「町のためには」
「それでも、誰かがやらんといかん」
そう言って父は一度も振り返らず、全身の毛を凍らせる真っ白な夜の闇へ踏み出ていった。
時が経ち、私の町では怪獣の看板が立ち、怪獣の土産や、怪獣の人形焼が名物となった。
今日も探検隊の格好をしたタレントが、町の民宿に泊まっているらしい。
父の姿はあれ以来、一度も見たことがない。
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