第27話 京子2(改訂版)

 翌朝、山下京子やましたきょうこの母親が2階にある京子の部屋に起こしに行く。

 京子は、昨夜遅く帰ってきたためか、会社へ行く時間になっても起きてこないのだ。

 母親は、ドアを開け

 「京子いつまで寝ているの。」

その瞬間、大きな手が母親の首が引きちぎられる。

 悲鳴を上げるいとまもなかった。

 京子の部屋には鬼がいる。

 母親は鬼に食べられ咀嚼音が部屋に響く。

 異様な音に気づいた父親が階段を上っていく。

 そして、前進がこぶだらけの体に頭に角を生やし口から血をしたらせる鬼を見つける

 「うわああー」

父親が叫び声をあげる。

 鬼は次の瞬間父親の頭に齧りつく。

 即死である父親は頭から齧られ食べられていく。

 京子が目覚めると部屋の入口と階段に血だまりが出来ている。

 彼女は驚き両親を探すが見当たらないため、警察に連絡する。

 家に警察官が到着し、鑑識が血だまりなどを調べる。

 警察で京子は事情を聴かれるが、夜遅く帰って来て、朝起きると血だまりが出来ており両親がいなかった。

 そのため、警察の質問に何も答えることが出来ない。

 全ては寝ている間に起きたのだ。

 警察は何も情報を得られず、京子を家に送る。

 夜になる、京子の隣の家に異変が起きる。

 突然、玄関ドアが大きな音を立てて壊される。

 家の主人が玄関へ飛び出す。

 そこには大きなこぶだらけの何かがいる、主人は逃げ出そうとするが、大きな太い手で頭をもがれる。

 さらに廊下には妻がおり、その光景に悲鳴を上げるが化け物に頭から食われてしまう。

 朝になり新聞配達員が壊されたドアを見て警察に連絡する。

 警察官が到着すると玄関と廊下の奥に血だまりがあり、家の者がいなくなっている。


 逢神おうがみたけるは鈴鹿すずかと一緒に週に1回のオカルト相談コーナーのためにテレビ局へ来ている。

 控室で稲荷の使いの美鈴みすずがたけるに言う

 「お前、少し混じっているな、人間を止め

  るつもりか。」

 「何のことですか。」

 「鬼の血が混じっているぞ。」

 「そうですか、鈴鹿が私を助けるために

  血を飲ませてくれたのです。」

 「死ななくてよかったな。」

たけるは鈴鹿を見る、鈴鹿は顔をそむける

 「怒るではないぞ、飲まなければ死んでい

  た怪我をしたのだろ。」

 「ええ、両腕を切り落とされ、左足も切り

  落とされました。」

 「よく生きているな、しぶとい奴じゃ。」

美鈴は感心する。

 オカルト相談コーナーの生放送が始まる

 たけるが椅子に座り、美鈴が横に当然のように座る

 「今週の相談者の方どうぞ。」

彼は愛想よく言う。

 すりガラスの向こうに相談者が座る。

 たけるの血が騒ぎ出す、早く刀を抜け、刀に鬼の血を吸わせろと

 美鈴がつぶやく

 「これはとんでもない相談者じゃのう。」

彼は呪われた刀の名を心の中でつぶやく

 「来い、羽左衛門ノ贄ノ夜叉」

虚空から護符に包まれた鞘に収まった刀が虚空から浮かびあがる。

 彼は刀を手に取る、刀を抜きたいが必死に耐える。

 「どうしたのですか。」

相談者に問いかける、相談者は

 「私の両親がいなくなってしまったんで

  す、次の日、隣の家の人も居なくなりま

  した、探してください。」

 「お前の腹の中にいるだろう。」

たけるは憎しみの形相に変わり、すりガラスの向こうの相談者に近づく。

 そこには山下京子が座って泣いている。

 彼は意表を突かれる

 「お前、自覚がないのか。」

 「何のことですか。」

 「何を食べている。」

 「そういえば、何も食べていません、

  なぜ腹が空かないのでしょう。」

 「お前が人間を食べているからさ。」

 「えっ、人間を、そういえば人はおいしそ

  うで・・・」

京子の目が宙を泳ぐ、そして、たけるを見ると突然

 「あなたを食べさせてー」

叫ぶと京子であったものが肥大化していく。

 こぶだらけの体に頭に角を生やした鬼の姿になる。

 鬼はたけるの頭を狙って腕を振るが、彼は体を傾けただけでかわす。

 そして、彼は刀を抜く、心の中が鬼への憎しみで満たされる。

 しかし、刀を持つ手は電気が走ったようにしびれる。

 動かないたけるを鬼が頭を目掛けてかぶりつく。

 その時には彼はそこにいない、鬼の背後に立っている。

 鬼の左足が胴から離れる。

 美鈴はたけるの速さに驚く、以前とは比較にならないくらいたけるの動きが速いのだ。

 たけるは鬼が倒れる前に横に一閃する。

 鬼は二つになった胴から体液を吸われるように干からびていく。

 たけるは呼吸を整え憎しみを押さえつつ刀を鞘に収める。

 刀は虚空へと沈んでゆく。

 たけるの鬼への憎しみは治まっていない、憎しみの沼でもがき這い上がろうとする。

 美鈴が言う

 「おぬし、本当に人間離れしておるぞ。」

たけるは憎しみを押さえながら困った顔をする


 赤頭圭子あかがしらけいこがこの放送を見ている

 「あの子死んでいなかったのね、逢神の

  あの速さは何。」

逢神は瀕死状態だったはずだ。

 「鬼の血でも飲んだのかしら。」

独り言を続ける。

 彼女はマンションの1室にいる。

 この部屋は彼女を連れ込んだ男の物だが、今は彼女が1人根城にしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る