第14話 衝撃の話
「あら、誰かと思えばエイミーさんではありませんか?」
今度は女子学生から声を掛けられた。
「あ…ジュリアさん。それにリリーさん」
ジュリアさんとリリーさんは共に男爵家の御令嬢で、2人はいつも一緒にいる仲良しペアだった。
「どうしたのですか?今日はアルト様と一緒では無いのですか?」
「本当、珍しい事もあるものですね…あ。もしかして…ビクトリアさん絡みで…」
リリーさんが何か言いかけたところを素早くジュリアさんが注意する。
「駄目でしょう!その話は…」
「あの…もしかして、それはビクトリアさんの事ですか?」
つい、思わず口が滑ってしまった。
「え?ご存じだったのですか」
ジュリアさんが目を見開く。
「ええ…何となくは…お願いです、どうかお2人が知っていることを私に教えて頂けませんか?!」
すると2人は視線を合わせ…互いに頷くと私を見た。
「ええ!勿論お話しましょう」
「その代わり私達とお友達になって頂けますか?」
突然のジュリアさんとリリーさんの申し出に目を見開く。
「え?わ、私とですか?」
「はい、実は…私達初めてエイミーさんを見た時から、何て小さくて可愛らしい人だと思っていたのです。その姿はまるで歩くお人形のようにも見えました。まさに奇跡の賜物ですっ!この世にエイミーさんを遣わしてくれた御両親に感謝したいくらいです」
「こんな可愛らしい方とお友達になれたらどんなにか幸せだろうと常日頃から思っていたのですが、いつもエイミーさんはアルト様と御一緒だったので声を掛ける事すらままならなかったのです」
ジュリアさんとリリーさんが一気にまくし立てて来た。
「え…?そ、そんな風に思っていてくれたのですか…?何だかちょっと照れますね」
自分がそんな風に思われているなんて全く知らなかった。思わず頬を赤らめながら言うと、リリーさんは隣に座り込んできた。
「何を言っているのですか?エイミーさんは何もご存じなかったのですか?貴女はこの学園の女子学生達の間ではマドンナ的存在なのですよ?」
その言葉に驚いた。
「ま、まさか…だってこの学園のマドンナはビクトリアさんですよ?」
「確かにビクトリアさんはこの学園のマドンナ的存在かも知れませんが、それはあくまで男子学生の間だけの話です」
「ええ、そうですよ。女子学生の間で圧倒的人気を誇るのはエイミーさんなんですよ?」
リリーさんとジュリアさんが交互に説明する。
「そ、そうだったのですか…」
自分がそんな風に思われているなんて全く知らなかった。
「ええ、ですから…それが理由なんです。アルト様とビクトリアさんが…その…恋仲になってしまったのは…」
ゴニョゴニョと言葉を濁しながらリリーさんが言う。
「え?どういう事ですか?」
「つまり、ビクトリアさんはエイミーさんの人気に嫉妬して…婚約者のアルト様に近付いたという訳なんです」
「ええっ?!」
ジュリアさんの言葉に私は衝撃を受けた―。
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