第386話

傀儡化されている魚人達を次々に救出していく俺達。その際に磯巾着にはしっかりとダメージが入り、体力が削れて行く。HP回復に魚人を使うだろうと考えていたが、その様子は一向に見られなかった。


「これで!!最後!!」

「回復は任せて下さいまし!!」


そして今、最後の魚人がカイトの手で助け出された。


磯禁摘 HP50000


磯巾着の体力が丁度半分。計算していたわけでは無かったが、“なぜか”ぴたりとこの数値でHP減少が止まった。そうそう、クマノミの方は素早く水中を動いてこちらの攻撃が当たらなかった。テッタの歌攻撃さえ魔法で防がれたからな・・・・。


「絶対に何かありますわね・・・。」

「気を抜くなよ皆!!相手が何をしてくるか分からんぞ!!」

「あっ!クマノミが!!」


俺達の動きを魔法で妨害していたクマノミにいつの間にか多くの触手が集まっていた。そして、張り付いた管からは勢いよく黄色い光りが行き来する。すると磯巾着とクマノミが同化を始め、体を変化させ始めた。


「ギシャーーー!!」


合体した2体の姿は、大きな体とそれ以上に大ききく布の様な鰭を持つ。全身黒色の魚になっていた。鰭の先や目の周りなどが怪しく紫色に輝いている。そいつの名前は!!


魔禁魚 HP100000


「って金魚かよ!!」

「淡水魚になるとかどうなってるんですかね?」

「見た目に突っ込むのも良いですが体力が回復しちゃってますよ?」

「でも狙いが1つに絞れてとても楽になりましたわ!!」

「これなら倒せます!!」

「クマノミはずっと逃げながら魔法を撃ってきましたからね・・・・。」


目標が1つになった事で楽に倒せる!!そう思ったのがフラグだったのか。金魚の大きな鰭が怪しく輝き始めた。


魔禁魚の魔法攻撃

闇魔道・病原精製・感染源・水質汚染・瘴気・付ケ狙ウ者・文明ノ破壊者・原初ノ厄災スキルが発動

スキルコンボ!闇魔道・病原精製・感染源・水質汚染・瘴気・付ケ狙ウ者・文明ノ破壊者・原初ノ厄災スキル発動により<死の海>スキルが発動 魔禁魚はスキル発動待機時間に入ります。


チャージ完了後。水中に存在している限り継続ダメージ1000ポイント 残り時間120秒 影響範囲 海全体


「はぁっ!?」


今俺達はテッタのバフと食事効果によってダメージ400ポイントなら無傷で乗り切れる。テッタのスキルコンボを入れれば600ポイントまで大丈夫だ。だがこいつはそれをやすやすと超えて俺達に即死級のダメージを入れようとしてきた!!スキルやコンボを合わせたら俺だけは生き残れるがそれだとこいつを倒す手段が無い!!


「ルドさん!!ルゼダの張っている結界じゃ10秒しか持ちません!!」

「結界の張り直しは!!」

「MP回復薬を使って、全魔力を込めても結界強度は最大で10万しか上がりませんわ。つまり100秒しか持ちませんわよ!!」


100秒。100秒か。それだけあっても何も出来ないぞ!?


「それならスキル発動前に倒してしまえば良いんです!!この距離なら!!」


リダの格闘攻撃

闘仙格闘術・心義夢想・破戒連撃スキルが発動

スキルコンボ!!闘仙格闘術・心義夢想・仙人骨・破戒連撃スキル発動により<阿修羅>スキルが発動

気力100使用

ダメージ3000ポイント 連続攻撃 相手の防御を240ポイント無効化

攻撃目標 魔禁魚


「これで4発殴れば倒せます!!」

「馬鹿!!お前が全力で攻撃したら!!」


魔禁魚の回避

スキル発動無し

回避成功

ダメージ0ポイント


リダの攻撃が部屋の中の水は割る。相手はその流れに逆らわず、そのままリダの攻撃範囲から離れて行った。そして水が戻る勢いに乗ってそのまま最初の位置に戻って来る金魚。リダの攻撃は空振りに終わってしまった!!


「あううう、失敗しました・・・・。」

「もう!!魚人さん達も居るんですから無茶は止めて下さいまし!!」

「そうですよ!!ルゼダの結界が無かったら僕達も危なかったですよ!!」

「リダ姉の攻撃は相手に届かへん・・・。」

「もう駄目だよ。私達ここでおしまいなんだ・・・。」

「くっ!!せめてこの人達だけでも!!」

「全員は担いで逃げられないよカイト君・・・。」


魚人達は全員で26人居る。それだけの人数を抱えてこの場からの脱出は難しい。それに相手のあのスキルは効果範囲が海全体と書かれている。つまりここで金魚を止めないと海中に居る生物が全部死滅してしまうって事か!?俺達の行動でこの世界に影響が出ちまうってのか!!


「くそ!!どうにかしないと!!」

「・・・・・ベニちゃん?君は確か走った距離で攻撃力が無限に上がるんだよね?」

「はい。そうですけど、どうしたんですかカイトさん?」


打開策が見つからずに絶望していると、カイトがベニに質問をし始めた。


「確か僕のスキルコンボを使った時、海流によってかなりの速度で動いて居たよね?あの時どれくらいの攻撃力だったっけ?」

「あの時は・・・。確か10秒で1万ダメージでした!!」

「じゃあ、100秒あれば?」

「・・・・。10万ダメージ出せます!!」

「ルゼダさんに聞きたい。結界は僕達を囲うようにだけしか出せないのかな?」

「いいえ、対象を指定してその場を中心として円形に発動しますわ。」


なるほど、カイトのやりたいことは分かった。あの金魚を結界に閉じ込め、時間が許す限り攻撃力を上げたベニに倒して貰おうと言うんだな。確かにこのメンバーの中で一番火力が出せるのはベニだ。攻撃も槍を突き出して走るから、リダみたいに衝撃波で水を割る何て事も無い。水流は生まれるかもしれないが、カイトのスキルコンボを使えばその水流を味方に付けられる!!だが、攻撃を外せば・・・・。


「チャンスは一回ですわね・・・・。」

「相手にピッタリ張り付くように結界は張れないんですか?」

「魔法制御の効果である程度は指定できますわ。ですが動く相手にぴったりと言うのはやはり難しいですわね。」

「じゃああいつを抑える役を誰かがやらないといけないって事ですか!?」


もし万が一回避されてしまえば取り返しの付かない事になる。だからこそベニの攻撃を100%当てられる様にする役が必要だ。そしてそれが出来るのは1人しかいない。


「まっ、俺だけだろうな。金魚を捕まえて置けるのは。」

「どうしていつもいつもルドさんばっかりがこんな目に・・・・。」

「しょうがないだろ。攻撃できない分防御力に極振りみたいなスキル構成なんだからよ。だからそんな顔するなリダ。これでも楽しんでるんだからな?」


楽しく無かったらさっさとこんなゲーム止めてるよ。それに防御特化のスキル構成で良かったよ。これでこいつを仕留められるんだからな!!


「んぐ、んぐ、ぷはぁっ!!結界を張りますわ!!」


MPポーションの効果 ルゼダのMPが100回復


ルゼダの結界

消費MP1000 結界強度100000


魔禁魚は結界に閉じ込められた!!


「僕達も行こう!!」

「はい!!」


カイトの槍攻撃

漁師・流渦潮スキル発動

カイトを中心に渦潮が発生


「この技はダメージが無いから安心して乗って!」

「はい!!」


ベニの槍攻撃

槍使い・チャージ・優れた体幹・空歩・足捌きスキルが発動


ベニが発生した渦潮に乗ってフロアを駆けまわる。


「ルドさん!!100秒お願いします!!」

「分かった。しっかり押さえるから外すんじゃねぇぞ?<巨神鎧>発動!!」


ルドの防御

万想の鎧・金剛巨人体・純潔スキル発動

スキルコンボ!!万想の鎧・金剛巨人体・純潔発動により<巨神鎧>スキルが発動

HPの半分を捧げ、ダメージを5分間無効化


魔金魚の<死の海>スキルが発動

結界により効果範囲が限定される。


ルドに状態異常 猛毒・病気・麻痺・睡眠・緋毒・めまい

純潔の効果 状態異常に抵抗 成功!! ルドは状態異常に掛からなかった。


あぶねぇ!!状態異常まで掛かるのか!純潔を持っていて良かった・・・・。よし捕まえた!!この5分でこの世界の命運が分かれる!頼んだぞ2人共!!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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