第160話 ラーガルフリョゥトの蛇。
セレスティーナが接近戦で時間を稼いでいる間に、リザートマンたちは魔力を合わせて独自の下位竜語魔術を用い、自分たちを守護してくれる使役竜を召喚する。
彼ら源竜信仰に属する者たちは、他種族から野蛮だ、とみられがちではあるが、その信仰心を生かして独自の魔術や召喚術を行使することも可能である。
「来たれ!我らが使役蛇、ラーガルフリョゥトの蛇よ!!」
その彼らの声に応じ魔法陣が展開され、そこからペルーダにも匹敵するほどの巨大な蛇が姿を現す。
ラーガルフリョゥトの蛇。
竜の遠い血を引く下位竜族であるが、もはやただの大蛇といえる程度の存在にまで劣化した竜蛇族である。
ただ、竜としての特殊能力や魔力、知性などもなく、簡単に言えばただ巨大なだけの蛇と言った方が基本的には正しい。
それでも、その巨体からなる攻撃は純粋に強大な打撃力になるし、リザートマンたちのいうことを聞いてくれるというのは非常に大きい。
ラーガルフリョゥトの蛇は魔術砲撃をモロに受けて、脳天をセレスティーナに叩き割られた痛みでのたうち回っているペルーダへと噛みつき攻撃を行っていく。
ただでさえダメージを負っているペルーダにとって、その噛みつき攻撃はたまったものではなかった。
巻き付きながらペルーダの喉元に噛みついたラーガルフリョゥトの蛇に対して、ペルーダはその体にある毒針をラーガルフリョゥトの蛇に突き刺していくが、元々毒に耐性のある彼にとってはそこまで致命的ではない。
逆に蛇が行う相手を締め付ける巻き付きを行い、ラーガルフリョゥトの蛇はペルーダの喉元へと噛みつきを行い、体液をまき散らす。
竜と蛇同士の絡み合いは、まるでお互いの交尾にも見えるが実際にはそれとは対極である。ぎしぎし、と体を締め付けて強く喉元に噛みついているがラーガルフリョゥトの蛇の肉体にも毒針が刺さり、どくどくと体液を流している状況である。
その攻撃に苦しみを覚えたペルーダは、超至近距離で自分の炎をラーガルフリョゥトの蛇に叩きつけようと、ぐわ、と口を開く。
だが、そこに、二体の体を駆け上がって、ラーガルフリョゥトの蛇の頭に乗ったセレスティーナは、竜骨杖をペルーダへと突きつける。
「防御結界、展開ッ!!」
竜と蛇の間に防御結界が展開され、ペルーダの吐き出した火炎はその防御結界にはじき返されて、ペルーダは自分の炎で自分の顔を焼き尽くす羽目に陥ってしまう。
『ギュアアアアアアア!』
自分の炎によって自分の顔を焼く羽目になってしまったペルーダは、炎を顔に纏わせて苦しみながら、必死になって顔を振るう。
そして、その隙を逃さず、セレスティーナは、竜骨杖の切っ先に槍状の魔力刃を形成し、その刃で炎に苦しむペルーダの片目を正確に貫く。
そして、その悲鳴を上げるペルーダの口に、セレスティーナは魔術砲台の魔力カードリッジを叩き込むと同時に防御結界を展開する。
魔力を帯びた炎に反応し、魔力カードリッジが暴走し、凄まじい爆発が起こりペルーダの頭自体が粉微塵に吹き飛ばされる。
そして、ペルーダの肉体は川底へと沈んでいった。
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