第16話
村長との話し合いから1日が経過した。
どうやら名前は亡くなった子につける予定だった名前になるらしい。
みんなの前で発表するみたいだ。
「そろそろ時間だな行くか。」
そしてたぶん?広場とやらに到着。
まぁはっきりと目が見えるほど成長してないからね。
「みんなわざわざ集まってもらってすまないな。ちょっと話があって集まってもらった。グイドよ、後は自分で話せ。」
「みんなすまねぇな、集まってもらって。」
気にするな!仲間だろ!
「先ずは改めて先日の件でお礼を言いたい。あの状況下の中みんなにはすげぇ助けて貰った。本当にありがとう!」
みんなの空気が暗くなる。
力になれなくてすまなかった。すまねぇ。
すすり泣く声も聞こえてきた。
「みんな、ありがとう。改めて俺はみんなに愛されてるって思うわ。お前らみんなの気持ちは亡くなったあの子にも届いてる。本当に世話になった!ありがとう!」
俺達みんな家族だろ!
気にするな!当たり前のことをしただけだ!
「本当にお前ら最高だよ。それでみんなには1つ話がある。」
グイドは我が子と別れた日の夜の出来事をみんなに話をした。
話し始めた時はやはりショックのあまり気でもおかしくなったのでは無いかと疑われた。
しかし、村長が話は事実でありその子とも対面したと言うと驚きの声が挙がった。
この辺境にある村の総人口は今現在約100人。
100人前後の村なのでみんな顔見知り。
そして直近で子供が産まれる予定はグイド夫妻だけだったということはみんな知っている。
では……その赤子はどうやってこの村に来たのだろうか?
「ハルヒィ、あの日の夜は周囲に人は居なかったんだよな?」
「あぁ。周囲に人影は無かったな。上から下に流れる不自然な風が一瞬あっただけだ。」
外の風って上から下なんて吹いたっけか?
んなことあるわけねぇべさ。
「その時に家の前に現れた赤子がこの子だ。ミーナ!」
「噂の子はこの子なのよ。」
ミーナが抱っこしている赤子とともにみんなの前に姿を現した。
本当に産まれたばかりじゃないか。
あんな赤子がどうやってグイドの家まで来たんだ。
黒髪なんて見たこと無いぞ。
「今みんなが見て感じたと思う。黒髪なんて見たことない。瞳は黒目だ。そしてこの子はこの村以外から来たことは確実だと思う。」
眼まで黒目なのか。確かに初めて見たな。
どうやって移動したんだろう?
「もしかしたらこの子は面倒事を抱えている子かもしれない。」
まぁ普通じゃないからなぁ。
でも赤子だぞ?
親がだれかもわからんからなぁ。
「みんなが知っているように俺達夫婦は赤子を失ったばかり。そんな状況下でこの子は家の前に現れた。」
それは……
なんでよりにもよって……
「最初はみんなが思っているような気持ちになった。でもな、まだ少しだが一緒に過ごしているうちに情もわいてきてしまった。」
でも……
だが……
「赤子を失った俺達夫婦はどうしてもこの子を見捨てることなんて出来ない。産まれたらダメな命なんてこの世にあってはならないと思うんだ。」
それはそうだが……
「将来面倒事がやってくるかもしれん。でも俺達夫婦はこの子と出逢ってしまった。ある種の運命かもしれない。」
面倒事か……
無いとは言えないか……
「俺達夫婦はこの子を育てて行こうと思う。将来みんなの迷惑になるかも知れない。だからこの村を出て行く覚悟もしている。」
そこまでの覚悟か。
村を出てまで。
「とりあえず今日みんなの前で宣言しようと思う。今この時を持って、この子の両親に俺達夫婦はなることを宣言する!」
俺は決めた、お前達を応援する!
出て行く必要なんてないぞ!
俺達の新しい家族の誕生だ!
広場から新しい家族への祝福の言葉があちらこちらから送られた。
この村のみんな、本当にいい人ばかりだ。
見ず知らずの怪しい俺をこんなにも歓迎してくれるなんて。
少しだけ思うよ。創造神様、この素晴らしい家族達の元に送ってくれてありがとう。
みんなからの祝福にグイド夫妻は涙を流していた。
するとどうだろう。
突然ミーナが抱っこしている赤子が光り輝いた。
そして……
「みんなありがとう。」
広場にいる全員の頭に言葉が聞こえた……
シーンとなる広場。
えっなんで?とみんなに声が伝わり焦る翔弥。
固まる村人達。
そして……
すげぇぇぇ!
お前も聞こえたのか!?
この赤子が話したのか?
いや、もしかしたら神様かも知れないぞ!
奇跡だ!神様の奇跡だ!
この子は神様の御子だ!
神様の使いだ!
爆発的に騒ぐ村人達。
何でだよ。まじかよ。聞こえたのかよ。しかもなんで怖がらないんだよ!村の中で1人焦る赤子。
そして……奇跡はこれだけでは無かった……
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