兎に導かれて

第267話

師匠とリダの言い合いを宥めながら、魔物討伐の為に平原迄来た俺達。そこで早速とばかりに師匠が魔物を討伐しているのだが・・・・。師匠の規格外っぷりをまざまざと見せつけられ俺達はその場で立ち尽くしていた。


「そこ、そこ、そこにそこ。はいはいはいっと。」


シチートの攻撃

爪による魔法攻撃。

<真空刃><魔導体><魔眼>のスキル発動。

クリティカルヒット!!首に致命ダメージ!!ダメージ3倍!!

不意打ち!!未発見ボーナス+5ポイント。

連続攻撃。対象はジャイアントスライム、ジャイアントラット、ジャイアントウルフ、ラブラビット

各魔物にダメージ60ポイント。


ジャイアントスライムは倒れた。

ジャイアントラットは倒れた。

ジャイアントウルフは倒れた。

ラブラビットは倒れた。


オーバーキル!!ドロップ品が減少!!


俺は目の前の光景が信じられなかった。師匠が飛び上がったと思ったら爪から刃の様な物が飛び出し、次々と魔物の首に命中してその命を狩り取って行った。だが一番驚いたのは倒された魔物の中にあのラブラビちゃんが混じっていた事だ!!俺に<愛され兎の友>という称号をくれたあの兎ちゃんが今、無情にも師匠の攻撃によってポリゴンになって消えて行く・・・・。


「ラブラビィィィィィィィィッ!!」

「突然叫んでどうしたんですのルドさん?」

「シチートさんやり過ぎですよ。ドロップ品がほとんど消えちゃったじゃないですか。」

「あらら、ルドきゅんの前だからって張り切り過ぎちゃったわね。」

「むーーー!!私もあれくらい出来ます!!」

「シアはもっと上手に出来るよ!!」

「(*・ω・)/」


状況を説明すると飛ぶことが出来る師匠は空中から獲物を見つけ、敵が気付く前に真空刃で簡単に倒す事が出来るみたいだ。平原では空中に居ると広い視野を確保出来て、攻撃の射程も結構長いと来た。だから今師匠は目に付いた魔物に無差別に攻撃して一方的な蹂躙を繰り広げている訳だな。威力が高すぎてドロップ品が消えたけど、討伐証明はドロップとは別で手に入ってるから問題無いぞ。


「ラブラビィィィィ・・・・。」

「ルドさんあんなに泣いてどうしたんですか?」

「あのピンクのウサギちゃんに昔称号貰っていて、今作でも仲良くしたかったみたいです。」

「・・・・もうポリゴンになって消えちゃいましたね。」

「ルドきゅんごめんなさい。次見つけたら捕まえて上げるから泣き止んで?」

「本当?本当に捕まえてくれるの?」

「きゅ~~~ん♡涙目のルドきゅん可愛いっ!!任せなさい師匠が絶対捕まえてあげるわ!!張り切っていくわよぉ~!!」

「今のルドさんの顔ってごついおっさんの泣き顔ですよね?」

「シチート姉さまの目にはパパフィルターが付いてるみたい。」

「(*´・ω・)(・ω・`*)ネー」


うるさいやい!!ラブラビちゃんは可愛いんだぞ!!あのモフモフに顔を埋めればそれはもう至高の感触何だからな!!あと顔がごついのはほっといて!!


さて師匠がこの調子で魔物を狩ってくれるなら結構速く目標額を達成できそうだな。俺達も戦うから討伐数はかなり稼げるだろう。俺?俺はほら、シアとアイギス任せだから・・・。いやぁパーティーで依頼受けれて良かった。討伐数はパーティーで倒した数として計上されるから、シアやアイギスが倒した分も報酬が貰える。まぁ今回は手に入れた報酬は均等割りにするって事で話が付いてるけどな。


「ルドさんはい!!ラブラビ捕まえて来ました!!」

「おー!!ありがとうなリダ!!ラブラビちゃーん久しぶりーうりうりー♡」

「きゅー♪」


そんな事を考えていたらいつの間にか姿を消していたリダがラブラビットを抱えて持って来てくれた!!いやぁ相変わらず愛らしいうさぎちゃんだなぁ、モフモフが捗る!!はぁ~、この手触り幸せぇ~・・・・。


「くっやるわね雌猫!!」

「ふふん、私の方がルドさんの役に立ちますから。」

「ならば私は早く道場を開いてルドきゅんに流派を教えるわ!!とう!!」

「私も負けません!!」


お互いに視線で火花を散らした後に魔物に向かって突撃していく2人。君たち少しラブラビちゃんで癒された方が良くないかい?


「・・・・急がないと僕達の出番無くなりそうだね。」

「何もしないまま報酬は貰えませんわ。私達も行きますわよ。」

「シアも頑張る!!だからそろそろ戻って来てパパ?」

「(*´∀`)Σ⊂(゚Д゚ ) 」

「はっ!!俺は一体何を!!」

「きゅーっ!!」


アイギスの突っ込みでラブラビちゃんの魅惑のもふもふから目が覚める俺、すでに魔物に突っ込んでいった師匠とリダは、目に付く魔物を奪い合うように倒している。


「あっ!!それは私の獲物よ!!」

「ふふん♪早い者勝ちですよーっだ!!」

「このっ!!あんたから先にやっても良いのよ雌猫!!」

「やってみなさいこのアバズレ!!」


・・・・・・。もうほっとこう、俺が何を言ってもあの2人は止まらない気がする。一方ルゼダとクリンは協力して魔物の対処をしているな。あの2人は安定しているから見てて心配するようなことは無い。さてと、そろそろ俺も動きますか。


「きゅぅ~♡」

「はぁぅぅぅぅ、ラブラビが可愛すぎて動けぬぅぅぅぅぅ・・・。」

「この兎あざとい。パパが骨抜きにされちゃった・・・・。もう私達で頑張ろうアイギス。」

「( ̄▽ ̄)ゞラジャ」


ラブラビットが俺の頬に自分の頭をこすり付けて来た!!こんなに甘えられたら撫でる他あるまい!!こんなにかわいい子を引き離すなんて俺には無理だ!!なんて事をしていたらシア達まで狩りに行ってしまった。皆普通に戦えてるし、俺の出番は無いか。


「きゅっ!!」

「あぁっ!!ラブラビちゃんどこに行くの!?」

「きゅ~♪」

「追いかけて欲しいのかい?待て待て~♪」

「きゅっきゅきゅ~♪」


撫でていた腕から飛び降りたラブラビちゃんが少し進んだところでこっちをじっと見て鳴いた。おしりを振り振りしている様子はまさに小悪魔!!もふもふ好きを駄目にする存在!!それがラブラビちゃん!!俺もその誘惑に抗えずに後を追う事しか出来ない!!


俺は夢中になってラブラビちゃんの後を追うのだった。


一方残った狩猟組はと言うと・・・・。


「あれ?ルドさんどこに行きました?」

「パパ~?どこ行ったの~?」

「(。´・ω・)?」


目標であった魔物100匹の討伐が終り、冒険者ギルドにクエストクリアの報告をしようとした所でルドさんの姿が無い事に気が付きました。


「大変ですわ皆さん!!ルドさんがマップのどこにも居ませんわ!!」

「本当だ!!PT組んでるから位置が分かるはずなのに!!」


私の疑問にルゼダちゃんとクリン君がルドさんの居場所が分からなくなっていると教えてくれます!!同一PTに登録されている人はマップに表示される仕様何ですが、ルドさんの現在地は何処にも映って居ません。ログアウトしたのかとフレンドの画面を確認すると、ログインと表示されているので何かに巻き込まれた可能性が高いです!!


「なんですって!!こうしちゃいられないわ、きっとルドきゅんはピンチになって泣きながら私の到着を待ってるのよ!!そこにさっそうと現れる私!そしてピンチを脱出した2人は新しくなった道場で・・・ぐふふふふ。」

「変な妄想を垂れ流すなこの発情悪魔!!」

「ぶへぇっ!!」


とりあえず口から変な妄想を垂れ流す悪魔を殴り飛ばして落ち着きます。一体ルドさんは何処に行ったんでしょうか?


しばらく狩りを続けていて、ようやくルドが居なくなっている事に気が付いた面々は、ルドの行方を追って周辺を捜索し始めるのだった。


さて、行方不明であるルドはと言えば。


「ここ、どこだ?」


洞窟の中で1人迷子になって居るのだった。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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