丼料理
「……えー? ご飯なんてさー胃に入れちゃったらマジ何でも一緒でしょ」
それは聞き捨てならない。目を光らせた淡島に気づいた美浜が、そっと親指を立ててこちらを見ている。……ええんやな美浜ちゃん、パイセン本気出しちゃらっしょ。どうやらおいしいごはんを知らないらしい生意気小僧に、目にものを見せてやろうじゃないか。淡島は不敵に笑った。
「美浜ちゃん、なに食べたい?」
「先輩にお任せで」
「がっつりいきたい?」
「お肉いっぱい食べたいです」
「ええわぁお肉。任せてちょうだい」
女同士でこっそり結託し、今ある食材で作れそうなメニューを思案する。あの新人くんは育ち盛りのようだから、美浜のリクエストに応えてがっつりお肉で攻めたかった。
「よおおし」
淡島は一発気合いを入れて、それから冷蔵庫を開けた。
まずは、底の浅い容器に醤油や酒などの調味料で淡島すぺしゃるぶれんどを作る。刻んだ生姜を底に浸して、さらに薄切りの豚肉を漬けた。味を染み込ませている間に、千切りにしたキャベツを湯通ししてしっかりと水気を切っておく。どんぶりには熱いご飯を大盛りにした。美浜の分は中盛りだ。
熱したフライパンで豚肉を焼く。ご飯の上にキャベツを敷いて、その上に豚のしょうが焼きをのせたら、上からフライパンに残ったタレを回しかけてやった。第一印象は大事だ、素早く洗ったフライパンで綺麗な黄色の炒り卵を焼いて、どんぶりの縁を彩ってみる。作り置きのポテトサラダを付け合わせにして淡島は胸を張った。
「さあ、召し上がれ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます