第7話 少女皇帝の入寮
寮は学園内の一角に設けられており、男子寮と女子寮は敷地の反対側に用意されていた。女子寮は中央に平屋建ての建物があり、その左右に3階建ての建物が建っている。
女子寮にへ向かった女子約60名は生徒会役員の先導のもと女子寮に入っていった。
女子寮の玄関を入るとそこはロビーとなっており、簡単な応接セットが用意されている。そのロビーには玄関を含めて4つの扉があり、それぞれ部屋の4つの面の中央に設置されている。
生徒会役員は玄関の正面にある扉をノックした。
「新入生の皆さんを連れてきました。」
そう役員の方が告げると、観音開きの扉が開かれる。
「ようこそ、新入生の皆さん。女子寮を代表してアイランド子爵リリーシャ・エリッサ・アイランドが皆さんへの挨拶と、歓迎会の進行をします。まずは中に入って席に着いてください。」
奥に作られた一段高い場所からリー姉ちゃんが挨拶をする。リー姉ちゃんの後ろにはエミリ姉さんともう一人貴族の令嬢が控えていた。
「ちなみに、ここで挨拶するのは女子寮にいる人物の中で一番位が高い人物が行う決まりなの……。と言うことで、来年からはフィーちゃんよろしくね。」
「アイランド子爵、いくらなんでも失礼ですよ。」
リー姉ちゃんの後ろに控えていた貴族令嬢が苦言を言う。
「いえ、私が許可を出していますので問題ありませんよ。」
「ですが。それでは上に立つものとしての権威が……。」
「エレジア先輩はこちらに来るまで代表挨拶を行うつもりでしたから少し厳しくなっているだけですわ。」
エミリ姉さんが間に入る。そのエミリ姉さんに、どういうことか視線で訊ねてみると。
「エレジア先輩は元々侯爵家のご令嬢です。皇帝家、公爵家の令嬢がいなければ先輩が代表になります。ですが、リーシャが男爵家令嬢から子爵家当主になってしまったため、令嬢令息より当主の方が序列が上になるので代表の座からこぼれ落ちたのですわ。」
「その上、同じ侯爵家の令嬢なら長女で皇帝が重用している家の方が序列が上だから、エミリにも抜かれて序列3番目、フィーちゃんが来たんでさらに落ちてこの女子寮の序列4番目に一夜にして落ちてしまったんだよ。」
エミリ姉さんとリー姉ちゃんが説明する。なるほど、私が断行した陞爵でこんなことが起こっていたなんて。
「……エレジア先輩、私のせいで申し訳ありません。」
「い、いえ、陛下がお謝りになられるような事では……。ま、まあ、子爵様が公私混同しなければいいだけの話ですわっ!」
プイッっと横向きながらエレジア先輩が答える。
「と、ともかく、アイランド卿、話を次に進めてください!」
「はいはい、とりあえず寮の説明をするわね。この女子寮は貴族寮と一般寮に分かれていて、貴族寮は上級貴族の子と女子寮ではあまりいないけど貴族の当主が入寮する。下級貴族と一般入学の生徒は一般寮になるわ。貴族寮には侍女を1人入れることができるわ。基本的に貴族寮は使用人室付きの1人1部屋、一般寮は2人部屋になるわ。ここら辺は入寮案内のパンフレットに書いていたと思うから知ってるかも。次に、今年から貴族寮の当主用の部屋が使われるようになるから数人男性が入ってくることもあるけど必ず入館証を持っているし、もし何かあったら私か陛下、あとここにいるエミリに遠慮無く言って、首を切るから。」
えっ?と言う声が重なる。
「簡単に言うと、貴族当主で女子寮にいるのって私か皇帝陛下なの。つまり、責任者が私と陛下なんでそこに言ってくれれば対処します。泣き寝入りはしないようにしてね。あと、エミリは私――アイランド子爵の後ろ楯で、皇帝陛下の腹心の内務卿を務めているフィリップス卿のご令嬢なので、どちらにも顔が利くから皇帝陛下に言いにくいんだったら彼女でもいいですよ。」
本当はここに来る文官は女性で固めたかったんだけど、流石に女性の文官の数が少ないうえ、皇帝家と新興の子爵家の文官を女性だけで揃えるのができなかった。そのため男性文官を入れるしかなかった。早いこと優秀な女性文官を仕入れないといけないわね。まあ、どっちにしろ1人は男性が来ることになるんだけど……。
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