと思っていたけど………貴女は本当にタフね」
「褒められていますか?」
私は院長先生の所に行きながら、そう問うた。
「ええ、誉め言葉よリリジェン。雷鳴、来なさい」
「はーい」
とことこと、雷ちゃんは隠し扉を開けて、こっちに来ました。
ちらっと見えた隠し扉の向こうは、こちらと変わらず図書室だったようです。
ただ、随分とアットホームな感じでしたが。
では一般人の人造人間を使った実習に入ります。
院長先生が、お手本を見せて下さいました。
ちなみに手伝いの看護婦さんも人造人間です
それを、お手本という事で記憶球にして、私は脳に取り込みます。
様々な手術を目の前にしましたが………まだ序盤。
わたしと雷ちゃん、2人に与えられた壁は大きいです。
いつもニコニコしている雷ちゃんの顔が引き締まっています。
「姉ちゃん。姉ちゃんの手並みと同じじゃなければ合格にならない?」
雷ちゃんが、院長先生に質問します。
「まさか。許容範囲は設けてある。私と一緒にしようと思ったら、相当な時間がかかるでしょう。あくまでお手本よ」
院長生成の「相当」って一体………。
「良かった。院長先生の技術は高等過ぎて、とても無理だと思ってたんです」
「私は魔界と天界が出来る前から手術してたのよ。追いつけるはずないでしょう」
「え」
私は固まってしまいました。院長先生って、そんな年から生きて………。
生に絶望を覚えなかったのでしょうか。
今、私は、長い時を生きて、生に希望を見出しています。
院長先生も―――生きるための希望があるのでしょうか。
「ほらほら、余計な事考えないの。私は死ぬのが怖い―――それだけで生きている女だから」
思考を読まれたようです。
「それだけで、生きているのですか?」
「もちろん色んなしがらみもあるよ。
「さぁ、実習するよ!」
実習は散々でした。
人造人間は血まみれになり、惨状を呈しています。雷ちゃんは、同じく失敗に終わったのですが、その後楽しそうに内臓で遊んでいますね;
まあ、悪魔ですからね。
人造人間は、特定のモデルとかいるんでしょうか。
院長先生はまた私の思考を読んだらしく
「今まで見てきた中で「普通の」人から、全てを平均した超標準ボディよ。よって個人の特定とかは無し。今は罪悪感覚える必要とかないから」
「今はっては言うけど………進んでいく中で個人が混ざって来るんでしょうか⁉」
「混ざって来るけど。それは私の経験から作り出したまがいものだから、深刻にならないように。本番で緊張しないための練習なんだから」
「はい………」
それでも落ち込むものは落ち込みます。
ぉれで新
落ち込んだ気分で、私は宿舎に帰りました。
それから、練習を重ねる事200年。
私は、院長先生に免許皆伝を貰いました。
雷ちゃんは、全然成長しないまんまです。
が、後で看護と介護は、大人になったら大度たたきこむそうです。
――――看護師の証に、淡くグリーンがかった白衣を与えらえた。
?みんなと違う………と思っていると
「看護医療副長」つまりサブドクターの制服でした。
これは、ルカさんに与えられました。。
ルカさんの手伝いです。
ちなみに、授業終了の時に
「雷鳴も「異空間病院」に遊びに行かせることにしたから、来てたら可愛がってやってね」
と院長先生が言っておられました。
私は、遭遇する人皆に、雷ちゃんの事を教えて回りました。
「可愛いけど、私と一緒にドクターへの道を乗り越えた同志だ」と。
紹介すると、雷ちゃんは、それぞれの病棟の看護師さんたちに大人気です。
ですが、男の看護師さんに抱かれると、不満そうにします。
院長先生曰く
「そうなんだよね………困ってるんだよ。遊び場も女の人ばかりだし、勉強を教えるのも女(私)だから………」
「「筋肉」ついてるひとと、「肥満体型」の人も苦手だからね」
悪魔棟の中を歩いて、患者さんを慰撫して回っていた時も、男の患者さんにだけは懐こうとしなかったとか。
女性なら、たとえ老婆でも愛想よく接していたそうなのですが―――。
という事を悪魔棟の看護師長(兼ドクター)であるアッシュさんから聞きました。
人間棟も回っていたけど、同様の反応だったと人間棟の看護師長エルシーさんから聞きました。もしかしてあの子は男性に免疫がないのでは?
それを除いたら、天使棟にも問題なく入れる異能の持ち主なんだけど………
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