第43話

 俺は疲れてうさぎ亭に戻った。


「おかえり、ハヤト君疲れてる?」


 そう言ってヒメは俺の肩からきゅうを回収して撫でる。


「きゅう♪」


 きゅうがヒメに懐いている。


「そんなことはないぞ」

「そうかな?そうだ、私もハヤト君にお返しするね」


 そう言ってポーション・マジックポーション・異常解除ポーションを

俺に渡す。

 

「毎日1本ずつあげるよ」

「ありがとう、助かる」


「お風呂が空いてるよ?」

「入ろう」


 俺は風呂に入る。

 疲れが癒える。


 ん?待てよ、ヒメのお返しは毎日各種ポーションを俺にくれるんだよな?

 だがここはエロゲの世界。

 

 ……選択肢があっても良かったんじゃないか?

『私の体とポーション、それともお風呂、どれにする?』的なのがあっても良かった。


 いや、待て待て待て!

 俺はしばらくダンジョンで頑張るって決めた!


 思い出せ!俺!

 闘技場ではクラスの男子が死んでいる。

 ここでは油断すると一瞬で死ぬんだ。

 強くなって安全を確保する。

 これ大事。


 最初は頑張るべきだろ!

 俺!頑張れ!


 俺は風呂から上がり、食事を摂って眠った。

 今日は、疲れた。




【王国歴999年冬の月68日】


「朝、か」


 俺は昨日ステータスの見直しをしていない。

 ステータスを開く。


 ハヤト 男

 レベル:1

 固有スキル きゅう:LV5

 ジョブ:サムライ

 体力:1+100  

 魔力:1+100  

 敏捷:7+300  

 技量:1+100  

 魅力:0+100 

 名声:0+100  

 スキル・闇魔法:LV10・刀剣術:LV10・全能力アップ:LV10・全自動回復:LV10・罠感知:LV10・敵感知:LV10・偽装:LV10・呪い耐性:LV10・ステップ:LV10・カウンター:LV10 

 武器 黒の刀:150 ・防具 黒の衣:100 

 斥候の紋章 ・耐性の紋章




 スキルがパンパンだ。

 今取れるのは耐性のスキル統合か。

 耐性は種類が多くて放置してきたが、闇魔法を使っている以上必ず耐性は入る。


 斥候スキルを統合したいが、斥候のスキルを取るには、クラスチェンジして斥候になる必要がある。

 クラスチェンジ=エチエチイベントで時間を多く使ってしまう。

 それに、エチエチイベントを起こしたらダンジョン攻略じゃなく、エチエチイベントを進めてしまいそうになる。

 

 俺は耐性スキルを取った。

 全種取れないか。

 スキル統合はまだか。 

 スキルの方針は決めた。


 次に気になるのは、やはり金か。

 金はダンジョン6階に到達すれば楽になる。

 今どこまで上に行けるか分からない。


 ゲームではヒロインとパーティーを組んで戦っていた。

 ソロの感覚がまだ分からないのだ。


 ダンジョンの上に行く危険はある。

 だが、弱いままでも危険だ。

 魔物より、アサヒやカイン、アオイに殺される可能性の方が大きいと思う。

 ここは法の整っていない中世のような場所だ。


 今日はダンジョン4階に行く。


 俺はベッドから起きる。

 みんな起きており、トレイン娘はここの住人のようになっている。

 掃除をしてくれるから助かってるんだけど、トレイン娘も最近距離が近い気がする。

 欲望に負けるな!俺!


 皆がテーブルに座った瞬間に俺は言う。

 俺はソロでダンジョンを進むと。

 俺の欲望を封印する!

 性欲をすべてダンジョン攻略のエネルギーに変えるのだ!

 ここで宣言する!!


「俺!今日からソロでダンジョンに行くんだ!しばらくソロで頑張るから!!」

「ど、どうしたんだい?急に」


「宣言しておきたくて」

「ハヤト君、自分の中で色々消化しすぎだよ」

「そうですよ、吐き出しちゃいましょう!」


 言うのは恥ずかしい。

 俺性欲封印しますっておかしくね?


「ハヤト、皆気になっているんだ」

「そうですよ!」

「言ってよ」


「俺は強くならないと、危険だと思う。でも、3人を見ていると性欲が刺激されてしまう。エチエチに心を奪われない為、意思を固める為に宣言しておきたかった」


 3人が照れるが、特にエリスが赤い。


「は、ハヤト、今日の教会への付き添いはいいよ」

「そのくらいなら大丈夫だぞ」


「い、いや、いいんだよ」


 エリスが真っ赤になる。

 これって教会エチエチイベントだったのでは!

 分からない。

 だが期待してしまう俺が居る。


 くう!だが俺は。

 性欲禁止宣言をしている。


 早く強くなろう。

 強くなったら、エチエチイベントをすべて受け入れるのだ!

 強くなる=エチエチイベントだ。

 そう考え、原動力に変える。


 だが待てよ?

 ジョブチェンジ=エチエチイベントでもあるわけだ。

 スキルを貯めよう。

 貯めに貯める。


 貯めて一気にジョブチェンジしてスキルポイントを使う。

 使うのだ!


「人の気配がする」

「そろそろファルナが来たんじゃないかい?」


 うさぎ亭にファルナと、数十名のお姉さんが入って来る。

 なん、だと。

 

 お、俺は、エリス・ヒメ・トレイン娘の色気に打ち勝つためダンジョン頑張る宣言をした。

 だが、ここで数十人のお姉さんが来た。

 

 圧倒的。

 まさに圧倒的だ。


 俺は一気に食事を口に詰め込んだ。


「お久しぶりですわね。エリスさん、ヒメさん、トレイン娘、それにハヤト?どうされましたの?」

「な、何でもない。何でもないんだ。ヒメ、エリス、アイテムをください」


 俺はポーションとリペアのカードを受け取ると同時にエリスとヒメに金を渡す。

 リペアのカードとポーションの予約をしていたのだ。


 そしてダンジョンに向かおうとした。


「お!お待ちなさい!」

「なになに?」


「アサルトボアのボス討伐、感謝していますわ」

「いや、たくさん報酬を貰ったから気にしないでくれ。ダンジョンに行って来る」


「ま、待つのですわ!今から親睦を深める為食事会の用意をしますの」

「すまない。今は強くならないと、俺は殺されるかもしれない。また次に話をしよう」


「それは大げさではありませんの?」

「確かに可能性の話だが、俺のクラスメートは一瞬でエクスファックに殺された。余裕がある内に用意をしておきたい。危機が迫ってからでは遅いだろ?」


「そう、ですわね。その通りですわ」

 

 ファルナは納得したような顔をした。

 

「行って来る」


 俺はそう言ってダンジョンに向かった。

 









 





 

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