語り

聖剣士は死者王を屠れない 戸松秋茄子様

【タイトル】 聖剣士は死者王を屠れない

【作者】 戸松秋茄子

https://kakuyomu.jp/works/16816452219146548092


 KAC参加の短編になります。参加している方ならわかると思いますが4000字以内っていうのは結構大変です。膨らませすぎると入らず、だからといって削りすぎると味気ない。時間も限られているなか、いかに調整するかが難しいイベントだなと思います。


 そんなイベント参加作品のこちら、異性双子です。

 兄妹でも表現できなくはないと思うのですが、あえて双子にしたのが素敵。双子好きの私はにっこりです。


 お話は兄である「僕」の視点で語られ、死者王を殺すための旅の様子が描かれています。

 

 ポイントは変化かなと。

 死者王により故郷の人間が皆殺しにされ、「僕」と妹ララだけが生き残ったという環境の変化。その後、仲間ができ二人きりではなくなったという変化。それにより双子の考え方や関係にも多少の変化が生まれるなか、物語の最後、さらに大きな変化が二人を襲います。


 二人で生まれ、二人で生き残った「僕」とララは最初は同じものを見て、同じ方向を向いて歩いていたはずです。それが一体どこで変わってしまったのか。

 環境が変わったとしても双子として共にありたいという思いは二人とも同じだったはずです。それでも訪れた変化を思えば思うほど、締めの文が胸に刺さります。


 一言でいうならばすれ違い双子美味しいです(台無し)。


 ダークさとやるせなさを感じさせる今作。サクッと読める短編なのも魅力の一つだと思います。

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