3-1

 あの夜の出来事の後、足りない頭をフル回転させて考えた。


 俺は何をすべきで、どういう結末を向かえるべきなのかを。


 そして、でた結論はやはりやすみは死ぬべきではなくて、ずっと俺と同じ様に隣で、歳を重ねていくべきだと思ったんだ。


 あの夜に残りの寿命を貰う。そんな約束を俺はやすみと交わした。

 その中で、やすみのやりたかった事をこなして行こうと約束もした。勿論それは精一杯やりとげるつもりだ。

 でも、一つだけやすみに嘘を付く。それも一世一代の大嘘だ。


 やすみだって俺に嘘を付いていたんだからこれでおあいこだよな?


 俺のつく嘘……それは、やすみから貰うもの寿命、時間だ。

 やすみにそんなつもりはないだろうけど、何十年と嫌になるほど、付き合ってもらうつもりだ。


 やすみに生きていて貰いたいのなら、そのように誘導すれば良い。

 やりたかった事を、精一杯こなしているうちにきっと、『生きたい』と本人も願うはずだ。

 いや、そうなるように俺も懸命に努力するつもりだ。


 まずは、何から始めるべきかな?残された時間はそう長くない。

 ……そうだ、あまり会いたくない相手ではあるが、アイツにコンタクトを取る事から始めよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る