第327話

公園の確保が終りました。私達はウィンドルに着陸する様に合図を送ります。向こうも合図を確認したのか徐々に高度を下げてきています。その間に襲撃が在るかもしれないので引き続き私達は周辺の警戒に当たっています。


ドーン!!ドドーン!!


「お城の方も派手にやってますねぇ。ねっお姉ちゃん?」

「そやなぁ。いまSNSちらっと見たけど、城の中にもあの強化兵おるらしいで?勢い勇んで攻め込んで絶賛苦戦中みたいやね。」

「近接戦闘であれば十分脅威になるんですわね。遠距離だと唯の置物になるだけでしたのに・・・・・。」

「閉所だとあの力は余計に脅威ですよね。それを見越していたんでしょうか?」

「それは無いと思いますわ。さっきの兵士達も明らかに自分の力を持て余していましたわ。」


確かにあの薬の効果で上がった力に振り回されていましたね。それにしても投資と奴隷の力だけであのような効果を持つ薬が出来るものでしょうか?


『着陸場所の確保ご苦労!!レーダーに敵影は映っていない。警戒を解いてくれて構わないぞ!』

「了解ですわ。アニスさん達はすぐに降りられますの?」

『私と一緒に降りる。各員別命在るまで上空待機だ。騒ぎが起こったら各自の判断で攻撃して構わない。』

『『ラジャー!!』』


ガゴンッ。プシュー・・・。


着陸したウィンドルから搭乗スロープが降りてきて地面に着きます。次にウィンドルの扉が開き、中からアインさん・アニスちゃん・シーンさんの順番で降りて来ました。


3人が地面に降り立ったのを確認してウィンドルは又上空に上がって行きます。搭載武装が動いている所を見るに、攻撃準備万端の様ですね。


「皆さん、ありがとうございます。あなた方のおかげで私はこの地に戻って来れました。」

「気にしないで下さいまし。この騒動が落ち着いたらクランランクを上げてくれたら問題ありませんわ。」

「それはもう、確実に上げさせて頂きます。」

「城の中でアニス嬢の仲間も動いているみたいだな。何人かから手助けされたと連絡が在った。彼等と合流して目標を確保するぞ。」


さて、お城の中はどんな状態でしょうか。


私達は正面からお城の中に入って行きます。この辺りはすでに制圧済みで、旅人達が奪還されない様に見回りをしていました。城の中からはたまに爆発音や何かが壊れる音、そして人の悲鳴が聞こえます。


「お父様大丈夫でしょうか?」

「今だに発見は出来ていない様ですね。どこかに幽閉されている可能性もあります。」

「お嬢様、聡明なゴルドン様なら大丈夫なはずです。」


そう言えば?今まで考えていませんでしたが、街の実権を握るには父親であるゴルドンさんが邪魔のハズ。そしてアニスちゃんの兄妹2人がすでに権力を握っているという事は・・・。これは最悪を想定しておいた方が良い感じでしょうか?


「報告!!1階は制圧完了!2階もすでに残党狩りの状態にあります!ですが本丸は3階から秘密通路を使って地下に入った模様。現在他の旅人と連携して追撃を掛けていますが、相手の抵抗が激しく中々進めていません。例のポーションの影響かと思われます。」

「報告ご苦労。前線には無理に近接戦闘を仕掛けずに遠距離で削る事を徹底させろ。リダ達の報告から敵は遠距離に弱い事が解っている。」

「はっ!!直ちに連絡します!!」


ウィンドルクルーの人がアインさんに報告を持ってきました。報告する方も支持を出す方もすごく似合っていますね。やっぱりそう言う役職の人なんでしょうか?


「手の空いた者はゴルドン氏の捜索も行え。報告はまず私に上げる事、良いな?」

「了解しました。」

「さて、ではアニス嬢。あなたの御兄弟に会いに行きましょうか。」

「はい、地下でしたらここからでも行けるはずです。着いて来て下さい。」


アニスちゃんが先頭に立って私達を案内してくれます。元々王城と言う事もあって無数の秘密通路が隠れているそうで、2人の兄妹が使ったのもその1つだとか。その通路の先は地下にある広い部屋に通じているんだそうです。私達もその部屋に通じる通路の中を進んでいきます。


「その部屋はどんなことに使っているんですの?」

「私が留学する前は唯の物置のはずでしたが・・・・。」

「そこに逃げ込む理由が解らんよなぁ。」

「もしかしてその場所でパワーアップポーションの研究をしているとか?」

「十分ありえるね。それにこれ、鑑定したらやっぱり妖精関係の物みたいだし。」

「バッチリ名前に書いてありますもんねぇ。」


書いてあるアイテム名がこちらになります。


パワーアップポーション(妖精の残滓)


詳細はなぜか鑑定できません。妨害されているのか、専用のスキルが必要なのかは解りませんが、これがろくでもない代物なのは想像できます。残滓、つまりは残りカスと言う事ですからね。


「一体兄様達は何をしようとしているんでしょうか・・・。」

「そこは難しくありませんわね。現王政を乗っ取るつもりなんですわよきっと。」

「あー、それで兵士を強化しようと?」

「戦争で生き残った残党までつこうて争いを起こそうちゅうんやね。ほんま傍迷惑な奴等やで。」

「それも半分以上頓挫しているがな。何せ薬が完成していざ性能実験!という時に私達が来た訳だからな。」


まぁ実戦でデータを集められると考えれば無駄では無いのでしょうが、公園での戦闘を見るにあまりにもお粗末な結果ですからね。時間的猶予はこちらに在ると見て間違いないでしょう。


「この先が目的の場所ですわ。」

「各員警戒を怠るなよ?脳の足りない奴等だろうとやっている事はテロと一緒だ。テロリストは何をしてくるか解らんぞ?」

「いつでも準備できてますわ。」

「切り込み隊長なら任せて下さい!!」

「私達も頑張ろうねお姉ちゃん!」

「うちの銃が文字通り火を噴くで!」

「僕は出来るだけ盾として動くね。」

「よろしい!!では突撃!!」


部屋の扉を勢いよく開けたアインさん。部屋の中は明るく、詳細な様子が確認出来ました。


底には透明な容器に入った羽の生えた光の玉と、その前に剣を持って荒い息を吐く壮年の男性。そしてその男性を忌々しそうに見つめている、女性と男性と兵士達の姿が在ります。


「お父様!!」

「アニス!?そうか、上の騒動はお前か!!どうして戻って来た!!」

「それは、この街に住む人々を助けたくて・・・・。」

「ちぃっ!もうここまで来たのか!!」

「そこを退きなさい!!たとえお父様と言えど“それ”に勝手に手を触れるのは許しません!」

「何を勝手な事を!!このお方は代々王家を見守られてきたのだぞ!それを私利私欲の為に利用しようなどと恥を知れ!」


何やらこちらの事を無視して言い争いを始めてしまいました。あの容器に中に居るのはやはり妖精?容器の大きさからみるにかなりの数が入っていたみたいですが、今は最後の1人になっているみたいです。


さて、この状況で私達が取る行動は何でしょうか?まぁ考えなくても解りますよね。私も考えるより先に体が動いてますし。


「助太刀します!!」

「アニスさんの守りはこちらに任せて!!」

「クリンと2人で守りますわ!!」

「第1目標はゴルドン殿の確保!第2目標はあの容器を渡すな!!現状を持って首謀者の捕縛を放棄する!繰り返す“首謀者の捕獲は放棄する”!!」

「行くでベニ!!」

「うんルリ姉ちゃん!!」

「私の兵士達!邪魔する奴等を足止めして!!」

「こちらは父上の排除だ!殺してしまっても構わん!!」

「お前達にやられる程耄碌しておらんわ!!」


プリンの命令で動いた兵士が私達の前に立ちはだかります。全員がすでにパワーアップポーションを服用しているのか、筋肉が盛り上がっていますね。まぁそんなの私には関係ありませんが。


「押し通ります!!」


リダの格闘攻撃

シタッパー1~15への攻撃

複数攻撃目標の為ダメージ低下


拳闘・蹴闘・戦闘術・心義夢想・連撃・軽業・気功・内丹術・闘気術スキル発動

スキルコンボ!!拳闘・蹴闘・心義夢想・軽業・気功・内丹術・闘気術の効果により<仙闘術(仮)>スキルが発動!!

連撃スキル発動 10コンボ達成!! ダメージ+10ポイント

シタッパー1~15にダメージ20ポイント

シタッパー1~15は気絶した。


「そんな!?」

「うちらも無視したらあかんで!!」


ルリの銃攻撃

高速装填・銃使い・鷹の目・両銃持ちスキル発動

クリティカル!!ヘッドショットにより追加ダメージ5ポイント×2!!

ダメージ20ポイント


シタッパーAにダメージ20ポイント

シタッパーAは気絶した。


「私もいますよ!!」


ベニの槍攻撃

槍使い・チャージ・空歩スキル発動

チャージ距離15メートル。ダメージ+15ポイント

ダメージ20ポイント


シタッパーBにダメージ20ポイント

シタッパーBは気絶した。


「リダ姉さんは先にいくんや!!」

「邪魔する人は私達が相手になります!!」


銃を乱射するルリちゃんと、空中を立体的に動きながら相手に攻撃するベニちゃん。2人のお陰で私の前に居る兵士さん達は居なくなりました。次はゴルドンさんに襲い掛かっている兵士の排除です!!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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