第13話




生徒A「あ、姉先生はろー」


姉「はいはい、はろーはろー」


生徒A「いきなりだけど先生褒めて褒めて」


姉「……えっと、テストのこと?」


生徒A「そうです」


姉「このまえ追試かもとか言ってたのに全然余裕だったじゃない」


生徒A「実は今回がんばりました。後付けですけど」


姉「答案から伝わってきたよ」


生徒A「ほんとですか?」


姉「一点でも多く取ってやるって思いが伝わってきた」


生徒A「冬休みの課外取るには八割必須って書いてあったので」


姉「……あー、でもここだけの話、べつに八割なくても人少ないから通るんだよ」


生徒A「そうっぽいのは聞いてましたけど、もしかしてってあるじゃないですか」


姉「そんなに課外受けたかったの?」


生徒A「……まあ、そうです」


姉「がんばったね」ナデナデ


生徒A「…………う、」


姉「う?」


生徒A「……」


姉「……」


生徒A「れしいです、はい」


姉「……あ、勝手に撫でてごめんね」パッ


生徒A「や、いいですいいです。むしろありがとうって感じです」


姉「ついつい撫でてしまった」


生徒A「……もしかして、妹さんで慣れてたみたいな?」


姉「そうね」


生徒A「上手かったですよ」


姉「そう?」


生徒A「わんもあわんもあ」


姉「しないよ」クスッ


生徒A「えーなんでですかー!」


姉「ふふふ」


生徒A「えー、じゃあ次のテストも頑張りますから」


姉「期待してるね」


生徒A「次は満点目指します! 今回学年で一人しかいなかったらしい満点を!」


姉「がんばって」


生徒A「姉先生にそう言われたからにはがんばっちゃいますよ!」


姉「うん。……あ、そういえば生徒Bさんは今日は一緒じゃないの?」


生徒A「えっ、あっその、そうですね」


姉「……ん? え、何かあったの?」


生徒A「なにもないですよぉー、ははは」


姉「はははて」


生徒A「落ち込んでるんですよー、あの子。めちゃのめちゃに、やばいくらいに」


姉「どうして?」


生徒A「テストが悪かったから」


姉「……」


生徒A「……ってのはウソでー、振られちゃったんですよ」


姉「……へえ、生徒Bさん恋人いたんだー」


生徒A「あ、ちがいますちがいます。好きな人に告って振られたんです」


姉「……それわたしに言っていいの?」


生徒A「や、その、相手が相手なので……」


姉「えっ」


生徒A「一年のころ同じクラスでそこそこ仲良くしてて、クラス離れたけどずっと好きだったみたいでーって感じです」


姉「……」


生徒A「クリスマス予定空いてるかって聞いたら、もう入ってるって言われたみたいで、それでいてもたってもいられなくなって好きって言っちゃったらしいんです」


姉「……あ、うん」


生徒A「……」


姉「……」


生徒A「……姉先生は?」


姉「わたし?」


生徒A「クリスマスは彼女さんと過ごすんですか?」


姉「え? いや、ないない。いないし」フリフリ


生徒A「そうなんですねー!」ニコニコ


姉「まあ……」


姉(ていうか彼女って言ったよね……)


生徒A「……あれですね。わたしもクリスマスイブは姉先生の課外ですけど、クリスマス当日は暇かなー、なんて」


姉「……あの、生徒Aさん」


姉(それってそういうことなの)


生徒A「考えといてくださいね! ではまた!」シュタタタッ


姉(やっぱりそうなのかー……)


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