第170話
俺達は解った事をチャットで報告し、シアを迎えに万魔図書に戻って来た。メガネ達はすでにクエストを終わらせ、入館証を使って図書館の本を読みふけっているそうだ。ウケン達は素材調達が難航していると連絡が在り、集合は遅れるとチャットで返事が来た。
「ぱぱおそい!!しあまちくたびれた!!」
「おう、待たせて悪かった。ほら、おやつ買って来たぞ。一緒に食べよう。」
「わぁーい!!」
〔おやつでしたらイートインスペースをお使いください。〕
海底都市で手に入れた絵本を調べていたシアとはここで合流。クエスト消化に時間が掛かってるのは解ってたからな。機嫌を直す為におやつ買って来て良かったぜ。
「シアちゃん。絵本の事分かったんですか?」
「うん!!あのごほんだいじなものだったんだって!!ねぇ~。」
〔はい、大変貴重な本でございます。〕
リアンがそういうって事はかなり希少性の高い物だってことだな。そうなると本の内容が気になるなぁ。
「そうなんですの?どんな絵本でしたの?」
「きょしんでんせつってごほんだった!!えとねぇ~もじがふたつかいてあるの!!しあもうひとつのもじがよめなくてよむのやめちゃってたの!!」
きょしんでんせつ?巨神伝説か?えっ?それってもしや盗まれたって本じゃないのか!?
「リアン、巨神伝説って盗難に遭った絵本で合ってるか?」
〔はい、この本は万魔図書から盗まれた本で間違いありません。取り戻して頂き感謝しています。〕
「それ!!それ見せてくれ!」
〔今お持ちします。〕
「ぶー!!これしあのほんだよ!!かってにもってったらめー!!」
〔申し訳ありません。シア様、ルド様がその絵本を読みたいそうですよ?〕
「そうなの?はいぱぱどうぞ!」
「ありがとうなシア。」
シアから渡された絵本には確かに、普段ゲームで使っている言葉、つまり日本語とあの壁画の文字が並んで書かれていた。絵本としてもしっかりと作られていて、絵と文字で物語りが綴られている。その書かれている絵がどう見てもあの壁画の絵にそっくりだった。
~・~・~・~・~
巨神伝説
遥か昔、この地には神様が居ました。その神様は別の神様から、大地を作れと言われていました。
神様は一生懸命頑張って大地を作り上げました。するとそこに色々な命が生まれたのです。神様は自分が作った大地に生まれた命が大好きでした。せっかく生まれた命達が消えてしまわない様に、大事に見守り時には手助けをしました。
そこに、大地を作るように言った神様が様子を見に来ました。大地を作った神様は様子を見に来た神様に自慢します。立派な大地に沢山の愛しい命が生まれたと。
しかし、様子を見に来た神様はその命を許しませんでした。せっかく生まれた命をすべて消し去ろうとしたのです。
大地を作った神様はそれに反対しました。すると世界を作った神様が怒り分身を使って勝手に命を刈り取り始めたのです。
分身は大地に生まれた命を作り替え、自分の兵隊としました。大地の神様は、難を逃れた命達と協力して分身達と戦いました。まだ被害に在っていなかった命達はその姿を見て、次々と協力を申し出ました。
大地が作れる程の大きな体を持った神様を巨神と呼び、命を刈り取る神様を破壊神と呼び、人々は一致団結します。破壊神の分身が生み出した兵隊の中にも巨神に協力する物が現れだしました。
次第に分身を減らしていく破壊神。しかし、破壊神はまだ諦めていなかったのです。世界に瘴気を生み出し、そこから魔物と呼ばれる命を刈り取る生き物を生み出しました。
分身に生み出された兵隊も、魔物に変わる仲間を見て恐怖しました。そして生みの親である破壊神を裏切り、巨神の仲間になりました。
魔物を生み出す分身の話を聞いた巨神は怒り。命達と協力して最終決戦に臨みました。多くの魔物を打ち倒し、多くの命達を失いながら巨神は何とか破壊神の分身を倒します。
巨神は最後に破壊神をこの世界から追い出し、世界は平和になりました。ですが破壊神の脅威はこれで終わりでは無かったのです。
破壊神は世界の外で新たな力を得て戻って来ました。そして瘴気を使い巨神を倒してしまったのです。
巨神亡き後世界はバラバラになりました。命達は破壊神の瘴気を取り込み、他人を信じられなくなったのです。
ですが、バラバラになった命達の中で巨神の教えを守ろうとする者が現れました。その命達は瘴気に貫かれた巨神を埋葬し。お墓を建てました。
巨神の教えを受けた人達はお墓を建てた後、破壊神との闘いを続けました。かつて巨神がそうした様に、自分達が動く事でまた1つに纏まろうとしたのです。そして最後には集まった命達の協力を得て破壊神をこの世界から追い出したのです。
しかしこの世界はすでに瘴気で溢れ、魔物が生まれ続けてしまう世界に変わっていました。命達も大きく数を減らし、自分達が生き残る為にまた争いが起こります。
巨神の教えを受けた命達は、自分達の命はもうすぐ消えてしまうと考えました。そうなれば巨神の教えは消えてしまう。だからお墓に巨神の偉業を残しました。
いつか巨神の後を継ぐ者が現れ、バラバラになってしまった世界を守って貰えるように。
【この本を読む者よ。この本にはかつて巨神が、いや、世界中の人が使っていた言葉が書き記してある。それが読めたのならば、かの墓地を目指せ。
そこには巨神へ至る道が残っている。巨神語が読めたのならば資格は在るはずだ。破壊神は必ず戻る。その時に、大地に溢れる命を救ってくれ。あの麗しき女神が愛したこの世界の命達を・・・・。】
~・~・~・~・~
絵本に書かれていた内容は壁画だけでは分からなかった場所を補足していた。それに壁画に書かれていなかったその後の話も絵本に書かれている。多分この作者は破壊神をこの世界から追い出した後にこの本を書いたんだろう。
最後の文章は多分作者が書き加えた物なんだろうな。ここだけは巨神語だけで書かれてる。いやぁ絵本を読んで、日本語の横に書かれている文字が読める様になってなかったら最後の文章は解らなかったな。これも試練の1つだったって事か。
俺は試しに壁画のスクショを見てみる。文字が浮かび上がって・・・・来ない!!絵本の文字が読める事から直接文章を見ないと駄目なんだろうなこれ。ほら、ストーリークエストの目標が巨神墓地に行くに変わってるし。
「ルドさんどうしました?」
「絵本に書かれてる文字が読めるようになった。クエスト目標も変更されてるぞ。」
「本当ですわ。」
「ぱぱこれよめるの?すごーい!!」
「それは本当ですか!?」
「記録を!!記録をさせて下さい!!」
他の場所で本を読んでいたはずのメガネ達がいつの間にか俺達を取り囲んで何やらメモを取っている。俺が絵本を読んでる様子何て書いて何になるんだよ!!
「内容は!!内容はどうでした!!」
「絵本の内容は日本語で書かれてるのと一緒だよ。だけど最後の文章だけは作者からのメッセージだ。」
「どんな内容でしたの?」
「いつか破壊神が戻って来る。その時に対抗できるよう、巨神の後継者を作れとさ。あっちなみに巨神様は女性だったらしいぞ?女神って書いてある。」
「それは貴重な情報です!!書き記さねば!!」
〔当該情報は外部持ち出し禁止です!!メモ及び画像の使用は不許可です!!〕
「「「「「「えぇーーそんなぁーーーーーー!!」」」」」」
『英知の図書』の面々が大きなブーイングをリアンにしている中、俺は絵本を持ったままシアの前に座る。
「シア、この絵本は昔の人が未来の人に向かって書いた本だ。この本は多くの人に見て貰って初めて、その役割を果たせる。」
「そうなのぉ~?」
「そうなんだ。だからこの絵本はこの図書館に寄付したいと思う。それでも良いか?」
「しあのごほんなのにぃ~・・・・・。」
まぁシアが報酬として貰った物だからな。でもずっと俺達が持ってるのも多分違う。これは多くの人に見て貰わないといけない奴だ。簡単に言うとワールドクエスト関係の重要アイテムの1つだと思う。
〔シア様。絵本の写本を許可して頂ければそちらの本はそのままお持ち頂いて大丈夫です。〕
「良いのかリアン?情報の持ち出しは禁止なんだろ?」
〔この本はシア様の持ち物です。勝手に我が図書館でメモを取り情報を拡散する事を禁止しただけです。シア様から許可を頂ければ写本も情報の拡散も許可できます。〕
「だとさ。シアどうする?」
「どういうこと~?」
「その本の中身を写させてくれたら、本はそのまま持っていて大丈夫だそうですよ。」
「いいよ!!でもすぐにかえしてね?」
〔はい、すぐにお返しします。〕
「我々にもその写本をください!!」
〔あなた達は自分でメモを取りなさい!!写本の閲覧は許可しますから。〕
「やるぞ皆!!」
「「「「「「おう!!」」」」」」
メガネ達盛り上がってるなぁ。さてと、ウケン達が戻って来てから再度巨神墓地の調査だ。あの壁画には一体何が書いてあるんだろうな?
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited
2022/6/17 今回はここまで!!いかがでした?壁画の謎、ゲームの中の歴史の一部が出てきましたね。もちろんこれは神話の一部、他の神話も・・・今考え中ですw
さてさてストーリークエストの話はもうちょっとだけ続きます。銃開発や飛行船の話とかアイデアばっかり溜まっちゃって全然消化しきれてないな・・・・。
まぁぼちぼち書いて行きますので、次回の更新をお待ちくださいませませ!!ではでは(´∀`*)ノシ バイバイ
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