04 打てる手がない



 ちょっと待て、もうすぐ破滅の時間だ。

 打てる手がまじでないぞ。


 てか俺のループ? 死に戻り? 回数限度あんの?

 このまま怠惰にすごしてたらやばない?


 三周め、行ってまうよ。


 頭を抱えた俺はヘブンズドアを飛び出した。


「ちょっと、君! 店番は!?」


 もうすぐそれどころじゃないっす。ティナさん!


 あー、あー、あー。


 どうしよう俺ー。


 じっとしれられないけど、とりたててやることもない。


 ただハムスターのハム子ちゃんみたいに町中を走り回っていた俺は、その瞬間を見た。


 地面が揺れる。


 世界が壊れる。


 けれど、めちゃくちゃになった世界の中。


 何か透明な泡みたいなのを作って、人々を救っている人間がいた。


 豪勢なマントを羽織った女性だ。


 身にまとったその人物は、まさに勇者!


 ああ、勇者俺じゃなかったんだな。


 割れた地面に落下していきながらそんな事を思った。


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