第42話 御神1(改訂版)

 村に九鬼くき家と言う庄家しょうけの家系の家があり、今でも複数の関連会社を持ち栄えている。 

 九鬼家では昔から御神おかみの間があり、家長しかその部屋を開けることが許されていない。

 その間は木製の両開戸になっていてカギがかけられ、その扉には梵字ぼんじの様な模様が描かれている。

 家長には特別な仕事がある。

 それは年に一度子供を調達して御神の間に入れるというものである。

 これまでの家長は、子供をさらったり里子をもらい受けて調達してきた。

 九鬼大輔くきだいすけは九鬼家の跡取りとして暮らしてきた。

 そして、家長の父親が年老いてゆき、大輔はいつでも家長になれるように父親から引き継ぎを受けている。

 彼は御神の間について父親から教えてもらうことになる。

 父親は御神の間を開け、正座して頭を下げる。

 大輔も父親に習い、正座して頭を下げる。

 すると声がかかる

 「頭を上げよ、それがそなたの代わり

  か。」

 「はい、御神様、名を大輔と申します。」

父親が答えるが大輔は驚きにとらわれている

 「大輔、お前も挨拶をしないか。」

 「よい、年に一度子供を差し出すという

  約定を守ればいい。」

御神は青年の姿をしていた。

 だが彼は異形だった額に2本の角が生えている。

 大輔はあれは鬼じゃないか、子供を差し出すって食べるのかと考える。

 父親は言う

 「ここで見たことは他言して話ならない、

  年に一度子供を差し出すのだ。」

 「あれは鬼だよ。」

 「御神様だ、おかげで九鬼家は栄えている

  のだ。」

 「でも・・・」

 「言うな、言うとおりにするんだ。」

大輔はこれ以上父親に言うことはできない。

 父親は毎年子供を鬼に捧げてきたのだ。

 大輔は悩む。

 自分も子供をさらってきて鬼に捧げなければならないのか。

 相手は鬼である約定を破れば家族に被害が及ぶだろう。

 彼にはどうすればいいのかわからない。


 ある日、大輔は午後の情報番組を見る。

 普段は見ないが、たまたまスケジュールの変更があり、部屋のテレビをつけていたのだ。

 その番組の中で騒ぎが起きる。

 スタジオに鬼が現れ、スタジオにいて男が刀で鬼を切り殺したのだ。

 大輔はその男について調べ始める。

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