第27話 やっぱ農業だよね

「よ~し、タネまきすんぞ!」


 いつのまにやらタマネギとニンジンのタネができていたのだ。

 花はすでに枯れ、乾燥したカリフラワーみたいなのが枝の上に鎮座している。


 こいつがタネの集合体。

 つかんでグシャっとするとタネと枯れ枝にわかれた。

 う~ん、ここからタネだけ選り分けるのはメンドクサイな。

 よし、このまま撒こう。

 タネ、ドーン! 土、ふぁさ~。

 みず、ジャ~。


 おおきくなれよ~。


 つぎは庭だ。

 あこがれの男爵ガーデンを作るのだ。

 畑から少し離れたところに建築することにした。


 まずは小道。レンガがないのでペッタンコの石を集めて真っすぐに並べる。

 うん、まずまずだ。

 脇道やグネグネ道もつくった。遊び心が感じられる仕上がりとなっただろう。

 おつぎは家。

 今回はなんと木の上の家。ツリーハウスなのだ。

 草っぱらにちょうど、一本だけポツネンと生えていた木があった。

 しかも、縦に伸びるのではなく、横に太い枝葉を広げる、まさに家をのっけてくださいと言わんばかりの木なのだ。


 トンテケトンと家作り。

 枝や板切れを使ってかわいらしく組み立てる。

 釘があるから作りやすい。コサックさんに感謝だ。

 出入り口もかわいらしくしよう。風魔法でスパっと円にくりぬく。

 できた!

 

 ……。

 う~ん、なんか違うな。これじゃあトリの巣箱だ。

 やりなおし!

 トントンテケトン、トトントトン。

 できた!


 瓦にみたてた木切れを貼った、屋根付き、デッキつきのオシャレハウスが完成した。

 おおー、われながら上出来だ。

 ちっちゃいけど、ちゃんと窓もある、俺の寝床より100マン倍上等な家だな!

 できた家を木の上にえるように設置する。

 ついでに草で編んだナワばしごも垂らしておいた。

 雰囲気作りだ。ピクシーは飛ぶからいらない、とか無粋なことを考えてはいけない。

 オンナとはいっけんムダに思えることにトキメキを感じるのだ。

 ――いや、しらんけど。


 ん~と、つぎは……

 よし花を植えよう。

 小道のまわりを土魔法でぶわ~と掘りかえすと、雑草を取り除く。

 それから男爵家からいただいた、根っこつきの花たちを植えていく。

 ここのスペースはラベンダー、こっちはパンジーにビオラ。あとは……なんかさきっぽがクリリンと丸まった草、黄色でふちどりされた緑のカワイイ葉っぱ草とかを。

 いや、もう名前わからんわ。

 赤だの、白だのいっぱいありすぎる。チューリップもあったけども、それ以外は生まれて初めて見た草花ばかりだ。

 ちなみにクローバーはここにも生えていた。もってきた植物を増やしつつ移植していこう。

 ここはセンスが問われる。

 そうだな……小道からみて背の高い植物を奥に。手前にくるにつれて低く、かつ色鮮やかなものにしていこう。

 まっ、そのへんはもう少し先か。


 んで、つぎはベリーとバラか。ツタをからませる鉄のアーチを……

 ――そんなもんなかった。

 木で代用。やぐらを組んで小道の上を通した。

 うん、みすぼらしい。変な形のハシゴみたいだ。

 まあいいや。

 いまは、ただ登って降りるだけ、みたいな感じだけど、いずれツタが伸びるとバラとベリーのトンネルになるはず。

 将来に期待だな!


「ん? なんだこれ」


 草花を入れた麻袋の中身も少なくなったところで、数本の木の枝を発見した。

 長さは手のひらほど。

 なんだろう? 折れた枝の残骸かな……


 あ! わかった。ブルーベリーだ。

 ラズベリーは地下茎から芽がでたやつだったけど、ブルーベリーはたしか挿し木で増やすはず。

 この枝を土にしとけば、根がでてきて育っていくんだ。

 よし、このへんにブスブスと挿しておこう。


 ふい~、疲れた。

 今日はこのくらいにしとくか。

 小川で体を洗い、服も洗濯しておく。

 ごはんを食べたら歯をみがいて就寝。

 よくはたらいた。おやすみなさい。


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