第29話

「ハヤトさん、一気に2階に行きましょう!」

「そうだな、ただ、2階には罠がある。2階でのパーティー戦も初めてだ。あまり動くとトラップに引っかかる」


「分かりました!気を付けます!」


 大丈夫か?






「あああああ、痺れ!ああああ、ちょ!あああああああああ!」


 トレイン娘が地べたに転がって芋虫のようにのたうち回りながら叫ぶ。

 2階に来てこれで2回目だ。

 魔物はすぐに倒している。

 だが、トレイン娘は、俺が言う前に魔物に飛び込み罠の魔法陣にかかる。


 俺は急いで魔物を倒した後、すぐに1階まで戻って貰った。


「もしかしてお説教ですか!?」

「いや、作戦会議だ。トレイン娘はどうしても移動が多くなってしまう。そうするとトラップにかかりやすくなるんだ」


 短剣はどうしても動き回る立ち回りになる。

 トレイン娘は仕方ないんだ。

 それにパーティーに貢献しようとしてトラップにはまっている状態だ。

 責めるわけにはいかない。


 エリスは俺の後ろをトレースするようについてくる。

 問題無い。


 ヒメも問題無い。

 ヒメの攻撃紋章はスライムの紋章だ。

 ポーション錬金術で作ったスライムポーションでスライムを使役して戦うスタイルだ。


 スライムポーションのLVと同じ数までスライムを同時に使役できる。

 スライムが勝手に戦ってくれるので初心者向けなのだ。

 更にスライムに先行してもらう事でスライムがトラップを発動させてくれる。


 ヒメはスライムの後ろについて行けば比較的安全だ。


「提案がある。トレイン娘が取るスキルを決めさせてほしい」

「いいですよ」

「いいのか、大事な部分だぞ?」


「はい、大事な部分をハヤトさんに決めてもらいます」

「次は罠感知を取って欲しい。罠感知を取ってダンジョンの階数と同じだけ上げておけば感知できるんだよな?」


「そのはずだよ」

「罠感知をLV3まで取って欲しい」

「分かりました」


「僕にも指定はあるかな?」

「いいのか?」

「うん、僕のスキルも決めて欲しいんだ」


「エリスは、紋章LV5まで取って欲しい」

「私はスライムポーションLをV10まで上げるでいいよね?」

「そうだな、スライム10体を出せれば楽になる。と思う」


「まだ試してなかったスケルトンのスキルを1階で試したい」

「いいですよ」


 俺は魔物をみんなが居る場所の近くに誘導した。


「スケルトン!」


 俺の両脇に2体のダガーを持ったスケルトンが現れた。

 俺と同じ武器を持って現れるのだ。

 スケルトンが魔物を倒す。


「「おーーーー!!」」


「もう少し試させてほしい」


 スケルトンに念じると、思ったように動く。

 これ、ゲームより強くね?


 こうして全員がスキル振りをして2階に戻った。





「見えます!見えますよ!これでトラップには引っかかりません!」


 トレイン娘がゴブリンを倒す。


「行って!スライムたち!」


 1体の魔物スライムにヒメのスライムが集団で取り囲んでフルボッコにする。

 不思議な光景だ。


 魔物のスライムはドロドロしている感じでヒメのスライムはプルンとしていて可愛い。

 ヒメはレベルアップし、スライムポーションのLV10になればもっと良くなるだろう。



「いっくよお!」


 エリスは試しに魔物と闘ってもらったが、1対1なら問題無く戦える。

 今一番強いのはトレイン娘か。


「スティング!」


 スライムを鋭い突きのアーツスキルで倒す。


「はあ!やあ!」


 チキンを連撃で倒す。

 装備も整ってるし、動きが素早い。

 敏捷に多く能力値を振っている為、スタミナ切れも起こしにくい。


「俺も頑張って倒す!」


 白のダガーを中距離で何度も投てきする。

 俺の範囲にいる魔物はすぐに倒せる。


「やっぱりハヤトさんは凄いですね!」

「レベル1とは思えないよ」

「すご、全然動きが違うよね」


「ここで魔物を倒していればレベル20までは行けるんじゃないか?」

「そうだ、あ、そうだ!ごめんね。スケルトンのスキルを試したいでしょ?」

「そうだな、スケルトン!」


 俺の両脇の2体のスケルトンが右手にダガーを構えて走る。


「2階でも色々試したい。スケルトン!トラップに飛び込んでくれ!」


 スケルトンが罠に飛び込むと痺れ、弓ゴブに奇襲されて消える。

 スケルトンがやられると同時に俺の横にスケルトンが現れる。

 闇魔法スキルはLV10で強くなる特徴がある。

 LV9までは1体しか現れないが10になると2体ずつ出てくるのだ。



 トラップにちゃんと反応する。

 スケルトンがトラップを踏めばトラップが発動して解除できる。

 そしてやられた瞬間俺の横からスケルトンが現れる。


「スケルトン!弓ゴブに突撃だ!」


 俺も前に走って弓ゴブを間引きする。


 弓ゴブ1体とスケルトン2体が戦い。

 スケルトンが勝利した。

 戦闘力は強くは無いが、ターゲット取りとしては使える。

 倒されてもすぐ出てくる。


 今度は俺のイメージをスケルトンに送る。

 やっぱり!

 ゲームより思ったように動く!

 こいつ、ゲームの時より優秀だ。


 スケルトン、常にトラップを踏め!

 一度念じれば自動で動いてくれる。

 楽だな。


 ……最初からスケルトンを使ってればよかった。


「皆!スケルトンについて行こう!まだ試したい!」


 スケルトンはどんどんトラップを踏んで倒されるとまた俺の横に現れる。

 しかも俺は罠感知と敵感知のスキルを持っている。

 奇襲も事前に察知する。


 更にトレイン娘も罠感知を持ち、ヒメはスライムを先行させる。


 これ、余裕じゃね?

 2階は余裕で行けるんじゃないか?


 中ボスも複数の魔物パーティーが同時に襲ってきても余裕だった。


 スケルトンの効果が高かったことで安全性は更に増した。


「今日は少し早めに帰還しよう。ゆっくり食事を摂って休もう」


「分かりました!」

「分かったよ」

「そうだね」


 こうして俺達は帰還した。





















 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る