第16話:三津屋アキラ、自覚なくのろける
「なんか……俺、どんどんおまえのこと好きになってるわ」
「あっ、あっ! ああ、アキラ! もっと来て! 奥、までぇ!!」
「すげぇかわいい。どう? これ奥当たる?」
「ひぁあああ!! あぁん! 来てる! 凄い! ア、アキラ! もっとぉ!!」
「やべぇな、俺、おまえのこと壊さないように大事にしなきゃだな」
「はぁ、え?」
「力尽くでめちゃくちゃにしたくなる。やべぇ、我慢しねぇと」
「はっ、はっ、ア、アキラの好きに、していいよ」
「そんなこと言われてしまいますと聖なる性獣アキラさん、本領発揮してしましますよ?」
「え、今まで、あ、あ、本気じゃ、なかったの?」
「いや、なんかこう、気持ちがちゃんと入ってなかったっていうか。他の連中とは。でもおまえ、結斗、おまえ超かわいいんだもん」
そう言うとアキラはベッドで俺に覆い被さっていた身を引き、俺の身体をあっさりとひっくり返して、バックからゆっくりと挿入してきた。
「うわ、うわ、何これ全然違うぅぅ!! アキラ、早く、早く全部入れてぇ!!」
「すげぇ、もう腰揺れてる。ホントおまえ淫乱ビッチで最高」
俺の意識は半分機能していなかった。初めて感じる快楽に溶けてしまっていた。
アキラのもの、アキラが与えてくれる気持ちよさ、アキラの声、アキラの吐息、それらに酔った俺は完全に三津屋アキラ中毒になっていた。
「あああああぁぁぁ!」
「動くぞ」
パンッと音がしたのが分かった。視界が真っ白になった。
「アキ、ラ——」
「悪ぃ、結斗。俺もう、ダメだ、止められねぇ」
「あ、あん、ああ! これ、これヤバい、俺、俺——!」
俺はすぐに果ててしまった。
「もうちょっと付き合ってくれよ?」
もはや声すら出なくなっていた俺は、ただただ音にならない呼吸を繰り返し、アキラが射精して抜いた瞬間、腰砕けになってしまった。
「悪いな、痛かったか?」
俺は首を横に振り、飲み物が欲しいとジェスチャーで伝えた。
「すげえな」
「何がですか、聖なる性獣アキラさん。己の絶倫ぶりがですか」
「ちげーし」
ベッドで横になったまま、俺は動けない状態で、隣のアキラと話していた。
「や、その、初恋パワーというやつですよ、小悪魔ビッチな淫乱結斗くん」
「い、淫乱?! 俺が?!」
「あんなに喜んで腰振る奴、見たことねえよ。めっちゃ締めてくるし」
アキラが真顔で言うので俺は顔面はおろか角栓まで赤くなったような感じで赤面した。
「そ、そのそれで、初恋パワーとは」
「おまえのためなら何でもしてやりたい。おまえを守りたい。おまえにはいつも笑ってて欲しい。おまえといつも一緒にいたい。おまえに危害を加える奴がいたら俺がぶっ殺す。おまえによからぬことをする奴がいたらそいつの男性器を丁寧に切断させていただきたい」
「げふっ」
思わずむせた。
直球過ぎるぞ! ちょっとどころじゃなく恥ずかしいぞ!!
「こんな風に思うの初めてでさぁ、先週、だいぶ前にサポートで叩いたバンドがメジャー行くっていうから飲みに行ったんだけど、雰囲気変わったってめっちゃ言われて。彼女できたかとか散々言われて、男だって言うとめんどいから『超かわいい子です』って言ったら爆笑されまして。小柄で黒髪の愛されゆるふわ天然パーマでめっちゃそそるって大真面目に説明いたしましたところ、なーんか『のろけてんじゃねえ!』とか『あの三津屋が恋バナしてるぞ!』とか、まあ要するに『意外』というリアクションを頂戴いたしまして」
——むしろ俺が気になるのは『それ以前』の「三津屋アキラ」イメージ図だが。
「とにかくおまえのおかげで俺は変わってきてるらしい。ちょっと恐いけど、俺の勘ではこれは良い変化だと思ってる」
アキラはそう言って俺の頬を大きな手のひらで包んだ。
「だからもっと俺を変えてくれよ。楽しみなんだ、変わっていくのが。まあ、成長、ってことかもしんねえけど」
「いいよ。だって俺は、元三津屋アキラのストーカー、現恋人ですからね」
俺らはクスクスと笑い合って、抱きしめ合ったまま眠りに落ちた。
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