第12話 ユイ①
わたしの名前はユイ。大学2年。
長期休みにサークル内の、特に仲の良い5人で1週間の旅行に行くことになった。わたし自身はそれほど仲が良いとは思っていないけど・・・。
メンバーはコウ、タイキ、ユウスケ、ミク、そしてわたし。友達同士とはいえ男3人に女2人。ホントに大丈夫?って思うだろうけど、ユウスケは超の付く生真面目。もし旅行中に手を出してきたら、そっちのほうが驚くと思う。
タイキは見た目も性格も遊び人って感じだけど、彼にとっては好みのタイプではないみたい。友達としてならアリってところなのかも。わたしも別に好みではないから、ある意味1番話しやすい相手かな。
コウは・・・大学生にもなって、と笑われるかもしれない。実はわたしはコウに片思いしてる。でもみんなといる前でそんな素振りは見せていない。というよりも見せられない。コウとミクは恋人同士だから。本心は・・・ミクと別れてくれたらと、ひっそり思ってる。
旅行に行く少し前に、ある古い手書きの書物を読んだの。その書物のある記述で、わたしはページを
わたしの暗い部分が、呪いをかける事を後押しした。そう、ミクがいなくなったらいいなと思った。そうすれば、コウがわたしを見てくれるかも。
そうは言っても効果なんてあるわけないと思ってたし、ただの気休めだと思ってる。だけど・・・コウの隣にいたい。旅行に行ったら、夜コウの部屋行こうかな。何か理由をつけて部屋に入れてもらって・・・。きっと夜はみんなでお酒を飲むだろうから、コウも酔ってるはず。もしも、二人きりの時にわたしが裸になったら・・・。
なんてね!それよりも、まさか友達が隣の部屋で寝るのに、2人であんなことしないよね・・・。想像するだけで嫌な気持ちになる。
4人ともわたしがこんな事考えてるなんて微塵も思っていないんだろうな。
呪いは旅行の前日の夜に試すことにした。相手を特定出来るものを用意しろと書いていたから、前もってミクの髪の毛を用意した。旅行の相談でミクの部屋にみんなで集まった時、こっそり採取したの。他にもいくつかの道具が必要だったけど、すぐに用意出来た。
呪いの詳しいやり方は割愛。内緒にするとかじゃなくて、”悪魔の儀式”とはお世辞にも言えない。要するに特筆すべきところがないの。ただ、終えた直後に何となく部屋の空気が重くなったような気がしたような・・・。
旅行当日。駅前の待ち合わせ場所に行くとユウスケが待っていた。2人でみんなを待っていると、コウとミクが一緒に歩いてくる。さすがに熱が出て行けなくなった、は無かった。考えを悟られないように、わたしは笑って2人に挨拶をした。少し遅れてタイキがやってきた。全員が揃ったところで、駅の中へと向かう。実はそのタイミングで、何となく違和感を感じた。昨晩と同じように空気が重くなるような・・・。だけどほんの少しだけ。駅の中に入って電光掲示板を見てたら、そんなこと忘れちゃった。
ホームで電車を待っている人は数人しかいなかった。時計を見ると午前10時をまわったあたり。電車が来るまで、立ったままお喋りをする。少しだけ複雑な気持ちがあるけど、旅行は旅行。プランも立てたんだし、楽しまないとね。
まもなく電車が来るという放送が流れた。全員ゾロゾロとホームに並ぶ。わたしが1番後ろだった。わたしの後ろに、キャリーバッグを持ったスーツ姿の人が加わった。
電車が到着してドアが開くと、電車から数人が降りた。車内はガラガラで、座ってゆっくり景色が楽しめるだろうと内心喜んだ。
電車が発車した。向かいの窓から、流れる街並みを見る。電車の走る振動が心地良い。みんなも静かにしている。
いい気持ち。少しだけ目を瞑ってようかな・・・。
私は最初から間違いを犯していた。いえ、気付くことが出来なかった・・・。例の書物に〈
本当は
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