第325話
一方ルドを置き去りにして飛び立ったウィンドルはと言うと・・・・。
「今すぐ引き返して下さい!!」
ルドさんがウィンドルに乗っていない事に気が付いた私達は、アインさんに直接抗議しにブリッジに赴いています!アニスちゃんを助けたルドさんを置き去りにするなんてひどいですよ!!私達も乗っていない事に気が付くのは遅かったですが・・・。
「無理だ。暴徒鎮圧にどれだけ時間が掛かるか分からないんだぞ?今引き返せばそれこそイベントに間に合わなくなる。大勢がイベントに参加出来るかどうかの瀬戸際なんだ。1人の為にそこまで出来ん!!」
「ご自分が搭乗確認を怠った所為ですのに。」
「ぐっ・・・それは済まない。だが戻る事は許可できない!!それにもうヒュマニアは目の前だからな。」
アインさんの言う通り、ウィンドルからはすでにヒュマニアの街並みが見える所まで来てしまっていました。そんな中でこれ以上口論している時間も無く、私達は慌ただしいブリッジから渋々退散するしかありませんでした。
「くぅ~!すぐ戻って来るからとシルさんへの報告に行かせたのが間違いでした!!」
「まぁまぁリダ姉ちゃん。これはもうしょうがないで。」
「ルド兄さん抜きで戦うしか無いですよ。」
「それだとクリンが前衛になりますわね。」
「うーん。僕はヘイトスキルを覚えてないからなぁ。ベニちゃんは?」
「私もまだ覚えてないんです・・・・。」
「盾役をルドさんに任せっきりにしていた付けが回って来ましたわね・・・。」
「ルドさんそれしか出来ないから仕方ないよルゼダ。」
ブリッジから邪魔にならない所に移動する為に私達は通路を進みます。すると、艦内のスピーカーから声が聞こえてきました。
『艦長のアインだ。我々はヒュマニア上空に到着した!!これよりヒュマニア行政区各への空挺降下を開始する!!各員気を引き締め、ターゲットの捕縛を優先する事!!』
『すでにヒュマニア側にこちらは認知されています!遠距離攻撃を行う兵士達が集まって来ていますので降下中は十分注意して下さい!!』
『ウィンドルからの援護射撃も一緒に行う。降下開始はこちらの降伏勧告の直後となる。それまでに降下要員は後部ハッチに集まってくれ!』
どうやらウィンドルはすでにヒュマニアの上空に到着してしまったみたいです。通路のあちこちで私達以外の旅人が慌ただしく移動を始めました。本来でしたら私達も降下開始に参加するのですが。ルドさんの事が在って中々踏ん切りがつきません。
「リダさん。ここでボーッとしていても仕方ありませんわ。置いて来てしまった者は諦めて、クエストをクリアしてクランランクを上げませんと。」
「そうやで!!兄ちゃんやったらもしかしたら追いついて来るかもしれへんしな。」
「いくらルドさんでもそんな方法無いと思うけどね。でも僕もルゼダの意見に同意かな。ルドさんが聞いたら驚くような活躍をして待ってましょうリダさん。」
「もうすでに皆移動しちゃってますよ。私達も急ぎましょう!!」
「・・・・そうですね。それに私達はアニスちゃんが降りれるように着陸場所を確保する任務が在ります。そうと決まれば早速動きますよ!!」
ルドさんには申し訳ありませんが・・・・。そこは私達がクエストクリアして許して頂きましょう!!
早速後部ハッチに来た私達。このハッチは今回の作戦の為にウィンドルの後部を一部改修して作られたなんと新機能何です!!いやぁ、集まった人の力っていうのは本当に凄いですよねぇ。
『現在アニス嬢が降伏勧告をしている。だが結果は芳しくない。作戦はDプランに移行する物と考えてくれ。』
『プランの内容を知らない人にご説明します。Dプランはデストロイプラン。邪魔する者はなぎ倒し、目標を確保するプランです。この際なるべく住人に被害は出さない様に!!よろしくお願いします。』
『名前からして不穏だと思ってるのは俺だけですかい?』
どうやら外ではアニスちゃんが下に居る兄妹に降伏勧告をしている様です。防音が完璧な後部では全く聞こえませんね。
『なお、アニス嬢の兄妹が言っていた言葉を皆に伝える。まず兄の方からだ「そのようなものアニスにはもったいない!!兄である私が有効に活用する故、すぐに譲渡せよ!!」次に姉だ。「その船を豪華に飾って私専用の旅行船にしましょう!!そのほうがアニスも喜ぶでしょう?」だそうだ。全く、この船が誰の物かも解らんとは・・・・。一発撃っとけ。』
『駄目ですぜ艦長。ちゃんと降伏勧告が終ってからじゃないと。』
『なに、相手に聞く耳が無ければ意味が無かろう?少し耳掃除をしてやるだけだ。威嚇射撃開始!』
ドドドドン!!
えっ!?本当に撃っちゃったんですか?これじゃ私達が降りる意味あまりなく無いですか?
『ははは!見ろ!!あの兄妹尻もちついて漏らしてるぞ!!』
『艦長やり過ぎです!!船の所有者がどうせむさい男だの、優雅さに欠けるだの、人望が無いだの、絶対に独身で相手が見つかった事が無いだのと言われたからって!!』
『絶対最後の奴が突き刺さってやすねぇ・・・・。』
『えぇい五月蠅い!!それよりも後部待機組は今の内の降下開始!!敵は茫然としているから無力化も楽だぞ!!ゴーゴーゴーゴー!!』
『まだハッチ開けてやせんぜ!?あぁもうハッチ解放しやす!!』
ウィーン!!
徐々に後部ハッチが開き、外の景色が目見える様になりました。さっき威嚇射撃と言いませんでしたっけ?何やらお城の様に見える所の屋根が吹き飛んでいるのですが?
『あれは事故だ!!』
『生体反応が無い尖塔を狙い撃ちした癖に・・・。』
『ん?何か言ったか?ん?』
『はいはーい、とりあえず皆さんは地上に降りちゃって下さーい。』
スピーカーから何やら殴り合うような音が聞こえていますが・・・、まぁ良いでしょう。私達は自分の仕事をやるだけです!!
「では私達は行政区の公園を抑えに行きます!!」
「えーっと確か・・・・あそこですね。」
「結構大きいなぁ。あれならウィンドルも余裕で着陸するやん。」
「だからあそこが選ばれたんだよ?ちゃんとお話し聞いてたお姉ちゃん?」
「もう、そんな怖い顔せんといてぇなぁベニちゃん。ちょっとしたお茶目やん。」
「ほらさっさと行きますわよ!!」
ここで降下したら落下ダメージで死ぬのでは?と思った人は多いと思います!!実際このまま落下すれば私達は落下ダメージを喰らってリスポーンする事になります。ですが、そこは解決策がちゃんとあります!!
「ルゼダ姉ちゃんよろしゅぅ頼むで!!」
「では結界ですわ。」
「ベニちゃんお願いね。」
「はいです!!」
まずルゼダちゃんの結界で紙飛行機の様な結界を作ります。全員でそれに乗って降下し、止まる時はベニちゃんの<空歩>スキルを使って減速するのです。本来であればシアちゃんやアイギスちゃんにも手伝って貰うはずでしたが・・・。まぁ何とかなるでしょう!!
「では行きます!!」
全員が結界の乗った後、ベニちゃんが空を蹴ります。すると紙飛行機は安定したまま空を滑り降りて行きました。
「ルゼダちゃん大丈夫?」
「風を受け流しているだけですからそこまでダメージは在りませんわ。思っていたよりも軽いくらいです。」
「あっ、ダメージ自体は在るんだ?」
「回復しながら降りれば問題は在りませんわ。ですが下から攻撃を喰らうとまずいかもしれませんわね。」
空気を遮断して滑り落ちている為か、風の流れが攻撃として処理されちゃっているみたいですね。あわよくば結界と空歩でずっと空を飛ぶ!!何て考えていましたがそこまで出来ませんか。
「他の方々もそれぞれの方法で降りてますわね。」
「パラシュート何ていつの間に作ったんだろう・・・。」
「あっ見てみてお姉ちゃん。あの人友魔に乗ってる!!」
「ほんまや!!飛べる奴もええなぁ。」
私達は目標の公園に向かってのんびりと空を滑空していくのでした。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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