第84話
4昇天がエクスファックを倒す。
やはり余裕で倒すか。
アルナが叫んだ。
「ねえ!ファルナ!これで終わりだとつまらないわあ!私の騎士団とファルナの騎士団で決闘をしましょうよ!」
「急にそのような事を言うのは卑怯ですわ!」
教会騎士団が前に出る。
「決闘をしたいなら日を改めて貰おう!」
「ねえ!あなた死にたいの!?ここにいる全員であなたたちを殺すことも出来るのよお!ねえ!答えなさいよお!」
「このような事は認められん!」
「待ってくれ!ルールを俺達に検討させてくれないか!急に向こうから決闘を申し込むのはずるい!だけど、こっちのルールでやるなら検討できる」
俺は大声で言った。
俺の発言で教会騎士団があわただしく動き出した。
「ハヤト,もしやるならどのような方式で行うのだ?」
教会騎士団の男が俺に耳打ちをした。
「1対1で決闘してどちらかが死んだら終わりだ」
相手はこっちを皆殺しにしたい。
となれば1対1の戦いに持ち込んで1人倒して終わりの方がいい。
「ハヤトが戦うなら、4昇天を1人倒せる可能性がある、か」
「そういう狙いだ。それに戦ってそれが終われば今日は終わりに出来る」
「うむ、1対1の決闘なら認めよう!」
教会騎士団の男が叫ぶ。
「ねえ!何言ってるのよ!騎士団対騎士団の殺し合いって言ったじゃない!」
ファルナは今の内にみんなを回復させるよう指示を出す。
アルナと教会騎士団は言い合いになり、ファルナも言い合いに参戦して口論は長期戦になっていった。
俺は食事を摂り、横になって休む。
他の兵士も同じように休んだ。
ファルナは出来るだけ話し合いを長引かせるように動いている。
そこに奴が来た。
「こ!これは!セイコウコウボウ様!」
教会騎士団の男が急いで立ち上がり礼をした。
聖光攻棒が出て来た。
こん棒使いの男で、こいつも厄介だけど、今はアルナよりはいい気がする。
この世界に漢字は無いけど、ゲームでは聖光攻棒って書かれていた。
ゲームでは主人公のライバルで戦闘能力が異様に高い。
「面白い殺し合いをするって聞いたけど?今から始まるの?」
「はい、アルナは騎士団対抗での殺し合いをしたいと言い、ファルナは最初は拒否していたのですが、ファルナ陣営の男が1対1の決闘を提案しました!」
「うん、話は分かったけど、どうすれば互角の面白い戦いになると思う?」
「3対3の勝ち抜き戦が、いいバランスかと思います」
「少ない!すぐに終わってつまらないじゃないか」
「ねえ!10対10はどう?ねえ!」
アルナが妥協した。
やっぱりセイコウコウボウは怖いのか。
「それでは絶対にアルナ陣営が勝ちます!」
教会騎士団の男は叫んだ。
「うん、5対5の勝ち抜き戦にしよう。分かったら今すぐ配置に着けよ!」
セイコウコウボウは急に口調が変わって魔力を垂れ流してみんなを威圧した。
「そんな!こちらに戦力はありませんわ!」
「ファルナやめろ!逆らうな!嫌な予感しかしない!」
俺はファルナを止めた。
セイコウコウボウは子供のまま力と頭脳を手に入れたような奴だ。
すぐ怒ってすぐ笑う。
しかもバトルマニアで、試合の観戦も直接戦うのも大好きな人間だ。
バトルの観戦を邪魔したら怒るだろう。
ファルナを殺しはしないだろうが、手加減して半殺しにするくらいはするだろう。
力の加減を間違えてファルナを殺す可能性はゼロではない。
「5対5の勝ち抜き戦の殺し合いの決闘ですね?すぐに準備いたします!」
「俺が始めに戦う」
「話は聞かせてもらったよ!次は僕が出るよ!」
アサヒが出て来た。
セイコウコウボウは観客席に座って楽しそうに両手を叩いていた。
「す、すぐに配置につくのだ!すぐに1回戦を始める!」
教会騎士団の男はセイコウコウボウを見ながら焦ったように審判役を務めた。
俺とアサヒはまた前と同じように闘技場のリングで対峙した。
アサヒが叫ぶ。
「始まりの前に僕の方で余興をしたいんだ!」
教会騎士団の審判はセイコウコウボウを見た。
セイコウコウボウのOKサインで余興は継続される。
「まず僕の固有スキルは特別な勇者だ!
そして、僕のジョブも勇者だよ!そして僕のレベルは何と121だ!
この前はハヤトの姑息な情報戦に敗れたけど、今回はそうはいかないよ!
僕の勇者LVは10になり、限界まで強化されたよ!
その効果で僕の体力・魔力・敏捷・技量がすべて+100に増加しているんだ!
しかもブレイブアーツの攻撃力は30%増加したんだ!
対してハヤトはレベルアップ出来ない出来損ないだよ!
それだけじゃない!
ハヤトは陰でずる賢く立ち回る卑怯者でビビりの臆病者だよ」
アルナは笑う。
「ねえ、あの子馬鹿なの?ねえ、これから死ぬって分かってるのかしら?今までハヤトの戦いを見ていたのよね?ファルナ騎士団はハヤトだけのワンマン騎士団よ。どうしてあんなに自信過剰なのかしら?」
4昇天が答って答えた。
「アサヒは自信過剰で判断を間違える人間です。顔も運動神経も良いのですが、欠落が大きいのです」
「捨て駒には丁度いいわねえ、ブレイブアーツをすべて使ってもハヤトには勝てないわあ。ハヤトを削って死になさあい」
そう言って笑い続けた。
セイコウコウボウも笑う。
「あっれえええ?アサヒって前にハヤトの投てきで何もできずに負けたアサヒだよね?また同じことをしてるよ。ハヤトの普段の動きを見て強いって分からないかなあ?ぎゃはははははははははははははは!ありえる?普通ならこんな間抜けなことしないで油断させて一気にブレイブアーツで殺しにいくのに、自分から強みを捨てにいってるよ!1%の勝てる確率すら捨ててるよ!ぎゃははははははははははは」
アサヒは観客席を見て満足した顔で笑う。
「君の無能を知ってみんなが笑っているよ!」
「え?違うだろ!」
観客席の声が聞こえなくてもアサヒを指差して笑っているだろ?
「ははははははははははははは!認めたくない気持ちは分かるよ!でも、ここまで物分かりが悪いと笑えるよ!今から死ぬのに、ぷくくくく、はははははははははは」
「……始めたいのだが、余興は終わったか?」
「もう終わったよ!これからみんなは僕の伝説の幕開けを見る貴重な体験をするよ!ありがたいよね」
「そ、それでは始める決闘、開始!」
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