やすみの願い2
病院から家まで飛ぶように帰った。
おそらく今までで病院~家の最速記録だった。
息は絶え絶えで、喉もカラカラだったのだけどそれよりも先に自室に戻り携帯を手に取った。
検索サイトを開き、友美から教えられた小説投稿サイトを検索すると検索結果の一番上に現れた。
迷わずにそれをクリックすると小説投稿サイトのメインページと思われる物が、携帯の画面にうつしだされる。
一瞬どう探せば良いものかと戸惑ったのだけど、親切にも画面上部に虫眼鏡を模したアイコンで検索が掛けられるようなのでそれをクリックして、検索欄に『やすみ』と打ち込んだ。
「……あった!これで間違いない。絶対にやすみだ!」
『怪傑オリオン探偵/ 作者 やすみ』
やすみらしい正座の名前を冠したタイトルを見て確信した。
その作品をクリックする。
あらすじと各話のタイトルが表示された。どうやら三百話まで更新されているようだ。
試しに一番上のタイトルをクリックしてみるも、どうやらこれは日記ではないようだった。
すぐにバックグラウンドを押して前のページに戻る。
各話の横に日付が表示されていて、どうやらそれが更新日のようだった。
下に行けば行くほど新しく更新された話数のようだったから、更新の軌跡を追うように下へ下へとスクロールした。
そして、最下段にたどりつく。
最新話まで一話からほぼ毎日、ずっと休まずに更新されていたのに、三週間程前にプツリと更新は途切れていた。
悲しい現実だけど、更新が途絶えた日付が命日である。ということを案に示していた。
けれど、今は耽っている場合じゃない。
同じ作者の関連作に『やすみのやぼう』と全てをひらがなで綴られた作品を見つけクリックした。
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『やすみのやぼう1』
私には目標がある。これは願いでもあって夢でもあるんだけど、
どんな形でも良いから、この世に私は生きていたんだ、という痕跡を残す事。
普通の人なら子孫を残す事でそれが自然にできるのだろうけど、私にはそれが難しいの。
そこで私は考えたのさ。
ちっぽけな私に、何ができるだろうって……
元々私はこのサイトで読み専をしていたんだけどね、一番になって賞を取れば本になるって事を知ってピン来たの!
私も書けばいいんだって!
それで小説を書き始めてみたんどけど……現実は厳しいね。全然読んでくれる人がいないの。
ブックマークも付かないし、でも私は挫けない!
絶対に書籍化するんだ!
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