第4話 底辺脱出を目指す。だがそのマニュアルは役に立つのか?

 さて、あなたは、ワシの今までの話を読んで、底辺脱出を目指すことにした。


 しかし、世の中にワシより優秀な者はたくさんいる。

 その優秀な者が書いた「自己啓発本」「起業本」は、それこそ掃いて捨てるほど出版されているし、電子書籍で何冊でも読む事ができる。

 どの本も、成功して豊かな生活が出来る方法を書いている。


 ワシの話より、それらの本を読んだ方が良いと思う者も多いだろう。

 その考えにワシも賛成する。ワシよりも成功した人間が書いた本だ。大いに役立つことだろう。

 読書は、人の心を豊かにして向上心を生む、良いことだ。

 無意識のうちに【努力教】の信者になるのが、難点だが。


 しかし、読んだ内容に納得できないことが出てくると思うぞ。

 なにしろ、ワシもたどった道だからな。


 成功本で世界的に知られたものは、「マーフィーの成功法則」だな。

 ワシもフリーマーケットで10円だったので、買って読んでみたぞ。


 なんでも、「心の底から成功を信じれば、必ず成功する」だとか。


 ワシは早速やってみたが、いまだに年収1億円は達成できてないぞ。

 ジャンボ宝くじの一等賞も当たらないし、前澤友作どころか、そこいらの個人トレーダー程度の金持ちにすらなれない。

 妻は普通だし、かわいい子供にも恵まれていないぞ。小憎らしい子供はいるが。

 素晴らしい友人もいない。


 毎日念ずるだけで億万長者になれるのなら、世の中億万長者だらけのはずだ。


 だから、マーフィーの成功法則は、ごく一部の者にしか通用しないことを、思い知らされる。


 「紙に書くと実現する」


 これも試してみたが、年収アップは実現しなかったぞ。


 とまあ、どれもこれもまったく上手く行かなかった。


 だか、ワシが上手く行かなかったのは、【努力】が足りなかったせいかもしれないから、あなたは試して見るとよい。


 紙に書いたことが実現するかもしれないぞ。


 上の二つ以外でも、成功のための方法論を書いた本はたくさんある。

 それらの本の中から、気に入ったものが見つかれば、それを読んで実行すればよいのだ。


 だか、ワシは言いたい。

 起業本を選ぶときは、今のあなたができそうな、具体的方法がたくさん書いてある本を、選んだ方がいいぞ。


 起業本によく書いてある、「社会に役立つため」とか、「夢」を達成するために、と書いてあるのはましな方で、やれ「社会的ミッション」が大切だとか、「ベネフィット」がどうとか、カタカナ言葉がたくさんある本は、最後はコミュニティを作ってみんなで稼ぐ、というオチだ。

 ワシはこの手の起業本を「ゆるふわ系起業本」と勝手に呼んでおる。


 では、そのコミュニティとやらは、誰から金を稼ぐのか?

 それぱ、コミュニティに入っていない、

【あなたやあなたが知っている人】からだぞ。


 金を払うのが嫌なら、もらう側に回れと言うことだ。

 「泥棒に入られるのが嫌なら、大泥棒の子分になれ」という言葉の方が、まだしゃれているぞ。


 しかも稼ぐ方法は、「コーチング」や「コンサルタント」など、難易度が高いものばかりだ。


 あなたは、明日から「なんとかコンサルタント」になる自信があるかな?

 あるなら、ワシの話などより、起業本を読んだ方が早いぞ。

 ただし、今はコンサルも多いから、競争は激しいぞ。


 要するに多くの起業本は、読者に【】を見せるために書かれているのだ。

 だが、百人に一人くらいは、本を参考に成功する人はいるだろう。

 

 あなたがその成功者になる自信があるなら、ワシの話は必要ない。


 ワシの話は、今までよりほんの少し豊かな生活をすることが目的だ。

 いきなり年収1000万円を目指すという無茶は言わんし、ワシもできておらん。


 その豊かな生活を目指す過程で、以外に役に立つのが、上級国民様向けに書かれた、「資産形成本」だぞ。


 上級国民は、基本大卒で頭がいいので、ゆるふわ系起業本の屁理屈は通用しない。

 手元にある現金をどのようにして増やしていくのか、具体的方法が書いてある。


 資産形成方法の活用は、ワシの言う【プチ豊かな生活】を達成するためにも、いずれ必要になってくる。


 だから、ワシも、資産形成本を読むのはおすすめするぞ。

 だが、大抵は元手が百万円スタートなのが、底辺には辛いとこだが、それは耐えてもらうしかない。


 では、次からいよいよ、【プチ豊かな生活】を目指す具体的方法を書くぞ。

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