第6話 生きてるかー?
夕べさ、父が家に来て「財布落とした」っていうから母がPCでなんとかしてって言うからあきれたよ。
「ふーん、なに? それ」
どうやら父は東京のファミリーマートで財布を落としたっていうんだけど、母がネットでファミマの電話番号調べてくれっていうのさ。
「あw そうなの?」
力になりたいのはやまやまだけど、なんで警察へいかないの? って話だよ。
「あきれたwww」
しばらくしたら、母が電話でどうやら妹と話してる。
PCがキッチンのテーブルに置かれてて、ファミリーマートの電話番号がずらっと並んでるんだけど、わたくしうんざりきちゃって、「落とし物をしたときどこの警察に届け出るべき?」って検索したら「もよりの警察署、交番に届け出てください」って出たのでそれを母に伝えたのね。
「そしたら?」
母は「まって、今話し中」って。
「えーwww」
父にも言ったら、「一万円お金が入っていたからあきらめてるんだ。中身とって捨てられちゃったよ」って言うから「免許証で悪いことできるじゃない。ほっといちゃだめ」って言ったの。
「そしたら?」
母はまだ妹と話してる。
「だめだこりゃ」
で、わたくしロクバンに変わってもらって「早く警察行って!」って繰り返した。
「覚えてる憶えてる」
「夜中にガチャガチャうるさいの、早く警察行って! 迷惑なの、早く警察行って!」って言ったら、しぶしぶ重たい腰をあげてさ、もよりの警察署へ行ったんだけど……。
「そして?」
交番へ行ったら、東京で落としたのなら東京の警察署へ行った方がいいと言われたんで、これから東京へ行くから帰りは11時すぎると電話が来た。
「ほう」
そして、彼らは1時過ぎに帰ってきた。
「なんでwww」
どうやら、素直に東京の警察署にいくのがしゃくだったらしくて、父が寄ったというコンビニを5つくらいまわって聞いてきたらしい。
「おっかしw 頭おかしいよ、お父さん」
9時過ぎに家を出たから、約4時間かけたんだね。
母に「ふりまわされてつらくないの? 大丈夫?」って聞いたら「だいじょうぶ、昨日は休みだったから。仕事の後だったらきつかったけどね」って笑ってネタをくれたよ。
「どんな?」
父は、高校時代の友人にタケノコを届けに横浜に来たらしいんだ。
「ほう」
最初は、タケノコをとりに来いよと誘ったらしい。
でもその友人は親の介護でとても無理だというから、父はお米を付けて直接渡しに行ったんだって。
そしたら、財布のことを聞いて同情してくれ、3万円くれたんだってさ。
「わらしべ長者」
タケノコと米が3万円www
「そりゃ高いw」
そして今朝、父は「父の日のプレゼント」を母経由で渡され、そのかばんに碁盤を詰めて家を出ていった。
「碁盤?」
明らかにサイズオーバーではみ出てるんだけどwww
「おかしいwww」
で、赤いキャップをソファに忘れていったよ。
「えー?」
あんな感じで財布も置いてきたんだろう。
「おっかしw」
ちょっとは元気出た?
「うん、うんうん」
ロクバンはさ、疲れた時はどうしてほしい?
「ほっといてほしい」
じゃあ、何をしたい?
「おしゃべりしたいかも」
わかった、わたくしを呼んでね。
「うん、わかった」
じゃあ、またネタがあったら来るから。
「ばいばーいw」
www
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます