第15話
*
<車の中>
ブロロロロ……
司書「わざわざ聞く必要ないけど、もちろん断るんでしょ?」
姉「そりゃあ、もちろん」
司書「でしょうね」
姉「本気で言ってたのかからかわれたのか分からないし」
司書「いやいや、絶対本気で言ってるって」
姉「そうかなあ……」
司書「もし断ったら『先生わたしにやさしくしといて断るんですか』って言われるかもよ」
姉「でもそれは普通に慕ってくれてる生徒だし……」
司書「姉さんって昔からそうだよねー」ヤレヤレ
姉「なにが」
司書「そういうところの線引きが曖昧だから、いろんな人に勘違いさせるし、勘違いされる」
姉「……だってさ、普通に、わたし女だし」
司書「……女だから、同性からセクハラまがいの質問されたり、さりげなく身体触られたりしても何も言わないの?」
姉「まあ」
司書「さすがに生徒に誘われたりしたのは初めてでしょ?」
姉「……」
司書「……え、あるの?」
姉「…………軽い感じのなら。真面目に断るのも変だし、全部流してたけど」
司書「えー」
姉「司書ちゃんわたし間違ってる?」
司書「……いやまあ間違ってはないと思うよ。相手は思春期の子達だしね」
姉「うん」
司書「でも姉さんがそういう感じの人って噂が流れたりしたら元も子もないじゃない」
姉「もう流れてる」
司書「そうだろうとは思った」
姉「『彼氏いますか?』『いないよ』『作る気は?』『ないかな』でそうなる世界らしい」
司書「あーね」
姉「ちょっと関わっただけで言われるなら、それはもう防ぎようなんてないじゃん」
司書「そうね」
姉「どうしようもないし、気にして態度を変える方が傲慢かもだし、これからも変わらずにいるしかないよね」
司書「姉さんがそれでいいならいいと思うよ」
姉「うん」
司書「でも、妹ちゃんはどう思うかな」
姉「……どうして妹?」
司書「言ってたじゃない。女の子から告白されたんでしょ? アンタの妹ちゃん」
姉「……」
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