第11話

暑すぎるほどの夏が終わり、そろそろ秋がやってくる頃。


「吾猫も虎にやならん秋の風」


ミーちゃんが言った。

すると、おばあちゃんが


「夏目漱石ね。

 秋深き隣は何をする人ぞ」

「松尾芭蕉ですね」


ミーちゃんが答えた。

知的な会話に、ぼくが追いつかない。


ミーちゃんはおばあちゃんが寝ている間に本を読んで知識を蓄えているのだそうだ。

おばあちゃんが自慢している。

孫のぼくに、自慢している。


とっても嬉しそうだから、まあいっか。


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