異色の魔術師

佐々木雄太

第1話  異色の魔術師

「はぁ、今日はこれくらいで十分かな?」

 アイコン表示を眺めながらため息をついた。

 画面に映っているのは、現在世界中で話題になっているVRMMO『マジック・オブ・ベース』。略してMOBと呼ばれるゲームである。

 ここ数年で人気が高まり、今では一億人以上を突破している。

 内容は、魔法や剣、錬金術などのファンタジーの世界である。

 仮想空間で鍛え上げたアバターで、世界中を旅しながらクエストをこなしていくゲームである。

 舞台は、中世のヨーロッパをモチーフにしている。

 ここでいろんな職業のゲームプレイヤーやAI知能を持ったNPCがいる。

「んー、今日はここまでか……」

 そして、俺は猛烈にこのゲームでの悩みがある。

 それはこれからのレベル上げや装備、ソロプレイヤーとしてのこれからの事である。

 このゲームでは、モンスターを倒すごとにレベルが上がっていき、装備品のドロップアイテムは、貴重なものほど手に入りにくい。

 イベントでの配布装備、お金で手に入れる装備品などもある。

 モンスターを倒して手に入れるお金は、モンスターのレベルによって変わり、弱いほど少ない。

 しかも、レアアイテムほど手に入れにくい。

 しかし、誰もが上を目指すためにこの世界では戦い抜く。

 この世界を作った創造者は、天才である。

 俺もこの世界にどっぷりとはまっている。

 そして、ソロプレイヤーとして行動している俺は、誰も仲間がいない。

 確かに、これで大丈夫なのかと言われてしまえば、大丈夫ではない。

 高難易度のクエストでは、一人では難しい。

 実際に冒険者ギルドでは、パーティーらしき募集はしている。

 でも、人に合わせるのが苦手な俺は、ソロでレベルを上げ、ここまでたどり着いてきた。

「ったく……一人だと、こう難しくなるんだよ……」

 現在、午後十時を回っていた。

 明日は、週明けであり、学校に行かなければならない。そのため、次の日を回ってまでゲームをするのは、明日、体を壊すだろう。

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