第81話

 ダミーファック10体の内、

 6体が青。

 3体が緑。

 1体が赤だった。


 エクスファックより、ダミーファックのほうが人が死にやすいと思った。

 10体のボスが同時に動かれると、騎士団を守りきれないかもしれない。


 だから俺は始めにダミーファックを選んだ。

 俺が出来るだけ万全な状態で戦いたかったのだ。


 色によってダミーファックの強さが違う。

 信号機と同じで青は弱く、赤は警戒が必要だ。

 赤色ダミーファックだけは注意しよう。

 出来れば最後に戦うか。

 


 ダミーファックが俺に体を向けて走り出そうとした瞬間、俺は魔法スキルを使った。

 対策はアオイとファルナの3人で話し合っている。

 俺は作戦で決めた動きをする。


「デスモード!」


 俺はデスモードを使った。

 デスモードはそれ単体では攻撃効果は無い。

 1分で効果が切れ、効果が切れると同時にLV5の呪いを受ける。

 その代わりにデスモード中は呪いを受けない特性がある。


 そしてMPの消費は100と大きい。

 だが、使う価値のある魔法スキルだ。


「スケルトンパレード!」


 俺を中心に10メートルほどの魔法陣が展開され、スケルトンが100体出てくる。

 スケルトン自体は弱いため、数が多くなってもそこまで強いスキルとは言えない。

 このスキルはデスモードとカースウォーを一緒に使う事で真の力を発揮する。

 このスキルもMPを100ポイントを消費する。


「カースウォー!」


 俺の攻撃力・防御力・速度が180%に上昇する。

 デスモードの効果中は他の闇魔法スキルを強化する特性がある。

 通常140%の上昇を180%に引き上げるのだ。

 そしてデスモードの効果中は呪いを受けない。

 

 更に、スケルトンの速度が上がった。

 デスモードによって、カースウォーの効果がスケルトンに乗るようスケルトンパレードも強化されている。


 デスモード・カースウォー・スケルトンパレード、これが俺の切り札だ。

 俺とスケルトンパレードの100体のスケルトン、更にサイドにいる2体のスケルトンの攻撃力・防御力・速度を180%に引き上げる。


 更に「魔眼開放!」


 MP消費無しで使える魔眼だが、呪いの蓄積が早い。

 だが、デスモードの力で呪いの蓄積は無い!

 そして、通常1体の敵の攻撃力・防御力・速度を20%減少させるが、デスモードの力で30%減少させることが出来る。


 自身を強化しつつ相手を弱体させる。

 もしこれでMPに余裕があれば、もっと簡単な戦いになっていたはずだ。

 刀アーツを使いたい衝動に駆られる。

 もう、MPは1しか残っていない。


 レベルを上げられれば、スケルトンはもっと強かった。

 スケルトンは俺の能力値が高くなれば強くなる。

 間に合わなかったのだ。


「スケルトン!みんなの盾になって戦え!」

「総員突撃ですわ!」


 ここで初めてファルナ騎士団が突撃を開始した。


 180%に上昇したスピードであっという間にダミーファックに接近した。

 だが、俺をターゲットにしていたダミーファックはスケルトンの登場でターゲットをスケルトンに移した。


 ブーストした力で何度もダミーファックを斬る!

 ダミーファックを切った時の衝撃が強い。

 180%の強化が凄まじい。

 ダミーファックを斬った時の反動が自分の体にも伝わって来る。


 出来る事は、ただ攻撃を繰り返すのみだ。

 俺は攻撃特化だ!

 早く倒す!


 早く倒せばみんな安全になる!


 ダミーファックを1体倒すと、スケルトンが半分に減っていた。

 急いで次のダミーファックに攻撃を仕掛ける。


 体に大きな反動を感じながらダミーファックを何度も斬りつけて倒した。

 スケルトンの残りは10体ほどか!

 時間が無い!


 だが、アオイも1体倒した。

 残り7体!


 ファルナ達も作戦通り1体にパーティー戦を仕掛けて協力プレーで攻撃している。


 更に急いで次のダミーファックを倒す。

 もう、俺の横にいるスケルトン以外いなくなってみんなが攻撃を受け始めていた。


 まだ大丈夫だ!


 シスターちゃんや他の回復要員がいる!


 俺は攻撃特化だ!


 敵を減らす!


 俺は次のダミーファックを後ろから斬りつけ、連撃を食らわせた。


『デスモードの効果が切れました。呪いLV5を受けました』


 朝から調子が悪かった俺の体が更に一気に重くなる。


『カースウォーの効果が切れました』


 また更に体が重くなった。


 俺はダミーファックの攻撃を後ろの背中に受けた。

 その瞬間に俺が攻撃していたダミーファックから右腕に攻撃を受け、腕が痺れた。

 背中と右腕から血が出る。


「くそ!」


「リカバリー!」

「リカバリー!」

「リカバリー!」


 俺に異常解除の魔法が飛ぶ。


「リカバリー!」

「リカバリー!」

「ヒール!」


 更に俺を優先してみんなが回復魔法をかけてくれた。

 俺は前にいるダミーファックを何度も攻撃する。


 後ろのダミーファックから攻撃をされたが、ステップとカウンターで立ちまわりつつ倒した。


「残り5体ですわ!もう半分倒したのですわ!」


 ファルナのエールが聞こえる。


 俺は次のダミーファックに攻撃する。


 攻撃しても傷が浅い!


 俺の動きが遅い!


 時間が惜しい!


 俺は、時間をかけてダミーファックを倒した。


『きゅうのLVが10に上がりました』


『レベルリセットの効果が消滅しました』


「残り1体ですわ!」

「俺に倒させてくれ!」


 俺は最後の赤いダミーファックに近づいて攻撃を繰り出す。


 周りが輪を作って見守った。


 俺は、ダミーファックに堅実な攻撃を繰り返した。

 相手の攻撃はステップとカウンターですべて無力化し、ダミーファックの正面に立たないように回り込むように移動しつつダミーファックに刀で斬りつけていく。


 ダミーファックが倒れた。


 歓声が聞こえる。


『レベルが1から10に上がりました』


「ああ、やっとだ。やっと……レベルを上げられる」




 俺は地面に大の字に寝転がり、ステータスを開いた。






 あとがき


『美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった』のフォロワー数が2000を突破しました!


 ありがとうございます!

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