ストレス・フリー
乗馬から10年ほど離れ、再び乗馬を再開し、目から鱗の経験をしました。
詳しくは、以前に書いた『Le Ciel Bleu〜私の青い空』で語ったので、ここでは書きませんが、色々な馬と出会い、育ててもらいました。
その後、シェルとの出会いがあり、その学びを活かし、実践して、ここまできました。
シェルと仲良くなれたので、私は自分のやり方に自信を持ちました。
でも、もしかしたら、シェルが奇跡の馬で特別で他の馬には通用しないかも知れない、という疑いはありました。
私は、他の馬でも試してみたい衝動に駆られました。
シェルが故障した間、あーこをお借りしたのですが、その時に試して、あーこでも同じ結果が、むしろ、もっと早くに結果が出て、私は大満足したのでした。
シェルの時は、試行錯誤があったけれど、あーこの時はやり方が確立していたこと、それと、あーこがびっくりするほど賢い馬だった、ってことが要因だと思います。
私が、まず第一にモットーにしたことは、馬に余計なストレスを与えない、でした。
乗馬センター時代、馬たちはとても綺麗な厩舎にいて、質の良い食事も与えられていた、でも、放牧がなかったことで、随分とイライラしていました。
乗馬を再開した時のクラブは(今、シェルがいるクラブですが)毎日の放牧があり、馬は自由に草を食べ、仲間と遊び、くつろいで、仕事に備えていました。
馬には個性があり、噛んだり蹴ったりが全くないとは言いませんが、ほとんどありませんでした。なので、人間の方も噛まれることを考えずに済みました。
人間に警戒心がないと、馬もあまり警戒しないようです。
人間も、くつろぐ時間がなく、仕事に追われればイライラもします。
時に人や物に八つ当たりしたくもなり、必要がないのに怒鳴り散らしたくもなったりします。
馬は、人間以上にストレスに敏感で、攻撃的になりやすいのです。
本来、馬は従順で人に優しい動物ですから、こちらに敵意がなければ、攻撃してこないものです。攻撃してくる必要がありませんから。
攻撃してくるとしたら、そうすればおやつが当たるとか、いいことがあるとか、自分のわがままが通るとか、何か良からぬ学習をした時です。
私は、シェルとあーこには、極力ストレスを与えないように、気をつけました。
放牧できる時は放牧し、できない時は散歩に連れ出しました。
馬房は綺麗に保ち、怪我や故障には細心の注意を払い、余計な苦痛を与えないようにしました。
その結果、私は馬にとって居心地のいい人になり、かつ、失いたくない人になりました。
馬と仲良くなるには、そういう存在になるのがいいのかも知れません。
ただ、仲良くなりすぎると、やきもちを妬くので、もしかしたら、インストラクターなど、多くの馬を相手にしなければならない人は、あまり近しくなっても良くないのかも知れません。
YouTubeで馬と仲良くしている映像を出す時、ヒヤヒヤするのは、何も知らない人が同じことを真似たらどうしよう? ということです。
そんなことしたら危ないです! とコメントもいただきます。同じことをしたらインストラクターに注意されてしまうでしょう。
その通りです。
おそらく、そこの馬たちは、とてもストレスを抱えているから、危険なのです。
口籠をしないと噛むとか、蹴られないように気をつけるとか、そういう馬の多くはストレスにさらされている可能性がとても高いです。
見ず知らずのクラブの馬をどうこう言えないですけれど、私はかつての乗馬センターでの日々と重ねてしまうのです。カリカリとした状態の馬たちの顔が浮かんでくるのです。
そのような馬たちを、シェルのようには扱えません。
同じように、クラブのやり方に従って注意して接するしか方法はないのです。
YouTubeを見ると、私と同じように……いや、もっと上手に、馬と戯れている人たちの映像をよく見ます。
海外はやっぱり馬文化が違うのね、とか、日本にもこんなすごい人がいるのね、とか、思われるかも知れません。
でもそれは、特別なことじゃなく、むしろそちらが人間と馬との当たり前の関係なのです。
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