馬装すると眠くなる

 人を乗せて寝てしまう……と、ほぼ同じ要因だと思うのですが、馬装すると眠くなるのも大問題です。

 流石に倒れることはないのですが、ほぼ倒れると同じくらい危険で横にいると巻き添えを食ってしまいます。

 とにかく、倒れないうちに、馬装を済ませたらすぐに乗らなくてはなりません。

 あ、鞭忘れたわ、なんて取りに行く暇はありません。

 人に持ってもらい、引き馬で歩かせておかないと寝てしまいます。


 この癖は、私達が持ってしばらくすると、ケロッと直り、一時期は、馬装してから靴を取り替える時間もあったくらいですが、またしばらくすると復活してしまいました。

 まこさんは口の中をマッサージすると目覚めると言って、よくやっていましたが、私には口の中を触らせませんでした。

 ハミをかけようとして無口を外すと、前にずずずずと倒れてくるので、勢い余って1mほど出てしまうこともありました。

 そして、引き馬でも半分寝ているので、足元がよろよろです。乗ればなんとか起きるのですが、人を乗せて寝てしまうこともあるので、本当に困りました。

 

 そんな馬は見たことがないぞ! と思い、ネットで検索すると……。

 あれま、出てきた、出てきた、実は、馬装で寝てしまう馬は、意外と多いことが判明しました!

 そして、あーこに続き、レッスン馬の中に何頭か、馬装で寝てしまう馬が現れて、馬装に問題があるのでは? とも思いましたが、関連性は見つけられませんでした。

 ただ、腹帯の当たるポイントに眠くなるツボがある、と教えてくれた人がいて、それが本当だとしたら、眠くなっても仕方がないのかも知れません。


 登校拒否の子供は、学校へ行かせようとすると体調を崩しますが、おそらく、それに似ているのだろうと思います。

 あーこは、嫌なことがあると、睡魔が襲ってくるようなのです。

 実は、調子が悪い時に回していたら、回している最中でさえも寝てしまい、横になってしまうことがありました。

 比較的我慢強い馬なのですが、自分の限界を越えて我慢を強いられると、パニックを起こしてしまったり、睡魔に襲われたりするようなのです。


 元々、あーこは腹帯を嫌がるところがありました。

 それがますますひどくなっていて、腹帯で暴れることも多々ありました。それに続いて眠気が来るので、やはり馬装の問題かも知れません。

 腹帯を変えてみたり、ガースカバーを入れてみたり、ゆるゆるの腹帯で乗ってみたり……も、鞍がずれるのも大嫌いなので、それもまた難しかったりと、悩まされました。


 今も時々、馬装で眠気がきます。

 ただ、以前ほどは頻繁ではなくなりました。それでも、ある程度乗る準備をしてから馬装しないと心配ではあります。

 鞍をつけたまま放置は、できるだけ避けています。

 が、どちらかというと、あーこのやる気や体調を見るためのバロメーターとして、利用しています。

 体調が良い時は、眠気が来ることがないからです。

 気分が乗らない、疲れが溜まっている、どこかに痛みを抱えている、体調が悪い……理由は色々で、休ませるかどうかの基準にはなり得ません。

 しかし、それで注意深く馬体をチェックすることで、大きな故障を避ける予防にはなります。

 関連性があるように思えないこと、例えば、蹄が痛い時なども、眠気が来るのです。

 眠気がきている、またわがまましている、で片付けないようにしています。


 これは、あーこ語なのだ、今の私はそう認識しています。


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