7個目「町のためには」

 「それでも、誰かがやらんといかん」

 そう言って父は一度も振り返らず、全身の毛を凍らせる真っ白な夜の闇へ踏み出ていった。


 時が経ち、私の町では父の看板が立ち、父の土産や、父の人形焼が名物となった。

 今日も探検隊の格好をしたタレントが、町の民宿に泊まっているらしい。

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