少女、皇帝になる
中城セイ
序章 少女、皇帝になってしまった。
私は、第14代皇帝フリージア・アメジスト・フォン・フィリア=ベジリアスである。10歳だ。
なぜ、10歳の子供が皇帝をやってるのかと言うと、私以外の皇族がいなくなってしまったからだ。
あー、私以外の皇族がいなくなったのは、戦争でも、疫病でも、ましてや暗殺でもない。災害だ。
避暑のため山の麓にある離宮に行ったところ、地震で離宮近くの山が山体崩壊をして、離宮を飲み込んでしまったのだ。
たまたま、夏風邪をひいた私だけが帝都におり無事だったため、私が皇帝になることになってしまった。
そもそも私は第4皇女だったので、皇帝を継承することはまず無いと言うことで自由にさせてもらっていたのに、何でこうなった……。
私の継承順は低かった。第13位帝位継承者で、兄姉が7人、さらには父である先代皇帝の弟と私の従兄弟4人が私よりも継承順が上だった。みんな離宮にいて命を落とした。
あげくの果てには、私に摂政がついていない。なぜなら摂政になれる皇族がいないから。母上も叔母上も一緒に巻き込まれている。私が皇族家唯一の生き残りである。
ついでに、重臣も一緒に巻き込まれたので、先代皇帝を支えた大臣たちで生き残っているのが、軍務で国境付近にいた軍務卿と職務で外国にいる外務卿、夏風邪で帝都にいた私に付き添っていた侍従長の3人だけである。内務卿も財務卿も宰相も巻き込まれている。
とどめに近衛兵も大半が巻き込まれた。そりゃそうだ、皇帝一家の行幸についていくのが任務だから。
夏風邪明けの10歳の少女にベジリアス帝国1000万の民の行く末を委ねるのは、なかなかな状況だが、幸いにも国家の体制が斜陽化したわけではない。強い帝国軍はそのままだし、領地、貴族もそのまま。財務関係も変わらず、城の者たちもある程度残っている。料理長と侍女長は帯同していた為巻き込まれたが、私の馴染みの侍女は残っている。
こうして、私は皇帝になった。
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