ロクバンと話す。

水木レナ

第1話 病院へ行くんだけど(精神科)

 ロクバンに聞きたいことがあるのー。


「なに」


 高校生のとき、精神科に行きたかったでしょう? あれ、今も? 現実を知ってもまだ行きたい?


「うん」


 じゃあ、わかった。


「はい、はい」


 今日は主治医の先生に、職業訓練校を無事終了したことや、閉会式の時すごおいストレスにまみれたことを言いますよ。


「残念」


 なにが。


「どこへでもいけ」


 なんか、ハードボイルドなエッグの対応ね。


「なにそれ」


 いつも助けてくれるじゃない? だから、今回もきっと有用なアドバイスをくれると思って来たんだけど。


「そうか。それだったら言おう。精神科はドブためのようなところだ。私だったら行かないね」


 行きたいって思ってたのではないのです?


「ないのよ」


 じゃあ、主治医には「おかげさまです」とだけ言って薬をもらってくるんでいいです?


「その方が身のためだ」


 と言いますと?


「徒情だが、手に負えない患者はすぐ捨てられるから」


 どういう意味?


「徒情だと言ったろう。住むところもなく、下に下に行って見られなくなるようにされるから」


 わかったよ、ロクバンの言うとおりにする。


「わかったな」


 はい。


「よし」


 ありがとー。


「ありがとうございます、だ。ばかもの」


 あいー。

 ありがとうございます。


「よし」


 じゃあねーん。


「うん」

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